2019/12/20(金)00:00
古書を求め、街に出よう~エッセイ「古本道場」
みなさん、こんばんは。古本はお好きですか?
小説家の角田光代さんは古本がお好きみたいですよ。
古本道場
角田光代&岡崎武志
ポプラ文庫
引っ越したり職場を変わった時に、まず探すのが図書館と書店だった。なのに今は、実際行って本がないとイヤなので、なるべく無駄を無くそうと「ネットで調べればいい。そしてあったら、ネットで買えばいい」と考える。「古本道を究めた師匠・岡崎氏の指令を受けて、作家・角田氏が実際の書店を訪れ、依頼された本を探す」という本作の企画は、こうした発想とはまるで逆だ。体験記から自然と浮かび上がるのは、「本とは何か」「書店とは何か」ということと、便利さの代わりに我々が失ったもの。「(書店で)棚から棚を見ていくうち、忘れていたいろんなことがぽろぽろぽろぽろ勝手に思い出(p21)」された経験。「とおりいっぺんの現実とはべつに、時間の沈殿する不思議に静かな空間を、その魅力を、知って大人に(p108)」なっていった学生時代。鎌倉の古書店を訪ね、今は亡き米原万里さんを訪問した、なんてエピソードもある。意外だったのは、幕張メッセに行くための通過駅や、出張で新幹線に乗る出発地点としか見ていなかった東京駅構内に、古書店があったこと。せかせかした日常から離れたくなった時、訪れてみようっと。
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