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2018/01/14
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 ドルがもつ普遍的な特性となった、所謂過剰流動性というものは、ドル経済圏を短期間で大幅に拡大したことで、ドルの発行益をアメリカへと齎しただけでなく、米経済を著しく発展させるよう人知れず機能した。だが同時に中国を短期間で、経済大国へと押し上げる効果も発揮した。世界市場に行きわたっている大量のドルを、遅滞なく速やかに回収しておかなければ、過剰に供給されたその分だけ、ドルが世界中の市場で余りだし、ダブつくようになった場合、通貨インフレの原因となるだけでなく、米政府に与えられているドルの発行権を、強制的に失わせる原因ともなる場合がある。このためFRBは金融緩和に踏み切る前の時代の各相で、政策金利を頻繁に変更し、0.25%刻みで変化させることを、金融政策の一般的手段として活用していた時代があった。

 ドルに付随する通貨価値を、このようにして一定の水準の範囲で、円滑に統制管理する制度が成り立っていたのだ。金利を引き上げて回収したドルを、内外の異なった市場で運用するよう、再投資する機会を積極的に海外市場で増やしてきた。その一環としてサブプライムローン市場で、債権を証券化するモーゲージへと、投資ファンドと国際金融資本とを、それぞれの思惑で一斉に奔らせた、ということが最終的に大量のデフォルトを引き起こし、リーマンショックで世界中を震撼させたその理由。この失敗の経験が過剰流動性の仕向け先を、北米大陸からユーラシア大陸へとシフトさせ、ソ連消滅後のロシア経済を、直接間接に裨益して、活性化することに大いに貢献し、その一方で長く農業国だった中国を、金満国家へと僅か三年で押し上げることにも役立った。

 

 中国が経済大国を自認するようになったのは、ドルの過剰流動性が中国市場へと、一斉に雪崩れ込んだ後のこと。大量のドル売りを吸収しようとして、共産党政府は人民元紙幣の印刷増強に乗り出さざるを得なかった。元高ドル安は中国経済にとって負担を増やし、輸出で成り立つようになっていた産業構造に、重大な悪影響をあたえることになるからだった。ドル安元高を回避するための手段として、ドルペッグ制を取り入れた通貨バスケット制を採用し、ドル売り圧力を調節するための、人民元の新規発行能力を執拗に強化してきた。その供給量は起債して得た額を遥かにr人民元の通貨価値を支えているのは、要するに過剰発行され量がする規模となっていたことから、獲得したドルを海外市場で消費しなければならなくなった。

 国内市場で出回らない人民元をドルに替え、海外市場で専ら消費する必要がこうして生まれた。インフレを防止する必要があったからである。こうして共産党政府は労せずして、大量のドルを手に入れることができただけでなく、保有するドル資産を担保として、人民元の発行能力の強化を抵抗なく実施することができるようになったのだった。
 アメリカにしてみれば過剰流動性を消す効果で、ドルの新規発行が可能となっただけでなく、ドル建ての債権を大量に供給したことで、米政権が大っぴらに使える予算を、枠外で拡大する効果を得て大いに潤ったことで得た資産を、軍事力を高めるための自由に使える予算枠が新設されたようなものだった。

 一方の共産党政府にしてみれば、中国市場に世界中から投資を引き込むことができるようになったため、世界の生産基地を作りだす効果で国内市場全体が潤う、という偶発的なメリットを享受することが許された。保有するドル建て債券を担保とすることができたため、人民元の追加発行が自在にできるようになったばかりか
、ドル売り攻勢に対しては、人民元の遅滞なき追加供給で応じ、人民元に対する供給圧力の増加には、印刷機の増設で対応する体制を整えた。中国が金満国家となったその訳とは、アメリカによるドルの過剰流動性の一方的移転、という変化が中国に与えた経済効果だったのである。

 

 このような利害得失の共通化という経過が、ドル経済圏の拡大を進めると同時に、ドルの過剰流動性を抹消したのみならず、ドルの新規需要の増大で、ドル紙幣の発行益を拡大できたことから、イラク戦争とテロとの戦いで失った資産を、課税強化以外の方法で円滑に最充填することがでこ、多くの制約条件を中国市場に於いて解消する、という絶好のチャンスをアメリカは思いがけずに手に入れた。
 幸いなことに中国政府にとっても、アメリカの都合の変化が良い方向へと作用して、三年というとても短い期間で、共産党政府は日本を追い抜いて、世界第二の経済大国となる僥倖を手に入れた。経済大国となったその理由とは、人民元の通貨価値を引き下げようとして、ドル買いで急ぎ手に入れた大量のドルを用いて、通貨発行益を拡張することができたからだった。

 資本大国の地位へと他動的に上り詰めた、というべき非自発的に対応しただけという経緯が、歴史の資料しっかりと残されている。13億人を超える巨大な消費市場が、アメリカに生産性の向上と資本効率の向上とを同時に促し、共産党政府はそれが生んだドル売り攻勢に対抗しようとして、人民元の大量発行へと踏み切った過去の決断が奏功したという訳だ。

 印刷コストを負担するだけのことで、大量のドル資産を手に入れることができた中国は、獲得したドル建ての資本を、活用展開しただけのことで、国際市場となるための諸種の機能を、アメリカの一方的な都合を容認したことで、転がり込んできたものとして資産化して活用したのだ。爆買い現象として一般化したこの時代の変化は、ドルの過剰流動性が作り出したものであるに他ならない。中国が将来生産性の向上に努め、応用展開能力を今後十分に高めていこうとするのなら、経済大国と呼ぶに相応しい、本来あって然るべき立場がその身に備わるのを待たなければならない。

 

 人民元がドルのもつ価値の裏付け、で成り立っている通貨となっているのだから、中国はドル経済圏の一員の身分から抜け出すことはできない身分。ドルの通貨価値が下落するようになったなら、人民元の通貨価値も連動して直ちに下落してしまうだろう。この点に於いて中国政府は、米政府と対等に対峙する能力を既に失っている。この条件というものが国際政治の場で、調整圧力に微妙な変化を植え付けた。今まで見られていなかった新たな政治情勢の変化が、このところ随所で見受けられるようになってきている。北朝鮮の核を巡る駆け引きに於いても、立場の微妙な変化を感じ取っているのは、一人だけのことではないだろう。

 中国の工業的生産力が高まれば、ドルの支援を受けた資本大国というその身分から、まごうかたなき経済大国とそう呼ばれるようになるだろう。だがそのための基盤技術と経験知とを、中国政府は現状で未だ十分に確保することができていない。一帯一路政策が人民元経済圏の拡大を目指したものである以上、ドル経済圏から離反する時が必然的に待ち構えている。人民元の通貨価値を担保とする、ドルに代わる新たな何かを担保価値とすることができないようなら、共産党政府が手に入れることができる資産価値を裏付ける能力は育たず、対米劣位の関係性はこれからも維持されることとなる。米中関係を成り立たせているその背後の事情には、相互に異なった思惑が水面下で蠢いている。





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最終更新日  2021/02/07 06:46:43 AM
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