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テーマ:本日の1冊(3695)
カテゴリ:本
●読んだ本● (しばらく前に書いて置いた物です)
「囁く谺」(ささやくこだま) ミネット・ウォルターズ著 創元推理文庫 ■あらすじ ロンドンのテムズ河畔に立つ高級住宅街の ミセス・パウエルの車庫の中で、 ホームレスのビリー・ブレイクが餓死を 自ら選んで死んでいた。 イギリスの貧困とホームレスに関する特集を企画して 調べていた雑誌記者のマイケル・ディーコンは ミセス・パウエルに取材を申し込んだ。 事件が発生した当時は 取材を断っていたミセス・パウエルだが、 ビリー・ブレイクが何故自分の家の車庫に辿り着いて、 眼の前に冷凍庫があるのにも関わらず、 角氷を齧った後はあるが、 食品には手を付けずに死を選んだのかを知りたいと思い、 ディーコンの取材に応じる事にした。 ディーコンはビリーが塒にしていた倉庫跡で取材をして テリー・ダルトンと言う14歳のホームレスと出逢う。 ミセス・パウエルの近所では弁護士を引退した 老人ローレンス・グリーンヒルと出逢う。 ディーコンの同僚で写真のエキスパートである、 孤独な三十代の独身男バリー・グローヴァー。 これらの男4人が、ビリーがホームレスになる前の人生を 掘り起こそうと知恵を寄せ合う。 ビリーの抱える問題にテリーが口を出して 解け始める。 バリーが自らも気付かないようにと逸らして来た問題が 浮上してくる。 孤独な老ローレンスも楽しげに加わり、 少しずつビリーの姿が見えてくる。 それは愛に満ちた知的な四十代の姿だった。 二十歳以上も年を偽っていた、 老人にしか見えなかった痩せこけたビリー・ブレイク。 何故ビリーは年を偽り、 自らを罰して極寒の日に裸になったり、 手を火にさらして火傷を負い、 全ての指が曲がってしまうような事をしたり、 聖母子像を歩道に描いたり、 毎夜絵を描いては燃やしていたのか。 ミセス・パウエルの車庫を選んで 死を選んだのは何故なのか。 疑問が次々に湧き出てきて、 ディーコンは奔走する。 硬い殻で自分を守っている 美しいミセス・パウエル。 ビリーとミセス・パウエルの関係はあるのだろうか? ■感想 これも読むのは2度目だ。 カウンセリングや「毒になる親」を読んだりして 人間の心理をより知るようになったので、 今まで気付かなかったり見えなかった物が見えて 実に深く見えるようになり面白い。 沢山の人や出来事が絡み合っており とても複雑だ。 でもディーコンが巻き込まれて行く過程が 結構楽しくて面白かった。 災難が集まって来ているかのように見えて 実は問題提起となって、 少しずつほどけていく。 冷たく美しいミセス・パウエルの硬さとその 裏にあるものが良く分かったし、 ディーコンやバリーの抱えた問題について すぐに色んな背景が見えて来た。 男同士で困りつつもわいわいやっている ディーコンの毎日がとっても楽しかったです。 以外と明るい気分で読み終わりました。 こちらは分かり易く会話式に書いてあります。 すみ&にえ「ほんやく本のススメ」 http://park8.wakwak.com/~w22/221.htm お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 29, 2022 01:32:36 AM
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