308834 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

いい星つくろう

いい星つくろう

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016/03/27
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
ベルリンの壁が突然存在理由を失った89年11月を境に、イデオロギー対立を成り立たせていた米ソ間の力関係を変化させたその翌月である12月二日と三日に、マルタ島沖に停泊したソ連側の客船上で、米ソ両首脳が公式会談を行った。取り立てて合意した項目はなかったのだが、敵対関係にあった国のトップ同士が、顔を合わせたというそのことだけで、冷戦構造を終結へと導く転機となって働いた。

 これにより対立軸を失ったアメリカは米軍の軍事力増強と、NATO諸国との同盟関係の維持継続について、同盟体制を強化するための理由を失うこととなってしまったのである。軍産複合体制がアメリカを世界一強い国にした、とそのように世界から堅く信じられていたこともあったことから、具体的な敵の存在が唐突に消えてしまった事態に周章た米政権は、軍事予算を増額する根拠をたちまち失ってしまい、同盟関係の再確認を急ぐよう強く迫られるようになっていた。

 90年八月にアメリカが軍事介入した湾岸戦争では、ソ連という強大な敵を失ったアメリカにとって、軍事力を強化するための、またとない最適な機会となった。先進諸国はエネルギー資源の確保と、国際関係の安寧を図るためには、米軍の存在と関与とが不可欠だとこの時代に再確認するよい機会となったのである。9.11同時多発テロが起きたのは、それから丸十年後のことだった。

 テロ組織に対する報復感情で一色に染まった米国民の熱烈な支持の下、集中的な攻撃を直ちに敢行し、その年の暮れにテロの首謀者二人を、アフガニスタンの山中に追い詰めておきながら、何故か取り逃がしてしまっていたため、その失態が2003年春のイラク進攻を実施するための、テロとの戦いという大義名分の理由となった。その後大量破壊兵器の配備という根拠のない情報を前面に押し立てたことによって、イラクとの全面戦争へと突入していくこととなるのである。

 湾岸戦争では軍産複合体制に属する閣僚が、政府の枢要な地位を占めていたことから、作戦は討伐という表向きの理由で実行へと移された。米軍を介入させるための準備期間が半年と短かったことから、短期決戦になることが分かってはいながらも、予算化されていない戦費の調達が容易ではなかったという事情から、米政府は足りない戦費を補う必要に急遽迫られた。

 そこで採用した増税という方法が、大統領の任期を八年から半分の四年に縮めたということが、十年後のブッシュジュニアの時代に増税を回避しようとして、石油取引相場を上昇させるという方法を選ばせることとなってゆく。この戦闘で米軍は集中攻撃を行いメディアを作戦に取り込んで、米軍の力強さと正義の戦争という正当性で強調する成果を同時に得ることとなる。

 湾岸戦争は連合国軍を勝利へと導いたが、当時大統領であったパパブッシュは、増税を拒否する国民すべてから嫌われたことにより、大統領の要職を一期四年で退かざるを得なかった。その後を襲った民主党のクリントン政権は、ソ連崩壊に伴って俄かに生じた、ドル経済圏の想定外の急拡大によって、長年の財政赤字の根深い体質を一掃することができ、大幅な黒字を八年後のブッシュジュニアの時代へと引き継いだのだった。

 この時クリントン政権が残した大幅な財政黒字は、アフガニスタンでの報復戦で、たちまち使い尽くしてしまったことから、増税に依らない新たな戦費の調達手段の開発を、共和党新政権は速やかに決断するよう強く迫られていたのである。そこで偶々接近中だったハリケーン・カトリーナを理由に、石油精製設備がダメージを受けたことを強調し、ガソリンの流通価格を高め続けることによって、原油層全体の底上げを通じてドルの需要をぞうだいさせ、ドルの発行益を拡大することで戦費に替えることを可能ならしめた。

 一年三ヶ月の準備期間を措いて、米軍はイラク進攻作戦を実行へとついに移した。国家をもたないテロ組織は米軍の攻撃対象から具体性を失わせ、人民の海へとテロリストを大量に紛れ込ませただけでなく、爆発物による様々な抵抗を手段としながら、米軍には対処できない散発的な攻撃を機会ある毎に実施した。短期決戦で臨んだイラク進攻作戦だったのだが、案に相違して長期化するという経過を辿ったことから、それが戦費の追加調達を米政権に対してより一層急がせることとなる。

 原油相場を高騰させればドルの供給量が増えることに目を付けた米政権は、エネルギー省の長官に原油相場を高値へと誘導させる方針を固め、需給が逼迫するという情報を繰り返し流すことによって、原油相場の先高観を政府が煽ることにより、WTIの実績を参考にして決められていた、地下資源の取引価格を市場が自ら相場を高める、という方法で一方的に嵩上げしつづける時代を通じ、ドルの供給量を増やす戦略をとるようになっていったのだ。だがこうして高度化したドルの発行量増大が、ドル余り現象となって帰ってきたことにより、イラク戦争終結後にあのリーマンショックを引き起こすこととなるのであった。

