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2011/04/03
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 地震と津波が原子力発電所群に甚大な被害を与えたことにより、放射性物質を大気中へと大量に拡散させただけでなく、海洋中にも紛れ込ませていたという事実がその後発覚し、直接の原因者となった電力会社への批判はより一層高まった。この業界が原発導入に積極的であった、という証拠はしかしながら見当たらない。しぶしぶながら国の要請に応えてきた、という印象の方が寧ろ強い。国の原子力政策を推進してきた議員連の意を受けた官僚たちが、監督権限を利用して、電力業界に原発を導入するよう画策してきた、ということが今日の原発事故を惹起させたそもそもの原因となったのである。

 核エネルギーの熱効率が極めて高いことは、冷却機能を失った原発が、高温の炉心溶融を簡単に誘発させた事実からも推定できる。原発に於ける蒸気発電で必要とされる熱は300℃に満たない。それ以上の高い熱は、却って管理を難しくする邪魔な成分なのである。そこで、核分裂反応を抑制するための制御棒の関与が必要になっていた。蒸気を圧縮する過程で、熱の上昇という随伴現象が現れる。ヒートポンプはこの現象を利用した者である。

 原発の冷却系がいとも簡単に毀われてしまったというその事実が、崩壊熱の発生を急速に進めていったことから、それが熱暴走という状態へと一瞬で転じてしまったのである。その高められた熱が冷却水だったものを、水素と酸素へとそれぞれに分解したことによって、水素と酸素の分子濃度が急速に上昇してしまい、最終的に水素爆発が突発的に起きたのだった。原子炉の頑丈に作られた厚い隔壁を、まさに一瞬で吹き飛ばしてしまったのである。


 水素原子Hは、自然条件下で単独に存在することができない不安定な元素。化合物の形であるH2となることによって、はじめて安定した状態を保つことができる。原子炉に水素が封入されていたとする理由は、ない。二次的に生成した水素分子が爆発で生じさせた巨大な破壊圧により、堅固過ぎるほど堅牢なあの隔壁を、一瞬で粉々に吹き飛ばしてしまったその爆発の威力は余りにも強い。そのために、放射性物質が大気中へと撒き散らされることとなったのだった。

 熱暴走が起きたその時点で、既に部分的な炉心溶融がおきていた、ということを当事者たちはよく理解していたはずである。最終的に確認されたものでなければ、情報として発信する訳にはいかなかったようである。この慎重な態度が本来の隠蔽体質と重なって、地域住民の緊急避難を徒に遅らせてしまったのだった。

 冷却水の注入を続けているその間に限り、熱の増長を制御することができる。つまり、新たな炉心溶融という事態とはならない。その代わり、汚染された水が大量に発生する。この水を貯めておくための新たな措置が必要となっているのだが、既に海洋中に漏れ出してしまっていた。漏出原因となっていたと思われる個所に対策を施しても、とりたてて成果は得られなかった。放射能に汚染された水の漏出は、依然として続いている。(その後漏出は止まったのだが、排水のオーバーフローは一件も報告されていなかった) 

 この汚染された冷却水が地下水へと混入している場合には、海洋への汚染を止めることは大変困難な仕事となる。核燃料棒から発している崩壊熱が治まるまで、長期間ポンプで水を循環させていなければならない。放射性元素を濃縮するそのプロセスが、冷却水に顕れて濃度を高める可能性が高まった。今後の経過観察を、より慎重に見届けるようにしなければならない。


 原発建設を積極的に推進してきたすべての議員と官僚たちは、認識の誤りを恥じてその責任を自らの意志でとるべきだ。日本だけの問題では最早ない。原発の安全性に根拠など存在していなかったのだ。それを安全だと言い張っていたのだったから、それなりの覚悟があって然るべきであろう。彼らが誠実に責任をとるという義務を果たしてからなら、東電の言動について批判する段階へと移行することができるのだ。行為を強制した立場の者が、強制された立場の企業を譴責するのは筋違い。理の通らない話なのである。

