「邪魔になった」と離縁された伯爵令嬢、次期皇帝(元夫)に再婚要求される
2023年11月刊ロイヤルキス著者:あさぎ千代春さん家族に虐げられ屋根裏部屋に住む伯爵令嬢・セレスティアのところへ、十年前に自分を一方的に捨てた元夫・アルフレッドが迎えに来た。当時第六皇子だった彼はなんと、次期皇帝に成り上がっていて!? 尊大な態度に初めは反発心を抱くセレスティアだったが…。「この十年、お前を傷つけたことを忘れたことはない」アルフレッドから悔いるように真相を告げられ、とめどない感情が湧き上がり…。「俺の心を癒せるのは、生涯でお前しかいないんだ」傲慢で孤独な次期皇帝が清らかな姫にかしずく。かけがえのない愛の物語。 ↑楽天ブックスよりあらすじ引用登場人物 セレスティア=伯爵家の長女。離縁され出戻ったことで継母と義妹から使用人以 下の扱いを受けていた。 アルフレッド=帝国の皇太子でセレスティアの元夫。 カヤ=アルフレッドの実母と同郷の女騎士。 ヴィオラ=アルフレッドの第一測妃候補の侯爵令嬢。アーマイン王国のメロディ伯爵家の長女・セレスティアは、国家間の取り決めにより、僅か5歳でケイオニア帝国の第6皇子・アルフレッドに嫁いだ。当時、アルフレッドは21歳。セレスティアの年齢も鑑みて、夫婦というよりは年の離れた兄妹のような関係であったが、彼の領地で楽しく暮らしていた。しかし、そんな暮らしが終りを告げたのは嫁いできてから7年後、彼女が12歳になった日のこと。あれほど優しかったアルフレッドから「お前が邪魔になった」と突然離縁を告げられ、セレスティアは故郷へ送り返されてしまったのだった。意気消沈して伯爵家に戻れば、父は病で鬼籍に入っており、家は継母が乗っ取っていた。元々継母とその連れ子である義妹は本妻の子であるセレスティアを嫌い、邪魔者扱いしていた。継子が嫁いでくれて万々歳と思いきや出戻って来たので継母は激怒。古参の使用人たちが止めるのも聞かず、セレスティアをメイドとしてこき使い出したのだ。そんな生活がもう10年。22歳になった彼女は疲れ果てていた。今夜、継母たちはケイオニア帝国の使節団来訪の歓迎パーティーに出席している。何故かあの日以来、外出を禁じられているセレスティアは、もう長い事ご無沙汰な場だ。だが、屋敷に女性騎士が訪れて、セレスティア宛の今夜の歓迎パーティーの招待状を手渡した。帰国して以降はこの手の招待状は来たことが無い。しかし、使用人たちは大喜びで用意を整えると彼女を馬車で送り出したのだった。会場に着くとあの女騎士が待っており、ある一室に通された。すると奥に座っていたのはかつての夫・アルフレッドの姿が。彼は立ち上がると徐にセレスティアを抱きしめ、お前を迎えに来た、お前は皇太子妃になるんだ。と告げた。あの日冷たく切り捨てた癖に今更どういうことだ、再婚なんかしないと突っぱねたが、もうこの国の王とも話が付いていると聞き血の気が引いた。思わずその場から逃げ出し屋敷に逃げ帰ったセレスティアはふて寝を決め込み、目覚めると屋敷は大騒ぎ。継母と義妹が昨夜のパーティーにセレスティアを行かせたと、力を貸した使用人たちを𠮟りつけていた。飽く迄自分のせいだからと許しを請うセレスティアを継母が打ち据えようとした時、それを止めたのはあの女騎士で、その背後にはアルフレッドが。彼は継母をにらみ、セレスティアに渡していた慰謝料代わりの金品の使い込みを言及。しかも継母は跡取りであるセレスティアが死亡したと虚偽の申請をして伯爵家を恣にしていたことも暴露され彼女は茫然。道理で招待状の類が来なかったわけだと納得もしたけれど、継母たちがが今までセレスティアにして来た仕打ちに対し彼が激怒。帝国流の刑罰を実行しようとしたので慌てて止めた。アルフレッドは昨夜はわざと好きにさせていたようで、これから帰国すると告げると無理矢理連れ出した。どうやら意識を失っていたらしい。ふと気づくと船の中だった。傍にはアルフレッドがおり、この強引な拉致に対しての文句を言うとずっと気になっていたあの突然の離婚の理由を尋ねた。当時の彼は母親が蛮族の姫ということで皇子でありながら皇宮に居場所もなく、後継者争いとも無縁であったと言う。そんな彼に政略結婚の話が出て、候補の中から一番無難な娘・セレスティアを選んだ。嫁いで来た彼女はまだ幼いせいか無邪気でそれ故に恐れ知らず。豪胆な性格が亡き母に似ていた。それでアルフレッドなりに慈しんでいたのだが、セレスティアを貰い受けたいと幼女趣味の公爵から打診された。