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2022/04/27(水)00:00

浅田次郎さんの「蒼穹の昴」のイメージに近いかも 小説「西太后秘録 近代中国の創始者 上」

海外の作家が書いた歴史小説(33)

みなさん、こんばんは。フランスでマクロン大統領が再選されましたね。 今日から2日間西太后の伝記を紹介します。 西太后秘録 近代中国の創始者 上 Empress Dowager Cixi The Concubine Who Launched Modern China ユン・チアン 講談社 官僚の家に生まれ、父の失脚後は長女として一家を支えた慈禧。16歳で清朝第9代皇帝の咸豊帝の側室となり、やがて幼い息子が帝位を継ぐと後見として政治家の頭角を現していく。しかし、息子は若くして病のために崩御してしまう。妹の子供を養子に迎えた慈禧は、光緒帝となったその息子の後見として返り咲き、宮廷内の政治に手腕を発揮する。革新派の上級官僚の李鴻章や曾国藩らを重用し、ヨーロッパ技術を取り入れて近代化に邁進する慈禧を、やがて日清戦争での致命的な敗北が襲う!  ライバルの側室の手足を切り取ったなど、すっかり世界三大悪女という評判が行き渡っている西太后。それでも日本では浅田次郎さんの『蒼穹の昴』の影響で少しは評価が高まっている方だ。中国は国を称えることは遠慮しないが、君臨した女性を称えることはしない。我が国と同じく未だ女性の為政者が誕生しておらず、根本的な男尊女卑思想を感じる。敵を排除していったというイメージとは裏腹に、正后とも関係は良好で、自分が不利と見ると敢えて争い事を起こさないように振る舞う理想の為政者である。  彼女は守旧派で、改革派の光緒帝と対立したというのが通説だが、本書ではむしろ外国との貿易を推進し、優れた技術を取り入れることを奨励した改革派に属している。夫は薬に逃げ、息子もまたまともではない。指名した甥は教師の影響で古い考えから抜け出せない。悲劇は光緒帝が成人して親政を行い、ちょうど西太后が政治に関われなくなった時に日清戦争が起こってしまったことだ。この戦争はいわば日本のジャイアント・キリングだが、中国の様子を見ると「いやこれはさすがに負けるだろう」という体たらく。トップに情報が行き届かず追従ばかりを並べ立てる家臣を周囲に置くので、本当の戦況がわからない。たまりかねた西太后が乗り出した所で上巻幕。 ​西太后秘録 近代中国の創始者 上/ユン・チアン/川副智子【1000円以上送料無料】​​bookfan 2号店 楽天市場店​

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