308831 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

いい星つくろう

いい星つくろう

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016/04/24
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

 IMFまでもが今ではアベノミクス批判をするように変節するようになっており、問題解決能力がない誤った経済政策であるということを、明確に指摘する段階がやっとこの国に訪れるようになってきた。認識能力の欠陥の関与に彼らが気づくまでに丸三年を要した、ということが当初アベノミクスに賛同したエコノミストに通有する認識能力の底の浅さを指し示す。この程度のことはインフレに関する理解が一定水準であれば、誰にでもすぐ分かる程度のことであるに過ぎない。インフレを物価の上昇のことだと単純化しただけでなく、円安効果を誘導することで国富の50%以上を失ったことさえ意に介さない。


 円の価値は当時、対ドルで80円を超す水準にまで達していたのだ。大規模な金融緩和が始まると、たちまち125円へとその通貨価値を短期間で半減させてしまっていたのだ。この差が物価の上昇へと繋がって、国民は結果として高い買い物をするよう、思慮のない翼賛体制グループから迫られたという訳だ。
 所得水準が先行して上昇していたのであれば、この程度のインフレは許容範囲に収まっていたのであり、価値の減少を吸収することはおそらく楽にできていた。所得水準の上昇率が有意なレベルに達していたなら、GDPを押し下げる消費行動の抑制圧力を回避することは容易にできた。実際のところそうではなかったということが、可処分所得の枠を小さくし国民の消費意欲を大きく減退させたのだ。消費税が3%増やされて8%となったからという理由だけでなく、長期金利が逆に低下してしまったからでもあったのだった。

 インフレメカ二ズムを起動させるためには、消費を牽引する強い力の関与が絶対的に必要なのだ。それが所得の増加ということだったのだが、アベノミクスはその逆の経過を生む方法から対策に着手した。ここに、問題認識能力の水準が映し出されていたのであった。所得水準を高めるためには、企業収益を安定的に確保する必要があり、そのための一般的な対策として、企業減税と労働所得の同時減税とが欠かせない要素となっていたのである。企業業績が改善すれば、税収の増加は間違いなく実現する。そのための緩衝期間として、景気が離陸して水平飛行するまでの間、減税措置を講じるのは為政者の義務。

 国民の所得水準が仮に上がったとしても、金利水準が低下していく一方であるのなら、インフレメカニズムを形成することは固より不可能。所得の伸びと金利の伸びとが同時進行することで、物価の伸びを所得の伸びが吸収できる。アベノミクスがやったことというのは、円安効果による輸入物価の上昇だけだったのだ。株式相場は最早、経済実勢を反映する能力を失っている。国民所得は一部で若干伸びたものの、全体でインフレ目標に届くレベルには達していない。金利は一貫して低下し続けており、株式市場はマネーゲームの反応場と成り果て、相場は異常な乱高下を繰り返すばかりとなってしまったのだった。

 所得水準は一部で高まりはしたものの、それをはるかに超える消費税率が適用されていたことから、効果は相殺されて、国民から消費意欲を失わせてしまっていた。問題の本質がみえていなければ、高度経済成長期を支えてきた嘗てのインフレ経済の力強さを、政策で取り戻すことなど到底不可能なこととなる。単に物価を上昇させただけだったということが、GDPを圧迫してマイナス成長を含む、まだら模様の経済情勢を生み出したということになる訳だ。

 物価が上昇したというだけでは、インフレと呼ぶことはできない。消費市場にはデフレ圧力が、まだ十分に残っている。物が売れなければ企業業績は伸びない。消費市場を活性化することができなければ、流通段階で在庫の山を積み上げるだけ。この在庫の山は設備投資に合算されることから、一時的にGDPの値を改善することになるのだが、次の段階で在庫負担を膨張させるため、消費市場を却って停滞させる元凶へとたちまち変貌してしまうこととなる。

 国民の景況観が改まれば、税収は財務官僚の容喙を待つまでもなく勝手に高まる。政府がやるべきだったのは増税ではなく、その逆の減税だったのである。消費税には二種類あって、企業間の取引で生じるものを間接消費税と呼び、消費者が物品を購入した時に発生するものを、直接消費税と呼んでいる。
 この二つの消費税をまったく弁別せずに、これまで単一化してきたということが、国民の不要な抵抗を高めさせているのである。企業間の取引で発生する間接消費税は、財の移転に伴って生じるものであることから、寧ろ付加価値税という側面を強くもっており、消費市場で発生した直接消費税とは、本質的に異なるものとなっている。

 直接消費税をゼロにしたとしても間接消費税と同一の付加価値税を高めれば、増税可能な部分はインフレ効果となって最終的に景気へと反映される。最終価格が高くなったとしても、消費税がゼロとなっているのなら、国民の消費意欲は却って旺盛な活気を取り戻すことだろう。流通段階で生じる無駄を省くことができ、経済効率を改善する効果も同時に引き出せる。付加価値税の加減を調節することによって、消費税をゼロへと引き下げれば、税収に大きな変動を発生させることはない。税の使い道を健全化する努力を、寧ろ官僚が誠意をもって怠らなければ、国民の納税意欲は高まっていき、担税能力は向上して長期金利が上がっても、支払利息の増加など容易に吸収できるようになっている。

 企業の活性を消費市場の健全化が高めると、国民所得を上昇させる効果が得られるということになる。更に企業減税を並行して導入すれば、インフレ効果などいとも簡単に引き出せる。経済は、力学的アプローチで有効化する。そこに経済学との違いがあるのだ。物価のみを単に高めたところで、それは消費市場の規模を縮退させ、GDPを逆に引き下げるだけ。
 現状を眺めるとその通りの状態で離陸できないインフレが、その状態のまま横に推移している姿が見える。消費税を撤廃して付加価値税を強化し所得減税も並行して行いつつ、債権市場で国債の売れ残りを放置し、長期金利を高めさせていくことで、インフレメカニズムを定着させることができるのだ。長期金利が上がっても、利子所得は債権保有者に帰属するため、日銀の国債保有高が多ければ多いほど、利子所得は国庫納付金として、政府が使える予算へと編入されることとなる。

 国民の利子所得が高くなれば、年金の運用利息も向上する。重要なのはどれか一つではなく、すべてを同時に実行する、という決断を政府が下す肚の有無。アベノミクスの三年に亘る長期低迷というこの無様な事態は、政府に問題認識能力が欠けている、というその事実を明確に指し示していたのであった。

 判断力というものは明晰な思考力が生み出し、行動力に優れていたとしても、決断に誤りが関わっていたのなら、所期の成果は当然得られない。為政者が持つ判断力に、未解決の課題が残されているのなら、すべての政策判断から実効性が奪われるだけとなる。非は寧ろ、自らの裡にあるのだ。国民の不幸は、国会にひとがいない、ということに尽きるということなのだ。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021/02/20 04:24:38 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X