 イラク戦争が開始された直後の五年間に、原油相場は高騰に次ぐ高騰を記録しつづけ、決済通貨としてのドルの需要はその時から急増しはじめていた。ドルを過剰供給することに合理性が付与されたことから、戦費の調達に難渋する心配はそれ以降なくなった。だが、エネルギーコストが一方的に高められていったことから、国際経済は資源調達コストの絶えざる上昇で、長期間苦しむという経過を辿らざるを得なかった。ドルの過剰流動性はイラク戦争の五年間で、こうして大いに高められることとなってゆくのである。

 1990年春の砂漠の嵐作戦は、敵を捻出することに見事成功はしたものの、2001年暮れの報復作戦を契機とする、2003年のイラク進攻を経て、2008年秋のリーマンショックまで、原油相場を高め続けさせた原因となったことにより、決済通貨として世界中に供給したドルに、一層高い過剰流動性を植え付ける結果ともなったのだった。ドルの供給量が飽和臨界点付近にまでこの時達していなければ、米軍の撤退はもっと後ろへとズレていたかも知れなかった。

 投資先を失った大量の過剰流動性を米本国へと呼び戻そうとして、アメリカでは返済能力の低い層に、最優遇貸出金利(プライムレート)に次ぐ条件の、サブプライムローンを活用するよう仕向け、住宅購入を幅広く促して、様々なインテリア用品を含む需要増大、つまり乗数効果を与えようとする消費拡大を促すための配慮を色濃くしたのであった。最初の五年間は低金利で入り口を低く設定し、六年目から高い金利を適用するという、日本でもバブル期に盛んに行われていた、ステップ償還方式というものであったのだ。

 五年でインフレ率が高まれば、金利の上昇など簡単に吸収できる、と踏んでいた政権の経済官僚たちは、国際金融資本に民間需要を煽らせ、世界市場全域に行きわたっていた、過剰流動性を米本土へと呼び戻したのだったが、優遇金利が適用されなくなった、六年目となる2008年秋には、支払い能力を超える金利での償還が実施されたことにより、低所得層に属する住宅購入者たちは、一斉に支払い能力を失って、債務不履行(デフォルト)へと追い詰められてしまったのである。
 過剰流動性をビジネスチャンスの拡大と心得えていた国際金融資本は、リスクを低減させる目的で、再保険と同様の機能を有する、ジャンクボンドへと債権を細分化することにより、これを低い価格で再販売するというビジネスで利益を更に嵩上げしようと試みた。

 このサブプライムローンを中心とする債権の多くが、一斉に焦げ付いてしまったことから、総額すら特定できないほどの不良債権を、国際金融資本は抱え込むこととなったのである。ジャンクボンドにまで手を広げていたリーマンだけが、巨額の損失を蒙って、唯一倒産するという憂き目に遭った。行き場を失ったこの過剰流動性の流入で、大量の人民元を売って俄かに富を得た中国では、不動産バブルを発生させるサイクルに嵌りこむこととなり、株式市場では公的機関が数字を操る、という政府主導の相場操縦が昂然と行われる事態となった。因果はまさしく、世間を巡るものであるようだ。余談だがいくつかあるアメリカを巡る不可解なこと供を、ことの序にここへ書き残して置く。

一 湾岸戦争のきっかけとなったイラク軍による、隣国クェートへの動機無き侵略実行の謎
二 9.11が何の抵抗もなく易々と同時多発的に実行に移された、ことにまつわる多数の謎
三 テロの首謀者のトップ二名を、隠れるものとてない禿山に追い詰めておきながら、優秀なことで知られるあの米軍が、何故か取り逃がすという失態を演じた謎
四 イラク戦争の理由となった大量破壊兵器の配備、という情報を捏造したその背景に潜む謎
五 いずれのケースにもCIAの関与が、濃淡を交えてだが、一様に窺えるという共通の謎

アメリカ側の立場からみて、何らかの使嗾又は誘導が行われたことを疑わせる、これみよがしと思えるほどの、意図的に残されていた状況証拠の数々などが、黒幕による背後の関与を未だに疑わせている。
 時の経過が真相を露呈させる時がくるまで、もう暫くの間待っていなければなるまい。アメリカの好む常套手段が、観察者に理解されるようになったとき、次に起きるであろう重大な異変を、ささやかな予兆の段階で、察知することができるようになるだろう。世界とは、要するに、力学の言語で解釈すべきものなのだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021/02/21 03:35:05 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X