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いい星つくろう

2019/06/23
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 基軸通貨となったドルの通貨発行権をアメリカが未だに握っている、ということがドルの発行益そのものだけでなく、交換して得た外貨が生み出した価値を富へと換えながら、更に為替市場を通じた通貨価値の移転の度に、為替差益(または差損)なども同時発生させる機能を、アメリカが終始一貫して成り立たせてきた。ドルを供給する任務は、アメリカと国際金融資本とに莫大な収益を齎し、機会ある毎に利益を富へと換えさせて、再投資へと向かう資本の流れを扶育してきた。ドルの度重なる移動で発生した各種の恩恵が、北米大陸に富を一方的に積み上げる土台となっている。

 

 MMTに共鳴する当事者たちは、そこに踏みこむことを当初から何故か避けている。基軸通貨としてのドルの特別な属性を見過ごし、有害な過剰流動性となって国際市場に滞留し、ドル余り現象を起源とした、世界規模の金融危機を発生させた事案を、未だにまったく考慮していない。MMTはローカル通貨の発行権の機能について、一定の水準にある有益な知見を与えたのだが、グローバル通貨となって権能するドルの属性については、言及もしていなければ問題点を指摘したこともない。

 

要素抽出が不完全であるのなら、要因分析を誤って成果を挙げるどころか、判断そのものを迷わせて、不首尾に終わらせる原因となり兼ねない。問題の所在を特定してからでなければ、解の正当性を担保する能力は定まらない。為替市場でドルが果たしている固有の機能について、点検してそれが生むダイナミズムを、予め確認しておくということが重要な手順となろう。経済というものは(経済学ではない)、知られざる見えない力学的要素で充たされている。これが指導体制の判断能力を毀損する大きな要因となり、リアルタイムで世界に対して同時多発的に作用する、経済の不確定因子となって圧(の)し掛かる。

 

 通貨間の価値の移動で生じる調整機能を果たしている、為替市場に於けるドルの隠然たる関与を、MMTはこれまでのところ、完璧に無視し続けている。ローカル通貨の発行権は価値の移転を伴わないため、その供給量には制限を設ける理由がそもそもない。単独通貨としての固有の価値が、ローカル市場ではまったく変化しないからである。MMTが論理的に有効である場合とは、通貨交換の反応場である為替市場の関与がない、独立した状態で成り立っている、アメリカ以外の国の市場に限られる。通貨価値の移動で生じる為替差益(差損)の影響を受けないためには、基軸通貨であると同時にローカル通貨でもある、というドルに固有の二面性を排し、すべての国の通貨を公平な条件で、統一的に決済するための計画づくりが必要となる。例えばビットコインのような人工の第三通貨、を経由するシステムを取り入れる、ということなどが現段階で考えられる。

 

 ドルにだけアドバンテージを与えている現在の通貨交換方式は、公平でもなければ平等でもない。そこに生じている落差こそ、偏頗な経済構造を容認して、貧富の差を生み出したそもそもの決定的な要因であった。いまではたった1%に過ぎない富裕階級を、99%の無産階級が支えている、という構造が普遍化してしまい、それが移民と戦争難民に対する攻撃性を高めさせ、イギリスをEUから離脱させようとする勢力や、極右政党を躍進させる動力源となっている。統合体となったEUを空中分解させる可能性を、一連の変化が高めているかのように思われる。

 

北米大陸にだけ富が偏在する仕組みを作ったのは、基軸通貨としてのドルがもつ公平ならざる偏った傾斜と、可処分所得を増税で圧縮され続けてきた、かつて消費行動の主体的存在となっていた、八割方を占めていた中産階級が、有効需要の創出に失敗し付けている大きな政府に、デフレという経済環境を強いられた企業から、可処分所得を減らされつづけて一斉に下層化してしまった、という負の経過に対する抗議行動となって、感情の高まりを顕在化させたものとみられる。権威主義的で教条主義的な姿勢の経済学者たちが、判断を誤っていながらその事実に一向に気付かない、という余りにも不毛なこの現実こそが、MMTに取り立てて脚光を浴びせているようである。







最終更新日  2019/06/23 04:47:40 PM
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