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2012/02/19
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 持続する円高状態とは、手持ちの外貨を売って、日本のローカル通貨である円を買うということが、量的に増えたということである。このところ通貨価値を高め続けている円が、一体どのような目的に使われているのか、ということを調べた記録は何故かどこにも公開されていなかった。円高になるその訳をきちんとリサーチしておかなければ、有効な対策を立てることなどできるはずがない。

 日本経済にとって極めて有害な経過が、外貨を持つ組織群によって、意図的に維持されている。円資本を持つ何らかの組織に、円で投資させる仕組みを政府が作っておけば、円高になったときに、その円を国内市場へと投資させることが可能になる。この方法を採ると、ドル資本が得る利益を上回る余沢を、世界中の為替市場で生み出せるようになるだろう。景気が永年低迷し続けているというこの現実は、円高の利点を景気の回復に利用しなかった政府と、金融当局のもつ不見識とがもたらしたものなのである。

 国内にいる円の供給者が、円を売ってドルを買っているように見せかけているからこそ、円高状態が恒常化しているのである。日本には、円高を何年も続けるほどドルの需要など存在しない。ドルを仕入れることでメリットがある組織はどこか、ということを特定するのに困難などはない筈だ。真実を国民が知ることを恐れている何モノかが、為替メカニズムの裡に潜む有害な成分を、目に見えないものへと変えている。

 ドル経済圏の発展がそのまま利益となる何らかの組織が、ドルの価値を引き下げる効果のある円の価値を高めることで、ドルをその後効率よく買い戻すことを可能にした。日系の組織でドルを積極的に買っているのは、地下資源を輸入する必要がある企業である。だが、それだけでは円の価値を引き下げる効果は得られない。ドルを大量に買うために円を売らなければならない理由を、日本の企業がもっているという訳ではない。保有しているだけで相対的に価値の上がる円と、もっているだけで価値がどんどの下がっていくドルとを、交換して喜ぶ馬鹿な投資家が日本にいるとは思えない。


 円を売る行為そのものがメリットになるのなら、日本の銀行は喜んで迂回融資をするだろう。だが、そんなことがおきたとする記録はない。規制もあった。だからこそ、円の供給者が日本にいなかったということだったのだ。円の供給量が少なければ、それだけで円の通貨価値は上昇する。海外の金融資本で円を既に持っている組織が、リスクをさけて手持ちのドルを日本へと避難させていたのだったからこそ、大量のドル売りを日本市場は吸収できず、円の需要水準を必要以上に高めざるを得なかった。その行為が、円の通貨価値をこのところ急速に上昇させていた、いうことになる話だったのである。

 円資産を持つ海外の組織は、獲得したその在外資産をドルへと戻さなければ、収益を本国で投資家へと還元することができない。日本に上陸したとき円となったかつてのドルは、時機を見て再び元のドルへと戻さない限り、その市場に留まらざるを得なくなっている。日本市場で運用益を計上しそれをドル換算することで、利益として確定させることになる訳だ。国内市場に外来種の円資本が投入されない場合、それは円が高くなったタイミングで、ある意図に基づく制御の下で、元のドルへと緩慢に戻されてゆく。

 日本市場への投資が実際になされているのなら、買われた円は資本効率を高めるために使われていなければならない。この状態は国内の景気を浮揚させるために、円が機能しているということを意味する。日本のバブル経済というものは、市場で余っているドルを、日本へと売りつけるための措置以外のなにものでもなかった。ドルを売りつけて得た円で、日本の不動産市場に投資するための資本を集中させていたのであった。

 この外国資本の流れに国内の投資家がこぞって迎合したということが、不動産価格の急上昇を日本で引き起こすこととなったのだった。投機を煽った当時の経済評論家共の罪は、振り返ってみると極めて重いものがある。彼らはその後息を潜めて、人目を忍んでひっそりと暮らしている。同調してバブルを盛り上げていたメディアの側も、その後は素知らぬ振りで、自らの行為も含めて責任の追求を一切しようとしなかった。

