2022/12/28(水)00:00
またの名をグレイス ならばあなたは誰? 小説「またの名をグレイス 上」
みなさんこんばんは。シンガー・ソングライターの吉田拓郎さんが年内で芸能活動を終了する意向だそうです。
今日から2日間マーガレット・アトウッド作品を紹介します。
またの名をグレイス 上
Alias Grace
マーガレット・アトウッド
岩波書店
1843年8月、アッパー・カナダのリッチモンド・ヒルで、裕福な独身地主トマス・キニアと、女中頭のナンシー・モンゴメリーが殺される。同じ家で女中として働いていたグレイス・マークスと、使用人ジェイムス・マクダ-モットが逃亡先のアメリカで捕まる。裁判はキニア殺人事件のみ行われ、ナンシー殺害に関しては審理不要。マクダーモットは早々に絞首刑に処せられたが、グレイスは記憶が定かでないため監獄に収監。
ここまでがカナダで実際に起こった事件の顛末だ。マクダーモットは直前までグレイスに唆されたと主張していた。若くて美しいグレイスは濡れ衣を着せられたのか?それとも唆す悪女だったのか?彼女に興味を持った若き精神科医サイモンは、聞き取り調査を開始する。
16歳で事件に関わり約30年間服役した、同国犯罪史上最も悪名高いと言われている女性犯グレイス・マークスの物語。昏き目の暗殺者同様こちらもキルトが登場。各章のタイトルは、その章の内容を示唆したキルトのパターン名で、最初のページにその図案が描かれている。
キルトのイメージといえば、様々なパターンを縫い合わせて一つの作品を作ることだ。本編も、グレイスがサイモンに語る/語らない場合の一人称、記事等の客観的描写、サイモンの三人称など様々な視点から物語を作り上げており、一つのキルトと言える。
またの名をグレイス 上 (岩波現代文庫 文芸301) [ マーガレット・アトウッド ]楽天ブックス