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2018/12/08(土)00:27

不器用な男たちの一分の矜持~映画「柘榴坂の仇討」

日本映画(350)

みなさん、こんばんは。今クールで​下町ロケット​が放送中の阿部寛さんが出演した 映画を見ました。 柘榴坂の仇討 Snow on the Blades 出演 阿部寛 中井貴一 中村吉右衛門 広末 涼子 高嶋 政宏 吉田 栄作 津嘉山 正種 藤 竜也 監督 若松節朗 音楽 久石譲 安政7年、彦根藩士・志村金吾は主君である大老・井伊直弼に仕えていたが、登城途中の桜田門外で井伊は暗殺されてしまう。その後、あだ討ちの密命を受けた金吾は敵を捜し続けて13年が経過する。明治6年、時代が移り変わり時の政府があだ討ちを禁止する状況で、最後の敵である佐橋十兵衛を捜し出し……。  井伊直弼とくれば定番のように登場するイベント、安政の大獄と桜田門外の変。特に後者は三月だというのに雪が降り、不謹慎だが絵的にも見栄えがする。しかし実際はまぎれもなくテロである。少数武士によるテロが、まんまと成功してしまった事が、幕府の失墜を誰の目にも明らかにした。 前者「安政の大獄」をやってしまったが故に、後者「桜田門外の変」で討たれるのもやむなしと見るのが大方の感想だが、本作では中村吉右衛門演じる井伊大老は、穏やかな人格者として描かれている。側仕えをする金吾にとっては、殿の行為はすべて正義であり、疑いを持つ余地などない。  幕府とは別に彦根藩が大老の仇討を命じたままに明治維新になってしまったことが、金吾とその妻の悲劇だった。東京の人たちは皆新たな時代に向かっていくのに、ずっと刀をさし髷を結い、藩が亡くなり禄をもらえなくなった夫を支えるために、妻は工賃の少ない内職を掛け持ちする。それでも金吾は敵討ちを諦めない。不器用な男だ。もう一方の十兵衛も不器用だ。さっさと東京を去ればよかったのに、まるで仇討が現れるのを待っていたかのように、妻帯もせず車夫として新たな時代を過ごしてきた。不器用さを捨てられないままでいた二人は、果し合いにおいて本心を吐露することで、ようやく新たな時代を思い描くことができた。  浅田さんはかっこいい登場人物を描く裏で、かっこよくなれない男たちの情けないところを描くのがうまい。しかしそんな冴えない男たちの一分の矜持が、現代人の心を打つのも事実である。 ​柘榴坂の仇討 [ 中井貴一 ]​​楽天ブックス​

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