 ドル建ての資本だったものが、日本の決して値下がりしないと思われていた土地へと、大挙して流れ込んできたために、円の通貨価値を急上昇させただけでなく、土地神話を根拠とした投機に、国民の多くが踊らされて熱狂するという時代を生み出した。土地の価格は勝手にどんどん上昇するようになっていき、銀行は裏にまわって迂回融資をするためにノンバンクを林立させ、土地を取得するための融資の拡大へと一斉に走り出していたのであった。

 そこに建設業界と不動産業界がつけこんだことから、将来の値上がりを見越して、土地を先行取得しておくことで、利益を上積みすることができた投機筋が、予め仕入れておいた土地を、値が上がった時を見計らって惜しみながら放出する姿勢を取り、それを別の業者が仕入れて寝かさておく間に、その価値はどんどん高まっていくようになっていた。需要が高まっている時に売り惜しむ当事者が増えると、土地の価値は否応なしに高まっていくのである。業界自らが土地価格の上昇を誘導するようになっていったということが、仮の需要を業界が生み出す姿勢を利用して、消費者による実際の需要を刺激して価値をより高める、というメカニズムが生み出されていたのであった。

 こうして仮需が実需をひっぱっていったことによって、成立した実需が更に仮需を押し上げる、という展開が成り立つようになっていたのであった。この先行投資の相互連環というサイクルが、バブルにバブルを生ませるというあの狂気じみた時代を導いた理由であった。このため土地の価格は上昇する一方となったのであり、絶対に値下りしないと思われていた土地の値打ちが、神話にまで祭り上げられていくこととなったのである。それがバブル経済のサイクルを、より磐石なものへと補強するための材料として使われた。そんな時代が20年以上前の80年代後期に、日本市場でピークを迎えるようになっていたのであった。

 
 不動産融資に対する総量規制は、成り立っていたバブルのサイクルをもののみごとに断ち切った。仮需を生み出していたノンバンク経由の迂回融資は、上限が設定されたことにより、実需を生み出さない限り次の仕込みをすることができない、という現実を全ての投機参加者に突きつけたのだ。土地価格の上昇を牽引していた仮需が、その役割を果たせなくなったために、一旦手に入れた土地を売却しない限り、次の仮需を発生させることができなくなったということなのである。

 円滑に機能していたバブル経済のサイクルが、ギクシャクするようなものになり、資本の調達に天井が設定されてしまったことから、実需を満たさなければ仮需を生み出せなくなってしまっていたのである。自転車の走る速度がゆっくりしたものになると、走行安定性を保っていることが難しくなる。それと同じことが当時、土地の取引をめぐって日本中で起きていたということなのである。

 バブルの破裂に当時誰も気付かなかったということが、傷口を大きく押し広げ被害をより巨額なものにしたのであった。バブルが潰れたことすら理解できなかった面々は、突然の変化に右往左往するばかりで、一向に有効な対策を実施することができなかったのである。この認識の遅れが失われた十年という期間を作り出したのであり、その後取られた経済対策の誤りを理解できずにいたその後の期間が、それを倍の二十年へと引き伸ばすという結果を生んだ。

 この時代には多くの変化がおきていたのだったが、途中経過の示すその意味を正しく理解した者は、ひとりとして存在していなかったのである。円高という状態だけが、相変わらず維持されていた。円高が続いている以上、高くなった円を買って日本市場に投資しようとする組織は現れず、景気は低迷する状態を続けざるを得なかった。金融当局は理由なく持続する不思議な円高の訳を、いつになっても突き止めることができないまま、為替介入で当座の危機を乗り切ることしかできていなかったのだった。
 
 円高圧力がなくなりさえすれば、景気は反転し直ちに上昇へと転ずる。先週発表された日銀によるインフレ目標の設定は、株価を押しあげただけでなく、円売りドル買いを加速させるという変化を日本へともたらした。この効果は一過性のものであり、そう長く続くようなものではない。公定歩合に引き下げ余地がない以上、量的緩和を実施する以外の方法を日銀はとれない。量的緩和というのは日銀が金融機関に供給する円の量を増やすことにより、企業の投資意欲を刺激することを目的とした対策だったのである。

