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2023/06/18(日)00:00

7つのおとぎ話の先には父がいる?  小説「父から娘への7つのおとぎ話」

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みなさんこんばんは。 大手食品メーカーの日清食品は、主力のカップめんなど全体のおよそ8割にあたる商品を、ことし6月から値上げすることを決めました。今日は乳を探すための手がかりがおとぎ話?という小説を紹介します。 父から娘への7つのおとぎ話 The lost storyteller アマンダ・ブロック 東京創元社  イギリス南西部の建築事務所で非正規社員として働くレベッカは、幼い時に父親が家を出ていってしまい、母親に育てられた。父親のレオには20年近く会っていない。ある日、男性記者エリスが取材目的でレオの行方を尋ねてきた。レオはかつてBBCの子供番組に出演していた人気俳優だった。エリスはレオが現在どこにいるのか見つけられないという。父親など存在しないかのように暮らしてきたレベッカが母親や親戚に聞いても、「ろくな男じゃない」としか教えてもらえず、生死すらわからない。だが、祖母がこっそり一冊の本を渡してくれる。それは父が自分のために書いてくれたらしいおとぎ話だ。レベッカはエリスの取材に協力しつつ、本を手がかりに父親を探そうとするが。  おとぎ話に隠された何らかのメッセージ&謎かけを元に行方不明の人間の行方を捜すといえば、通常YA小説向けのプロットである。しかし、本作の主人公は仕事を持って働いている大人の女性だ。そんな彼女がおとぎ話という、こちらもYA向けのようなアイテムを手掛かりに、思い出さえ定かではない父親を捜すというアイデアは面白い。  レベッカも早晩物語にこめられた意味に気づくが、おとぎ話にかけられた謎は、結構わかりやすい。クライマックスまで当人は現れないため、レベッカは他人による伝聞でレオという人物を知っていく。会う人会う人碌な言い方をしないのに、なぜか父に会いたい気持ちを抑えられないレベッカは、既にまだ見ぬ父を許している。ありがちだが、父への思いに気づくのは他人の方が早い。赦しているから、探そうという思いが強い原動力となって大胆な行動が取れる。途中からレベッカの恋バナも進展。ミステリというよりレベッカのいろいろな意味での成長物語。 ​父から娘への7つのおとぎ話 [ アマンダ・ブロック ]​​楽天ブックス​

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