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2023/05/24(水)15:45

映画泥棒を追え!フェル博士 安楽椅子探偵す~ミステリ「盲目の理髪師【新訳版】」

海外のミステリー&ファンタジー小説(731)

みなさん、こんばんは。今週は北海道で地震があり、台風で関西の交通網がずたずたにされ、散々でしたね。平成最後の秋は自然が暴れまわってます。 さて、ディクスン・カーの人気シリーズ、フェル博士が登場するミステリを紹介します。 盲目の理髪師【新訳版】 The Blind Barber ジョン・ディクスン・カー 創元推理文庫 「ニューヨークからフランスのシェルブールを経由してイギリスのサウサンプトンへむかう外国航路船クイーン・ヴィクトリア号が出航したとき、たいへん有名な人物がふたり乗っていると噂され、さらには極めて悪名高い第三の人物もやはり船上にあると囁かれた。それにくわえて、この騒々しくハチャメチャな記録においてかなり大きな役割を果たすことになる第四の―ただし、特に名を知られてはいない―人物もいた。この若者はそうと気づかず、乗客のムッシュ・フォータンブラのあやつり人形やスタートン郷のエメラルドの象よりも価値あるものを荷物に入れており、その価値あるものがクイーン・ヴィクトリア号の穏やかなる懐で、謎と派手なお祭り騒ぎ、さらには通常の思考回路から大きく飛躍した猿芝居が生まれた理由の一端を解き明かすことになる。」  これが最初の文章。長い!本作の内容はここに集約されており、次に細部を見ていくことになる。今回はフェル博士は船旅には参加しておらず、既に起こってしまった出来事を、『剣の八』で博士と知り合った探偵作家ヘンリー・モーガン(クイーン・ヴィクトリア号に乗っていた)から話を聞く割合が多い。よって、捜査関係者が必死に事件解決に動いているのに、あれこれとフェル博士が茶々を入れる場面は、残念ながら登場しない。  その代わりを務めるのが、乗船していたノルウェー人のキャプテン・ヴァルヴィックだ。「外交官のカートがなかなか来ない」という話をモーガン達としていると、「馬を止めたかったら国ではブルブルと言う」という話をし始めて、実際カートが来ない理由と全然関係ない話だったというオチがつく。  喧嘩しながら仲がいい恋人達、失敗を繕ったり隠そうとする度にドツボに嵌っていく外交官&作家、ボクサーに殴られたり殺虫剤ふりかけられたり、既に書かれた批評を本当にするために、酔っ払った人形遣いの代わりに彼らが劇を上演したり、船上の立場から言えば考えられないような災難にばかりあう人がいたり、船上で起こる様々な出来事は、まんまスクリューボールコメディで、ミステリと切り離して映画化できそうだ。  既に起こってしまった事件を一度も見ないでフェル博士がどうやって解決するのか?安楽椅子探偵としての腕の見せ所だ。 ​盲目の理髪師 (創元推理文庫) [ ジョン・ディクスン・カー ]​​楽天ブックス​

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