 その規模が10兆円になるということは、既に公表されている事実。市場に潤沢な資金が供給されても、円高が続いているあいだ投資意欲は刺激されず、資金需要の底上げが起きないということも考えられる。企業が金融機関からの資本調達を加速すれば、日銀の目論見は奏功する。そのためには円の通貨価値が安くなっていなければならない。日本の産業は、輸出に依存して成り立っているものであるからだ。

 世界の市場には、アメリカが過剰供給したドルがあり余っている。リーマンショックではこのドル余り現象が問題を引き起こしていた。余っているドルの仕向け先になっていたのが、サブプライムローン市場と株式市場以外に、日本の通貨である円と中国の通貨である人民元などだった。この二種類の通貨を発行する国家は、自国通貨を売ってドルを買うことにより、その通貨価値の安定化を図らざるを得なかった。

 買ったドルを効率よく運用するためには、仕入れたドルで最も安全だとされているアメリカの公債を買うのが理に叶うことだった。このため両国はアメリカに対する資産である、大量の債権を保有する国となったのである。中国がもつ外貨準備高の3兆ドルと、日本が保有する一兆ドルとは、市場介入でドルを買ってきたその累計の大きさを、具体的な数値で指し示すものとなっている。

 外貨準備高の意味の無い巨額化など、愚かさを証明する以外のなにものでもない。ドル建ての資産はドル安政策で、その価値を減らしていかざるを得ないのだ。それに該当する規模の資本が国内から流出させ、しかもそれを取り戻すことはできない。何故なら、それはドルの価値が高くならない限り損失となるため、売却損の発生を避けるためには、ドル高になるのをただ待っていなければならないからである。


 安くなっているドルで高くなっている円を買い戻せば、そこで損失が確定する。この損失の責任を引き受ける者とは一体誰か。国民は塩漬け状態になっているドル資産を、ただ抱え込んでいる政府を容認していなければならない。一兆ドルの資本を国内市場に投下すると、どれほどの経済効果が引き出せるのだろうか。日本経済の足枷となっているのは、過剰流動性を身につけたドルであるに相違ない。市場で余ったドルを放置しておけば、ドルの通貨価値は急落する。それを避けるためには、市場に滞留するドルがあってはならない。ドルの行先が予め設定されているのであれば、余ったドルを回収してそこへ直ちに追い込んでしまえばよい。ドルを一旦外貨へと変貌させることにより、過剰流動性は消滅して、通貨洗浄を実施する効果さえ手に入る。その途上で米国債の需要をも引き出せるのだ。これほどうまい話は他にあるまい。

 円高状態を放置しておいてはならない。インフレ目標を設定したというアナウンスメント効果だけで、株価は上昇し円高は反転した。日本の金融当局は余りにも消極的であり過ぎた。アメリカの真意を調査分析したこともなく、ドル経済圏構想の拡大にひたすら寄与する守りの姿勢に拘っていた。これ以上の金融緩和は不可能であるため、再びドル売り圧力の対象となることは、これまでの経験則からみても明らかなのだ。日本が急いでやるべきことの第一は、ドル資本が買った円を国内市場で長期運用させる、というその一事に尽きる。

 円を売ってドルを買い戻さない限り、ドル資本の利益は本国へと回収することができない。円安が続くようになっていれば、高くなったドルを安くなっている円で買い戻すことはできない。この状態にあるときにだけ、外資を国内市場に取り込んでおくことが可能になる。それには円の供給者を国内で増やす必要があるのだが、それは民間の資本でなされなければならない。公的資金で円の供給事業を行おうとすると、為替操作国の烙印をアメリカが押すことは明らかなのだ。アメリカと対決する気概と能力のない政治家が、この国をこんなに早くダメにした。






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最終更新日  2021/04/10 06:37:03 AM
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