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カテゴリ:アルファポリス
2020年8月刊 エタニティ文庫 著者:栢野すばるさん 周囲に正体を隠しながら「官能小説家」として活躍している詩織。実はお嬢様でもある彼女は、子供の頃からの許婚と、この度めでたく結婚することになった。密かに憧れていた彼との生活は嬉しいけれど、家族にも内緒にしている自分の職業がバレたら、きっと婚約破棄されてしまう! 焦った詩織は、なんとか秘密を隠し通そうと奮闘するが……!? 彼女の全てを知りたい彼×隠したい彼女の恋愛攻防戦スタート! 文庫だけの書き下ろし番外編も収録! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 登場人物 古河詩織=女性向け官能作品をメインに書いている小説家。 孝弘には職業を隠している。 小早川孝弘=金融系企業の御曹司で後継者。 女性向けエロ作品を読むのも書くのも大好きな詩織。 やがて書く方に重きを置き始めた彼女の作品が出版社の目に留まってデビューしたのは5年前のこと。ありがたいことにその界隈ではちょっとは名も知られるようになっていた。 著作は20作にも昇る。 エッチだけどほんわかと優しい作風が受けているようで、ありがたいことに仕事の依頼も途切れず、今年はあと5作発売される予定だ。 大手ゼネコン企業の創業者を祖父に持つ詩織は、実はかなりのお嬢様。 産まれた時から親同士の約束で決まった婚約者の小早川孝弘とは本来5年前に入籍寸前だったのだが、当時はまだ短大生で中退したくも無かったし作家デビューが決まった頃であった。 孝弘のことは好きだけどまだ結婚という実感も無く、修行のために数年海外赴任するという彼に付いて行く度胸も無かった。それに新人作家が海外在中とか、担当さんにも色々迷惑だろう。 だが、一番の理由は孝弘に仕事と趣味のことを隠していたから。 両親ですら詩織の職業を聞いたら卒倒しそうなのに、いくら孝弘が優しい人でも受け入れてくれるか甚だ疑問だ。故に隠しておくのが無難、と結婚を熱望する孝弘に苦しい言い訳をして延期にして欲しいと頼んだ際の悲しそうな表情が忘れられない。 渋々了承してくれた彼が海外赴任に旅立って5年。帰国した後は暫く父親の元で働くと言う。高級レストランで久しぶりに再会した彼は男前に磨きがかかり、向こうでもさぞかしモテたんだろうなと思う。正直、婚約解消されても仕方ないほどの不義理をしてしまったのだ。 今日は何を言われるののかとドキドキしていると、赴任先で購入したらしい小豆大のピンクダイヤをあしらった見事な婚約指輪を渡されてビックリ。 育ちはお嬢様でも金銭感覚は一般人並みの彼女は、落としたらどうしようと戦々恐々で、改めて結婚の話を切り出されても上の空だった。 孝弘にしてみれば5年も待ったのだから、流石にもう応じて欲しいと言う考えのようで、君の部屋でゆっくり今後のことを話したいと言われて慌てて散らかってるから別の日にして欲しいと頼み込んだ。 なにせ、プロットを書き散らしたノートやら、献本。購入したTL小説の数々があちこちに散らばっている部屋になんて招待できるわけがない。 間取りだけは父の名義で借りている高級マンションのそれなのだが、あの有様を見たらきっとドン引きされる。指輪を受け取ってもらえたからか、今日の所は引き下がってくれたけど、原稿の合間に献本と購入した本にはカバーを付けてどこかに仕舞わないと。 あれ以来、デートを重ねてはいるものの、孝弘の王子様っぷりにドキドキしっぱなし。だから余計にこんな私でいいんだろうかと不安になる。 それを結婚したくないと取られたのか、孝弘に詰め寄られ強引に体を奪われてしまった。以降、彼に遠慮は無くなり、自宅ではなく詩織の暮らす部屋に帰って来るように。 毎日7時には出勤して0時過ぎに帰宅する彼の身体を心配しながら、孝弘の為に少しでも役に立てるよう勉強する決意をした詩織。 それにしても、最近の彼はエッチの時にやたらと特殊プレイを強要してくる。結局流されて気持ちい思いをしているから良いのだけれど、このシチュエーション、見覚えがあるような。 ネクタイを使ったり、鏡プレイとか、全部自分で書いたものばかり。 まさかね?孝弘は詩織のペンネームすら知らないはずだ。 でも、BLにも偏見無いようだし、それどころか趣味嗜好のエンタメはかなり需要があるのだと力説もしていた。それも義父から今度出版会社を任されるからだろうか。 孝弘からの溺愛は留まるところを知らず、しびれを切らしたのか詩織の両親を焚き付け入まんまと二人から入籍の許可を得ていた。この頃になると自分も彼に惚れていると言う自覚もあったし、結婚に何の文句も無いのだが、本業のことは結局話せていない。 転寝してPC点けっぱなしにしてたり多々あるから実はバレてるんじゃと思わないでもないが、そうでなかった場合打ち明けるのに勇気がいる。 そんなある日、力試しに応募した一般作が奨励賞を受賞。 そのお祝いに兄の友人で、ベストセラー作家のヒカルがお祝いしてくれた。しかし、偶然二人の様子を見かけた孝弘が詩織の浮気を疑い・・・。 ちょっと変わった思考のヒロインと彼女を溺愛し一筋のヒーロー。 終始コメディ調でクスリとするシーンが多数。 ヒカルさんは実はゲイで、詩織の兄にホの字なんですけど、孝弘に誤解されやれやれと言った様子。彼の機転で疑い自体はすぐに晴れることになり、孝弘は詩織の著書を全部読破したことを告げます。 ペンネーム自体、留守電で呼ばれていた名前から推察されていたようで、入手できる本全て読破。詩織らしい優しい話ばかりだったと褒めるのでした。 彼は妻がエロ小説を書いてようが気にしておらず、結局詩織の杞憂に終わったわけですが、彼の言葉を受け自らも孝弘のことがどんなに好きか打ち明けます。 ようやく念願の入籍を果たし、ラブラブな夫婦の様子が描かれて本編は幕。 文庫版用の書下ろしは本編ラストから約4年後、長女・沙織を交えた小早川家の日常でした。 評価:★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.29 14:46:05
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