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2020/04/12
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 状況分析能力が指導体制に少しでも残されていたのであれば、緊急事態宣言は間髪を入れずにだされていた。唯一の物理的防護措置となっていたマスクが店頭になく、手に入らなくなっている状況下で、徒に特措法の適用を先延ばしにしていた姿勢には問題があり、ウィルスにとってそれはまさしく思う壺。自己増殖する機会が政府判断によって保証されたのだから、これを利用しない手はなく、ウィルスにとって勿怪の幸いという追い風となった。

政府の対応措置は経済支援体制へのシフトを、発動しないで済むようにするため、としか言いようがないほど逡巡に充ちていた。財政危機を乗り切ろうとして成立させた、消費税増税が生んだ失敗を韜晦しようとして、緊急事態に即応することを拒んでいるようでは、事態を急速に悪化させることにしかなるまい。指導体制の優柔不断なその態度が、日本経済の息の根を止める最大の因子となって作用する。

 

 世界最大の債務を抱え込んでしまった日本政府が、消費税率の変更でその難局を逃れようと謀ったために、国民の不審を招き失われた三十年という期間を通じて、延々とデフレ経済に苦しめられることとなったのだった。ついに宿願だった消費増税を果たしたものの、たちまちマイナス成長へと陥ってしまい、その直後、コロナウィルスによるパンデミックへと巻き込まれ、増税効果を失うこととなったのであり、これまで避け続けていた支出拡大の決断を、非常事態宣言を発したことによって実行しなければならなくなった。このような背景を抱え込んでいた、日本経済の推移を考慮するなら、即座に断行するという大英断を下すことなど、きれいごとしか言わない安倍一族にとって、到底受け容れられるようなものではなかった筈だ。

 

政府内閣のとった余りも優柔不断なその態度は、自らのもつ本質的な性癖が仇となって導いたもの。経済認識能力が不在であるというそのことが、大胆な対策の実行に踏み駆らせることを阻ませた。実績のある方法を見限って足を一歩前へと踏み出すことができないと、この局面を打開することは間違いなく不可能。問題の意味がみえていなかったのだからこそ、行動する機会がきていたのに決断できずに見送った。それでいて尚国民を危地へと追いやった、という事実に未だ一向に気付きもしない。綺麗ごと内閣に、国民を守る意思もなければ意欲もない、ということは第一次安倍政権のときから分かっていたことでもあった。

 

下野した野党勢力が与えたことになる敵失に、なりゆきで乗じることができたということが、第二次安倍政権の誕生を許したという経過を生んだ。その意味で旧民主党政権が国民に与えた失望の度合いは、とりたてて大きなものとなっていた。現在の窮状を招いたその原因とは、国会の劣化という国全体の変化にあった。止まらない温暖化という現象もまた、そこにあった問題認識能力の劣化がその起源となっている。貴重な復興のチャンスを失っていることに構うことなく、平然として長閑に眺め暮らしていたそのあいだ、問題の本質を完全に見失っていた。日本という国家に於ける、バブル経済崩壊後に得た不治の病の質は、こうしてきわめて重篤なものとなってしまっていた。

 

 熱と湿気を弱点とするコロナウィルスの特徴から予後を占うと、太陽光の入射密度があがる五月後半から、真夏にかけてウィルスは活性を失うだろうと推察できる。ウィルスの活性は気温の上昇と紫外線の密度増加、そして梅雨の長雨による湿度の増加などの相乗効果を受けると、今後大幅に衰えるだろうと思われる。だが秋風が吹く涼しい季節になるとゆっくりと復活し、年内の感染根絶は事実上不可能となる。百年前のスペイン風邪のときの経過と、おそらく大差のない経過を辿るものとみられる。それまでにワクチンの開発は捗らず、有効な対策を実施できていなければ、感染拡大はその後もつづいてグローバル経済を再び圧迫する。

 

