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2020/03/03(火)00:01

「私達何を探してるの?」「幸せをほんの少し」~映画『歓びのトスカーナ』

フランス映画(163)

みなさん、こんばんは。図書館が全面閉鎖になりました。借りることも返すこともできません。 さて今日はイタリアのトスカーナを舞台した二人の女性の映画を紹介します。 歓びのトスカーナ LA PAZZA GIOIA/LIKE CRAZY 出演 ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ 監督 パオロ・ヴィルズィ 自称伯爵夫人のベアトリーチェは、イタリア・トスカーナ州の自然豊かな丘に立つ診療施設ヴィラ・ビオンディでは女王のような存在だった。ある日ヴィラ・ビオンディに、やせ細ったドナテッラがやってくる。彼女とベアトリーチェは同室になり、少しずつ親交を深めていく。 イタリアでは1978年に「バザリア法」が成立、2015年には精神病院は閉鎖されている。そうかといって罪を犯した精神病の人たちが減るわけではないので、そうした人々の居場所は必要になる。彼等を収容する司法精神病院や、私立の精神病院は、いまだ存在する。また、従来の精神病院の代わりに、「コムニタ」という、精神科のケア付きのグループホームがあって、ベアトリーチェとドナテッラは、ここに収容されているという設定。  原題は「La pazza gioia」。「狂うことの快楽」、あるいは「狂った人の快楽」という意味で、扱いに注意を要する題材である。  主役二人を演じる演者がうますぎるので、視聴者は「本当に精神的に不安定な人は、平気な顔してこういうことをしてしまうのかもしれない」と思う。ベアトリーチェの恐ろしさは最初はわからない。当初描かれる彼女の言動は、高級レストランやカジノに行きたがるが一度も金を払うそぶりを見せなかったり、タクシーを使って遠距離を旅しても、最終的には支払いという形で自分に帰ってくる程度の怖さだからだ。彼女が仕出かしたことは、元実家で母親に会った時に分かる。同時に彼女の脆さを利用した正常な精神を持つ人たちの狡さも。  そこへいくとドナテッラは目つきからして怪しい。体にはタトゥーがいたるところにあり、精神が不安定になると拒食に走り自傷傾向もある。後半彼女が息子を抱いて何をしたかもわかって来る。但し刃物を持ち出して他者を害するほどの勢いはない。彼女が衝動的な行動に至る動機もやはり後半でわかる。二人の女性がそこに至る経緯を描くことで、精神的脆さを個人的問題にとどめず、社会全体で考え受け入れていく道を説く。『神曲』でベアトリーチェがダンテを導いたように。 ​歓びのトスカーナ DVD [ ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ]​​楽天ブックス​

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