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2020/03/22
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 未知のコロナウィルスが昨年唐突に登場し三か月目に入った頃、既に地球規模に達していた市場主義経済システムは、内在していた機能不全の兆候を示すようになっていた。株式市場は極端な下落と反騰を交互に繰り返しており、アベノミクスの成功を印象付けようとして、金融機能を高度化させていたそのために、資本のダイナミズムは流動性循環の密度低下、という貧血状態へと陥って再投資のための資本需要そのものを、大きく希釈するという経過を導出する展開を記録に残した。株式市場は投資家を嘲笑うかのうように、極端な下落と意図的な反騰とを反復する事態となった。衰弱へと向かう急な下り坂を市場全体が同時に急ぐ、という負の展開へとしようことなしに呑み込まれてしまっていた。

 

 これまで凄まじい勢いで高騰していたNYの株式相場は、時の勢いを失って負の資産効果に苦しめられている。ウィルスによる感染拡大がいつ、感染爆発を引き起こすに至るのか、という心配が時の経過ともに次第に色濃くなっていき、生活を支えていた消費市場は活気を失い、アメリカのサービス業経営者たちは、危機的状況に急襲されたまま打ちひしがれて動けず、労働者は失業の恐怖に苛まれる状況へと陥った。 

最悪の場合猖獗を極める事態となる可能性がまだ残っており、誰にもその先が見えなくなっていたからだと思われる。新型のウィルスだったということが、世界の感染症対策を誤らせることとなり、感染者の急増と共に死亡した患者の数を跳ね上げた。ワクチンなどは当然ながら存在しておらず、薬の開発には相当の時間が必要だとされている。地球人たちには為す術がまったくなく、隔離状態の室内で一定期間過ごすことが世界規模で義務付けられた。

 

 人の移動は多くの国でできなくなっており、出国制限と入国拒否が一斉に実施され、航空会社の経営状況はおしなべて急速に悪化した。労働需要はほぼ一瞬で消えてしまい、テレワークが可能な労働者だけが安定収入を確保した。国民の多くは生活するための収入が途絶え、政府が緊急事態として生じた損失を急遽補填する、という計画の実施がアメリカで真っ先に始まった。12年前信用経済に深傷を負わせたリーマンショック以降、G20となった国家集合体が協働してドル経済圏の存続に務め、信用でなりたっていた国際経済をかろうじて支えたものの、この度のコロナウィルスの蔓延という事態が、ドル経済圏の重要性に改めて気付かせた。ドルにとって代わり得る機軸通貨は存在しないという認識が一気に広まり、ビットコインなどの人工通貨の価値は急速にしぼんだ。調整圧力が作用したという観測がでてきたことから、ポスト資本主義経済となる新たな時代の到来、を予告するものとして一部で受け止められている。

 

 ソ連型の共産主義体制が自己崩壊してから、三十年後に資本主義体制が意図しない形で、こうして変革を急ぐよう市場から迫られた。中国型の共産主義体制は市場主義経済にうまく適応したのだったが、その経済発展を支えているのがドルである、という理解が広まり中国経済の足枷となって機能した。中国がたったの三年で世界第二位のドル資産保有国になれたのは、世界中の投資家が中国投資に踏み切った、という大転換の時代の到来がその起源。世界中の市場で生じているドル余り現象の解消に失敗した国際金融資本のすべては、過剰流動性を希釈する必要に常時迫られている。

 

リーマンショックは世界市場全体でだぶついていた過剰なドルを、北米大陸へ呼び戻そうとしたために、返済能力の低い階層向けのサブプライムローンを売りつけ、五年間の猶予期間を経た後に返済利息の利率を高める、という前提条件の下で全米各地の低所得者向けの不動産市場をバブル化させた。優遇期間を過ぎた六年目に入ったとき、特別に低く設定されていた金利は適用されなくなった。

その結果支払い能力に問題を抱えていた階層のすべてがデフォルトへと陥ってしまい、再保険の機能を果たしていた債権の分割証券化が仇となり、不良債権の同時的大量発生が一瞬で生じることとなったのだ。これがリーマンショックを惹き起した、その背後に隠されていたたった一つしかない理由であった。信用で成り立っていたドル経済圏全体が、このとき重大な危機的状況へと一瞬で陥った。G20ができたというのも、ドル経済圏の存続を確かなものにする、という切実な要請があったからなのだ。

 

 このドル余り現象を解消するための方策に失敗したアメリカは、ドルで投資活動を行っていた世界中の投資家に、過剰流動性が膨張するのを防遏するための措置、というフレコミで中国大陸への大規模な投資を推奨し、そのための理由として採用したのが、中国を世界の生産基地にする、という遠大でかつ壮大な目標だった。世界中に分散していたドルを回収して、中国市場の育成に転用し再利用するという計画を標榜し、達成を目指して推進する際の動因とするよう民主党政権が企てた。こうして過剰流動性を中国大陸へと一斉に移動させたということが、急峻なドル安元高を推し進めることとなり、これに対抗するために共産党政府がしゃかりきになって人民元の増刷で応じたのであり、そこで手に入ったドル資産で外貨準備を篤くした。

 

この段階で共産党政府はシニョレッジをもつその意味を悟り、交換して手に入れたドルを担保にして人民元の印刷業務を一層推し進めた、ということが産党政府を短期間で金満国家へと押し上げた。この確定した事実は後に登場するMMTの正しさを、それが知られるようになった以前の段階で、既に共産党政府自らが証明していた、ということを既に意味していた。当事者がこの展開の意味を理解していたかどうか、については断定できるほどの証拠はまだ知られているものがない。

 

 FRBが政策金利の想定外の引き下げを立て続けに行った、という最近の事例が市場の動揺を却って誘発してしまい、株価の急落を引き起こすという意に反する結果を導いた。サプライズとなる筈だった政策金利の大幅な引き下げは、カウンターサプライズというカタチとなって、市場がFRBに対して即応してみせることとなった。まことに皮肉なことではなかろうか。

金融当局が勝手に描いていたシナリオはまったく機能しておらず、反転した状況となって市場に反映された。この目論見違いという経過の発生は、既存の枠組みの変容を予告するためのもの、という意味合いをもっている。金融当局の思惑が的を大きく外していたということが、認識の齟齬となりそれが市場の動揺へと繋がった。意図しない変化と遭遇してしまったということが、FRBと政府一同に不信任を突きつけたということになる。アベノミクスの失敗についても当てはまる、その蓋然性を現段階で否定することは未だできない。






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最終更新日  2021/01/29 08:00:57 AM
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