感染しても致死率が低いままであるのなら、抗体保有者の数は反転して増加する。一時的な感染拡大を収束させることができたとしても、免疫能力の獲得は先送りされてしまうため、翌年以降の感染爆発を再発させる可能性はまだ消えない。その意味で感染率の増加は、抗体を獲得するチャンスでもあることから、強いてこれを避けようとする隔離は、状況の一方的悪化を却って速めるだけなのだ。

 

 ウィルスは塩基コードを自ら複写して、倍々状態で増加することで密度と比率を同時に高める。遺伝子情報のコピーを可能にするための条件は、宿主となる生命体がもつ細胞核への侵入の可否。ウィルスが細胞核の内部に侵入することができなければ、自らの遺伝子配列をコピーして増殖することはできない。遺伝子配列が短いと複写は容易となり、その増殖速度は極めて速くなる。感染拡大を勢いづかせているのは、ヒト細胞のもつ塩基の供給能力ということになる。急激に増殖して体外へと多く放出されることで、次の感染を円滑に成就せしめる、というのが感染増殖のメカニズム。感染爆発はコロナウィルのRNAコードが短いことと、宿主の細胞核内部で複製するために必要となる、素材の調達を容易にできるようになっているからである。

 

 ウィルスの暗号コードは四種類の塩基から作られるため、それぞれに対応する記号をもつ対応関係にある別の塩基と勝手にに結びつき、塩基対という形となって二重らせんの構造体をDNAとして形成する。これはファスナーのチャックが左右に分かれて、Y字型に分岐した後で対応する記号の塩基と結びつくことで、まったく同一のコードをもったDNA配列を再生産するというメカニズム。この方法で増殖し体外へとでることで、ウィルスとして拡散することができるようになっている。その培地とされているのが、人の肉体の中にある細胞核ということなのだ。

 

 細胞核の内部に入るための穴を防いでしまえば、感染条件を満たせなくなるため増殖できず、外部へとでることもできないのでウィルスの飛散は起きない。これとは別に遺伝子コードのスイッチのオンオフを制御することで、活性を失わせることも可能な状態となる。宿主がもし存在していなければ、ウィルスの増殖は成り立たないので連鎖は止まる。人の細胞核に侵入を許してしまうと、そこが格好の感染培地となって機能する。このようにして人からヒトへと感染が短期間で伝播することにより、パンデミックへと発展してゆくための条件がこうして満たされる。

 

このメカニズムをどこかで断ち切ってしまわない限り、ウィルスの毒性は脆弱化することはなく、活性を保ったまましぶとく生き残り続ける。ワクチンは細胞核内部に侵入したウィルスを攻撃するための戦術(マヌーバー)を、DNA配列上で展開するための布陣を敷くことで実行し、増殖を急がせて複製することを許さなくする、という免疫システムを起動するための因子となって機能する。ワクチンが存在していない感染蔓延期に於いて、生まれつき持っている自然免疫が生みだした抗体の活性を、自助努力で賦活することだけがたった一つの対抗策となっている。薬で対応しようとすることは、根本的にできない相談だったのである。自然治癒力を人知で超えることは、つまりできない。

 

 分子生物学を応用したいくつかの方法で、塩基配列のもつ記号の意味を無効化する可能性は確かにある。細胞壁で守られた生物のもつ特徴に付け込んだウィルスが、自らの勢力を拡大しようとして分身の術を勝手に使ったとき、ウィルス性の感染症の蔓延が爆発的に引き起こされる。遺伝子工学が発展的に展開するようになれば、ウィルスの活性を消す方法を見つけだすことはおそらく可能。錠剤や注射などで症状を緩和させることは、その段階になるまで待たなければならない。

 

ウィルスがもっている毒性を消してしまえば、ワクチンとして善用することができるようになる。予防接種というワクチンの注射は、まさしくそのことを繰り返し実証することとなっている。弱毒化したウィルスを用いて、抗体を生みだすためのきっかけとしたのがワクチンというもの。このメカニズムを察知したジェンナーの慧眼が、天然痘を地上から根絶した。この事実を参考として応用すれば、遺伝子工学の分野でウィルス対策のカギ、となる未知の方法がきっとみつかる。






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最終更新日  2021/01/29 05:48:44 AM
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