彼にはまだ公爵に対抗する力が無く、あんな奴に渡すくらいならと離縁に踏み切ったらしい。真相を知って一言言ってくれればと絆されかけたが、その後続いた「でも、いずれお前は俺の弱点になる。だから邪魔だったんだ」の言葉に絶句。じゃあ何で今更と、と噛みつけば皇太子なり、近いうちに皇帝になるからだと言う。今ならお前を守れると語る彼に腹立ちを覚えながらも、未練があったのは自分も同じだと自覚もしていた。疑問に思っていた第六皇子が皇太子まで登り詰めた経緯も5人それぞれ病気やら自業自得のやらかしで廃嫡になったりという経緯だそうで、お家騒動があったとかでないのはホッとした。が、アルフレッドの屋敷に着くなり3人の令嬢が出迎えて来てびっくり。どちら様?と彼に尋ねると皆側妃候補なのだそうだ。この国の皇帝は正妃と側妃を3人まで持てるとのことで、問題無ければこの令嬢達は全員側妃になる。お前だけとか言いながら妾が3人とかふざけんなっ。激怒したセレスティアはやがて悲しくなり部屋に引き籠った挙句食事をとれなくなってしまった。心配したアルフレッドは医師の勧めで、かつて二人が過ごした領地・ミゲルに静養に行かせ、護衛として女騎士・カヤを付けた。懐かしい土地での暮らしで段々セレスティアは復調して行き、カヤともよく話をするように。領民たちとも親しくなって馬で出かけるようにもなった。カヤからアルフレッドの事情を聴き、自分の子供っぽい嫉妬で彼を困らせたことを反省したセレスティアは皇太子就任の祝いをすると言うミゲルの民総出の祝賀祭りにアルフレッドにも来て欲しいと手紙を書いた。当日、護衛を振り切って一刻も早くお前に会いたかったと告げる彼に素直な自分の気持ちを話したセレスティア。側妃の件は私が我慢すればいいこと、アルフレッドの気持ちを疑わないと決めた。しかし、まだ踏ん切りがつかず、好きなだけここにいていいと言う言葉に甘え体力回復に努めていた頃、セレスティアの妊娠が判明。忙しい合間を縫ってアルフレッドがミゲルに通い、その間仲睦まじく過ごしていたので周囲は時間の問題だと思っていたらしい。カヤを始め、使用人たちの祝福の中、王都の方が何かあった時にも対処できるからと彼の屋敷に帰ることになった。王都に帰還するとアルフレッドの過保護が爆発。カヤたちに呆れられながらめでたいことだからと屋敷中も湧いていた。だが、そんな二人を苦々しく見ている人物が。第一測妃候補のヴィオラは正妃になるセレスティアを身分から下に見ており、自分こそが正妃になるべきと目障りに思っていた。初対面から彼女に嫌味を言ってお互い印象は最悪。やがて、この嫉妬心が後の騒動のきっかけになり・・・。セレスティアの妊娠が判明し安定期に入った頃、皇帝にも報告すると式は戴冠式と同時にするとして先に入籍をするよう命じられます。アルフレッドも懐妊によって彼女の立場も守れると父の命に従い早々に籍を入れ、セレスティアは正式に皇太子妃に。面白くないのはヴィオラで、挨拶以来病に伏す皇帝の見舞いに足繁く通い、可愛がられているという彼女の評判を聞きつけ、皇宮でばったり会ったセレスティアを罵ります。まぁ一介の侯爵令嬢が皇太子妃にそんな態度をとるなど許されるはずもなく、あまつさえ言い返した彼女を扇で殴ろうとしたことで大問題に発展。アルフレッドは身重な妻に暴力を振るおうとしたと極刑を課すよう考えますが、穏便にという妻の進言に思いとどまり測妃候補の資格を剥奪に留めます。ヴィオラは必死に弁明するも、多数の目撃証言により撤回することが出来ず侯爵邸での謹慎が決定。心を病んだヴィオラは同情した父親を巻き込んで、皇帝がセレスティアに贈ったお披露目用のドレスを盗むという暴挙に。お披露目時間が押したことで騒ぎになりかけた所、アルフレッドとセレスティアが城ではなく、街中に姿を現し国民たちを鎮めるのでした。美男美女の皇太子夫妻は圧倒的な人気を誇り、皇帝になった後もよき王として慕われたようなことが書かれ本編は幕。後日談として番外編が2本。皇子ジョゼフが妹を欲しがる話と、その希望通り、皇女ブルーベルが産まれ4人家族になった皇帝一家のお話でした。最初、アルフレッドの傲慢な性格が好きになれなかったんですけど、大人になったセレスティアを溺愛し彼女の一挙手一投足が気になってしょうがない様子を見るとかわいく思えてきました。でもまぁ、測妃3人は多いよね。最後は測妃制度は撤廃されることが決まるので問題解決して本当に良かった。評価:★★★★★投稿方法を少々変えたら漸く記事をUP出来ました。暫くはこれで行くしかないようで。