4月ですね。4月といえば、ご入学ご入園。うちのSも4歳でこちらの日本語補習校の年中すみれ組に入園です。
ここはいずれ日本に帰国する子供のために、帰国したときに国語の授業についていけるように国語だけを補習するところ。とはいっても7割が永住者の子供。やはり、私たち永住者とはいえど、日本語を子供に身につけてほしい、それにいつ何があって日本に帰国しないとも限らないから、そのときのために日本語は学んでほしい。そんな思いで、うちも入園させたのです。
入園前には日本語の指示についていけるのかどうかを見るための日本語面接がありました。なんだかお受験じゃないですがドキドキしました。「お名前は?」から始まって、なんとか最初はこなしていました。ところが何問めかで「好きな色は?」との答えに「ブルー」、日本語ではなんていうの?と聞かれて「…」。このあたりから怪しくなってきました。そしてこれは我が家に残る笑い話になりそうなエピソードがひとつ。
先生「じゃあね、ここにバツを書いてください。」
S「…(すごく小さい声で)バツ?」
先生「そう、バツ」
S(黙々と描きだす。)
ここで、Xを書くどころか、横長の長方形を描き始めた彼。横で見ていた私も口出しはできないので「なんじゃこりゃ?」と思いつつ見守る。そして長方形のなかにさらに4つの長方形を描いていく。この時点で私はピーんときた。何を描いているかわかったけど黙っていた。そしてSはもうひとつ横に長方形を描いてペンを置いた。
先生「…わー、すごい大作だね。何を描いたのかな?」
S「…バス…」
先生「あ、バスか。…(大きなXの絵を見せて)あのね、バツだよ。バツってこれ。」
S「…」
私は心の中で「ぶーーーーっ!!」と吹き出してしまった。やっぱり! バツって言葉をなんだか知らないからバスだと思ってバスを描いちゃったんだな~。
そんなずっこけ面接試験も無事通って、祝!ご入園!だったはずだった。ところが、なんか乗り気ではない。クラスの他の女の子なんてもうこのクラスに通うことが楽しくて楽しくて仕方ならない様子。確かに大泣きの子もいたけれど。うちはとりあえず泣いてはいなかったがつまらなそーにしていた。
そして先日第2回。
もう最初っから「行きたくない、つまらない、いやだ~!」と、(もちろん英語で)ごねていたので、じゃああとでいいところに連れて行ってあげるから、何々をあげるから、などと誘い出し、ほとんど誘拐状態で連れて行き、着いたら「本当にいやなんだ~~!!」と大泣き。車から降りることを拒否!親もこの日は総会に出席しなければならず、時間どおりに入らないと始まってしまう。それなのに車から降りるのにかなり時間をとってしまった。どうにか「ママは今日他のママたちとお話をするって約束してるから、お願い」と説得。わーんわんわん、と泣いているSをクラスへ。みんなはとっくにお遊戯と歌を始めていた。Sは私から離れずべったり。でも、カスタネットを渡されたらやってみたかったのか、とりあえず抱っこ状態から降りてくれて、みんなとカタカタ。次は鈴で、シャンシャン。そしてみんなで長い列になって汽車ごっこ。少しずつ、少しずつ、泣き止んで参加するようになった。そこですばやく隙をみて出てきた私。後ろ髪は引かれたものの、総会へ。大丈夫かなー、と総会の間中気になった。
やっと迎えの時間。行ってみると先生が、
「最初だけ元気なかったけど、お外の時間になったらとっても楽しんでましたよ。そのあとは大丈夫でした。」
と教えてくれた。ほっ。今度は本人に聞いてみる。
私「どうだった?楽しかった?」
S「うん。」
私「ね、大丈夫だったでしょ?また来れる?」
S「うん。」
ちょっとこの「うん」しか言わない反応がイマイチ不安にさせるけど、しょんぼりした顔じゃなくて笑顔で出てきたので少し安心。何が一番楽しかったか効いたら「カスタネット」とのこと。初めて見る楽器だもんね。カスタネットさまさまだ。
日本語も理解できるけど、あまり話せない、知っている友達も皆無に等しい新しいクラス。月~金で朝から夕方まで保育所で、そこには大好きな友達もたくさんいるけど、せっかく親と一緒にいられる土曜日にいつもより早起きして午前中他の学校に行くなんて、と確かに行きたくない理由はいくらでも考えられる。
あんなに大泣きされると、将来的に本人のためにも良かれと思ってしていることでも罪悪感が…。先生はいう。「そのうちお友達もできて楽しみになるようになりますよ」
本当にそうなることを祈る。切実に!
キーポイントは日本人の子と遊ぶ機会を増やすことかなー。日本語が話せて楽しい!って思ってもらえればいいんだもの。
私も努力しよう。