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2019/10/13(日)18:37

望まぬ仕事に悩む画家が姿を見せないモデルの肖像画を依頼され…オチに不満が残るもまさに幻想という感じ~小説『シャルビューク夫人の肖像』

海外のミステリー&ファンタジー小説(723)

みなさん、こんばんは。今日は富士山の向こうに夕陽が沈むのがくっきりと見えて美しかったです。 今日紹介するのは姿を見せないモデルに惹かれていく画家の物語です。 シャルビューク夫人の肖像 The Portrait of Mrs Charbuque ジェフリー・フォード 訳 田中一江  画家ピアンボは、「姿を見ずに、話だけを聞いて肖像画を書いて欲しい」と夫人から屏風越しに言われる。但し夫人とは、日に一時間しか話せず、絵の納期は1か月。ピアンボが拒絶しなかったのは、金のために望まぬ絵を書いていた自分から脱却できると考えたからだ。「やりたい事」という願いと「望まれる事」の間で苦しむピアンポの気持ちは、職業人なら理解できるのではないか。  「父親は結晶言語学者で、自分は空から降ってくる結晶を解読して未来を占う能力を受け継いだ」などと、奇妙な話でピアンポを惹き付けては、質問を巧みに躱す夫人。彼女のファム・ファタールぶりが絶品で、自分を愛してくれる誠実な恋人がいるにもかかわらず、ピアンポが夫人に惹かれてゆく理由がよくわかる。  今までは「幻想」と名がつくと「難しい」という印象があり敬遠していたが、本作は取っ付きやすかった。ピアンポと夫人のラブストーリーの部分や、街で起こる怪事件の謎を探るミステリー的要素が多かったからだろう。 【中古】 シャルビューク夫人の肖像 / ジェフリー・フォード, 田中一江 / ランダムハウス講談社 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】楽天で購入

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