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カテゴリ:こはく文庫
2021年7月刊 くるみ舎・こはく文庫 著者:鞠坂小鞠さん 「婚約者を死に至らしめる呪われた令嬢」ーールクール国ヒンデミット公爵家の長女グレーテは、婚約者が次々と不慮の死を遂げたことでそう噂され、周囲の貴族だけでなく両親と妹たちからも敬遠されていた。そんな折、公爵家に国王から縁談の打診が来る。相手は隣国アルテアの指導者の息子だという。王を喪って間もない小国であるアルテアは、ルクール国民から見下されており、妹たちは断固として縁談を拒否。結局、厄介払いも同然の形でグレーテが嫁ぐこととなる。侍女のレネだけを連れてアルテアへ向かうグレーテだったが、道中で馬車が事故に遭ってしまう。あわやというところでアルテアの騎士団に救出され、手当を施されてベッドで目覚めたグレーテは、一人の騎士が自分を膝に抱きかかえ、「もう大丈夫ですよ」と優しく囁いてくれたことを思い出す。そこへ件の騎士が見舞いに訪れ、侍女のレネや御者、馬も大事には至らなかったと教えてくれた。安堵したグレーテが名を尋ねると、彼は「エリク=ヴァレンタ」と名乗る。そう、彼こそがグレーテの婚約者だったのだ。その事実を知ったグレーテは、咄嗟に婚約の解消を申し出てしまい……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 登場人物 グレーテ=ヒロイン。ヒンデミット公爵家長女。 三人もの婚約者が全て急逝したことから呪われた令嬢と噂され行き遅 れていたが、この度隣国の宰相の長男・エリクとの縁談が決まった。 しかし、道中国境付近で事故に遭い、呪いのせいかもと不安に駆られ 顔合わせの際、彼の身を案じ婚約解消を申し出た。 家族にも敬遠され萎縮していたが、本来は聡明で記憶力に優れ、エリ クの為になればと薬学など専門分野の勉強を始める エリク=ヒーロー。グレーテの政略結婚の相手。 入国早々に事故に遭い、自らの怪我を顧みず侍女の手当を頼むグレー テを気に入るが、顔合わせの際に婚約解消を申し入れられショックを 受ける。アルテアでもグレーテの不名誉な噂が広まっており、その誤 解を解くべく奔走していた。後に正式に彼女と結婚する。 ルクール国王=早逝した第二王子の婚約者であったグレーテの噂に胸を痛め、親交 のあったアルテアの宰相・ヴァレンタに縁談の打診をした。 ヴァレンタ=アルテア国宰相でエリクの父。国王が悪政の末、乱心し自決後、後 継者がいない事もあり、以降は最高責任者として采配を振るってい る。ルクール王の打診により、グレーテを息子の妻として迎える。 レネ=グレーテ付きの侍女で、彼女の輿入れにただ一人付き添って来た。 同僚に虐められていた際、グレーテに助けられ以降彼女を心から慕 い、その聡明さを自慢に思っている。 ダリミル=エリクの幼馴染で護衛騎士。 過去に父親がヴァレンタ毒殺を図ったことから上層部に良い印象を 持たれていない。エリクと同じく事故現場に居合わせ、グレーテを 見直した。 久々に電子書籍です。 約150ページほどの中短編ですが、このくらいのボリュームの作品も合間に挟むのは良いかもしれない。 騒動が起きても片が付くのが早いこともあってモヤモヤ度も少ないと言うか。 あらすじだけ見ると不遇ヒロインっぽいですが、本文を読んでみるとそこまでではなかった印象。 高位貴族の娘なだけに、生まれながらに第二王子の許嫁に決まっていたものの、その相手は病弱であり、十代で亡くなってしまった。 公爵はグレーテが長女の為にすぐさま次の相手を見繕ったものの、高名ではあるが今度は戦地に行きっぱなしの騎士。戦況が悪化し、その騎士も戦死し、三度目の正直でヒロインに当てがったのは老齢な伯爵。 でも二度あることは三度あるということで伯爵は病気で亡くなります。 その頃にはグレーテも二十二歳と言う、貴族の娘にしては行き遅れもいい所。 王子が亡くなってから、公爵はヤケになってるのかと思う位相手のチョイスが適当過ぎて、グレーテが気の毒過ぎる。しかも不幸なことにこのルクール国は迷信が信じられてる国だったせいで、彼女は呪われた令嬢と言う不名誉な名で呼ばれるように。 そんなグレーテを不憫に思ったのはルクールの国王。本来ならば娘になるはずだったこともあり、思案の末、友好の名目で隣国アルテアに政略結婚の打診をし、白羽の矢が立ったのが宰相の息子であるエリクでした。 だが、アルテア国は国王の悪政とその突然の死により荒れていて、グレーテの輿入れは呪われた令嬢にはお似合いの縁談と思われていて・・・。 口さがない悪評と、家族からさえも疎外されていたヒロインが、隣国で婚約者に愛され本来の自分を取り戻すと言うストーリーです。 途中、エリクが予想外の事故により死にかけるんですけど、薬学を勉強していたグレーテのおかげで一命をとりとめ、この出来事が彼女の良くない噂を払しょくする、成程こうきたか、な展開になっています。 評価:★★★★ 公爵一家と言うか公爵の婚約者チョイスが諸悪の根源だったので、何かしら痛い目には合って欲しかったけれど、ほぼ縁切り状態だし、ヒロインは幸せになったのでそれで良し。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.19 17:53:02
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