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カテゴリ:こはく文庫
2024年9月刊 こはく文庫 著者:扇レンナさん 子爵令嬢のナディアにはマティアスという幼なじみの婚約者がいる。 マティアスは社交界中の令嬢の視線を独り占めしてしまうほどの美形で、ナディアは「地味で目立たない自分ではマティアスとは不釣り合いだ」と思っている。実際、マティアスを狙う令嬢たちからは「あなたのような地味な女性では、ティアス様がかわいそう」となじられるし、そんなナディアに対し、マティアスはいつも少しイライラしている。けれどナディアは、それでよかった。マティアスをイラつかせてしまうのは申し訳ないが、苛立ったマティアスの顔を見られるのが嬉しかった。 そう、ナディアはマティアスの美しい顔が大好きなのだ。マティアスの美しい顔だけを見つめてきたナディアと、そんなナディアのことが大好きなのに、「どうせ顔しか見ていないくせに」とナディアに対して臍を曲げてしまっているマティアス。はたして二人は、互いの本当の気持ちを確かめ合うことができるのか……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用
登場人物 ナディア=自他共に認める面食いな子爵家の次女。 マティアス=伯爵家の後継でナディアの婚約者。 フリーダ=ナディアの姉。 ティーメ子爵家の娘・ナディアに婚約者が出来たのは11歳の時。 姉のフリーダが家を継ぐので、将来的には婿を迎えることになるのだが、地味で大人しい次女のナディアが行き遅れては堪らないと両親が早めに手を打った結果だ。 そんな彼女が引き合わされたのは何とも見目麗しい少年。 今年13歳になるリールシュ伯爵家の嫡男・マティアスは、今まで見たことが無いほど美しい顔をしていて面食いな彼女は思わず凝視。 ガン見されて気分を害したのか、マティアスはムッとした表情になったので、慌てて謝罪したけれど確かにあまり良い気はしないだろう。 残念な初対面にはなったが、あれから11年。二人の結婚も間近となり、伯爵夫人としての教育も大詰め。マナーは叩き込まれたものの、社交での付き合いは実地で学んでいくしかない。 そして、マティアスは大人になってもその美しさは変わらない。 おかげで、地味女のナディアは相変わらず彼に見惚れながらも、内心では申し訳ない気持ちに苛まれていた。あなたの婚約者が私で本当にごめんなさいっ。 当然、令嬢達にも大人気な彼はモテまくりで、何であんなのが婚約者?とばかりにナディアは妬まれていた。いやぁ、ホントもうそれ本人が一番思ってますから。 そんな本音をズバッと言えればまだ良かったのだが、面食いな性分は同性である令嬢にも発揮され、思わず見惚れているうちに言い返せないまま終わってしまう。 鈍い上に言い返せもしないグズな娘。令嬢達に嘲笑られているナディアをさりげなく庇ったのはマティアスだった。彼女達は彼からの俺の婚約者に何か文句でも?という圧に負けてすごすご引き下がっていたが、当の本人からはもっとしっかりしてくれとお叱りを受けてしまった。 あんな連中に好き勝手言わせるなということらしいが、これがなかなかに難しい。 心で思っていても言葉に出来ない。長年の付き合いでそんな性格も理解しているマティアスはため息を吐くと、いきなり俺のことどう思ってる?と聞いて来た。 顔だけでなく全部ひっくるめて好きです!すぐに答えなければいけないのに、自分に自信が無くて言葉に詰まっていると、いきなりキスされかけて驚いたナディアは気絶。目覚めると自分の部屋のベッドの上。 彼の本心が判らない。 地味女の婚約者なんて女避け程度にしか考えてないと思っていたのに。 そんな彼が見まいに訪れたのは三日後のこと。 マティアスはナディアを見るなり、君のことが好きだよと告げた。 予想外のことにパニくってしまったものの、必死に私も、と答えてみたがイマイチ信じてくれない。ちゃんと本心なのに。それでもいつもと違う様子の彼女に最後は漸く信じてくれたが、これは拙い。 思わず姉に相談すると、あんたたちは徹底的に会話が足りない、と呆れられた。取り敢えず、思っていることを口にしなければ始まらない。フリーダのアドバイスで彼と腹を割って話そうと決めた。 元気を取り戻した妹にエールを送りつつ、フリーダはそういえばとある話を切り出した。先日、リールシュ伯爵家のライバル・デルブリュック侯爵家が不正で逮捕され貴族位を剥奪されたらしい。 逆恨みから当人意外に関係者を狙う可能性があること、ナディアもターゲットになる可能性があるので充分気を付けるよう忠告を受けた。 数日後、何とか本心を打ち明けたおかげで二人は仲直り。 今日は女優の顔がドストライクだから、部隊を観たいと言うナディアにせがまれ劇場へ。顔だけでなく演技も脚本も素晴らしかったと彼女は大興奮。 感想を言い合っていると、突然後ろから腕を引かれたナディアはクビにナイフを突きつけられて蒼白。背後をチラ見すると元デルブリュック侯爵の息子・ベネディクトではないか。 フリーダの言う通り、マティアスに仕返しに来たようだが、どう考えても不正を働いた侯爵なのにと思うと怒りが湧いた。勘違い甚だしい言い分にマジギレしたナディアにベネディクトもたじたじ。 想像以上の激しい抵抗を受け、その隙をついたマティアスにベネディクトは拘束されることに。勇敢にもベネディクトに食って掛かったナディアにマティアスは更に惚れ直し・・・。 この事件から一年後、二人は結婚して物語は終わっています。 エピローグ部分は式の様子と初夜エピくらいなので、特筆することも無く。 面食いな地味令嬢の婚約者がピカイチの美男だったら?ということと、ネガティブなヒロインの葛藤が描かれた今作。開き直るまでのナディアの性格に好き嫌い分かれそうな気がする。 取り敢えず、誤解の後に想い想われな関係に慣れて良かったね。 あと、タイトルは侯爵令息とありますが、作中では一貫して伯爵令息です。 途中でプロット変わったのかな? でもそれ以前に編集さんが間違いに気付いてあげて欲しい。 評価:★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.23 14:32:43
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