 放射能事故が事実として確定している今回の原発事故では、どのような正当化も許されることではない。できることがもしあるとすれば、それは国民を危地に陥れたことを、率直に反省し謙虚に詫びることだけなのだ。核エネルギーは文明を破壊するほど強烈な力をもつ。発電効率がどれほど優れていたとしても、それが安全性を担保するということはなく、廃炉に至るまで相当の期間冷却を続けていなければならない。

 まことに不経済なことであるのだから、決して効率的なプロセスだということはできない。発電効率が高いが故に、発電出力を調整することができなったということなのだ。このため需要が大きく減った深夜では、使われずに余ってしまう電力が大量に発生する。深夜電力料金制度や揚水式水力発電方式などは、その問題を解消するために、便宜的に導入された措置だったのである。その対策の有効性については、何の評価も未だに得られてはいない。

 日本が目指すべき本来の目標は、脱原発と脱温暖化ということでなければならない。交流の高圧送電に依存したままで、この目標を達成することはできない。可能な選択肢があるとすれば、それは電源の独立分散化ということなのであり、交流と直流を複合させる回路の合理化という方法なのである。発電原理を調査すれば、出力が安定しない自然エネルギー以外に、燃焼行程を完全に省く方法のあることに気づくだろう。

 便利だが有害な交流送電に頼っている以上、この未来のエネルギーを文明が手に入れることはできない。その意味で今回の災害は、人類に認識の転換を迫る大いなるきっかけとなる。権威とされてきたものが誤りであった時、最悪の結果が粛然として訪れることとなる。
 有益なシステムが登場する時代になると、有害なシステムは退場せざるを得なくなる。発電能力が安定的に維持されている未来型の電源は、電力消費の抑制、つまり節電という行為を一切求めない。

 誘導起電力は、磁場変化の割合にひとしい。ここが分かっていれば、有効な対策を簡単に導ける。高価なだけでなく有害な地下資源を介在させなくても、磁場変化を与えられる有効な方法は複数残されていた。計画停電で操業時間を調整しなければならなくなった企業は、独自の環境電源を急いで開発するべきだ。その性能がすぐれたものであるならば、それが世界標準となり得る。


 鉄道会社は架線による饋電方法から離れることで、公共輸送機関としての役割を円滑に果たせるようになる。自動車産業もよい電源があれば、EVに搭載する二次電池の量を圧縮することができ、また充電するために長時間停車させておく必要性も同時になくせる。やるべきことは環境負荷のない電源の速やかな開発なのだ。世界が必要とする理想的な電源を開発した国は、その供給権を保持し続けることで、独立した安全保障政策を組むことができる。

 原発推進派が密かに目論んでいるような、核資源の兵器への転用など何の意義もない。却って国際社会に混乱を招くだけなのだ。イランが数年来引き起こしていることの顛末を見ていれば、そのことが十分に分かっていてよい。
 目標が誤っているときには、途中経過でも誤りを生じさせるようになるだけでなく、結果に於いてもまた誤る。原発の導入という目的が正しからざるものであったために、電力の負荷平準化という解決できない問題に電力会社は苦しむこととなり、自然災害に遭遇しては計画停電の実施を余儀なくされた。

 冷却系の機能不全から原子炉そのものを破壊してしまっただけでなく、放射性物質を大気圏と海洋中へと同時にばら撒くこととなったのだった。
 シャツの第一ボタンを掛け違えると、最後になるまでその過ちに気付かない。気付いた時にはもう手遅れ、という事態に陥っている。 
正しい現実認識をもったとき、日本は世界を平和へと導く能力を身につける。
 二番手を目指してやってきたこれまでの実績から離れ、これからは世界の健全なリーダーとなることを目指さなければならない。正当な認識を手中のものにしたとき、二番手で甘んじていた時代が招いた結末の意味を知るだろう。






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最終更新日  2021/04/25 04:16:32 PM
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