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遺伝子因子のやっていることを大雑把に眺めると、四種類の遺伝子コードの並び方または繋がり方の違いで、作り出すことになるタンパク質が決定される。タンパク質を構成しているのは20種類のアミノ酸であり、そのアミノ酸を作っているのがポリヌクレオチドという鎖状の分子。ポリは重合体という意味であることから、ヌクレオチドが長く連なった単位でアミノ酸が作られる。ヌクレオチドを生みだしている構造体は塩基と呼ばれ、四つの記号で識別されている。これが遺伝子コードとして特定の配置で並ぶことにより、さまざまなたんぱく質をつくるための設計図として機能する。 その意味のある繋がりをそっくりコピーするために、DNAと呼ばれる二重らせん構造の鎖が作られる。二重らせんがほどけるとそれぞれの塩基に対応するポリヌクレオチドと、予め決められている相手とが必然的に結びつく。この繰り返しで遺伝子の複製化が進められ、いろいろなたんぱく質が、縦横無尽に生みだされることとなっている。これを人工的に制御するための研究が、たんぱく質工学と呼ばれているプロテインエンジニアリング。これらを統合的に扱っている分子生物学が、遺伝子のゲノム配列の意味を解明し、遺伝子工学という分野を新たに作り上げている。
この度発生したコロナウィルスは単純な側鎖構造のRNAであることから、結びつく相手の素性は決まっていても、その繋がり方が自在に変更可能なものとなっていて、構造体の一部に突然変異を引き起こす確率が高められ、毒性の強弱の変化や感染媒体となる宿主(ベクター)の遷移などが、簡単かつ頻繁に引き起こされるようになっている。ウィルスの増殖に欠かせないのが、このヌクレオチドの鎖であるポリヌクレオチド。細胞核の内部にしか存在していない塩基と繋がらなければ、遺伝子のコピーを作り出すことは無論できない。複製能力が低かったり転写エラーが起きたりすると、ウィルスの本来の機能は抑制されて感染能力を失ってしまう。
このプロセスを妨害する働きをするのが、免疫機構という生命体が生まれながらにしてもっている特殊な能力。免疫システムを成り立たせている仕組みを知れば、何らかの配慮の先験的所与を措定する必要に迫られる。宇宙に隠されている未知の仕組みが、この手がかりを手繰っていくと見えてくる。 微生物の研究者には分かっていることでも、その理解をウィルスには適用できない。単なる遺伝子コードに過ぎない核酸の鎖でしかない塩基の行列は、生命の概念から大きく外れている。このため分子生物学が対象とする塩基配列の意味がわかっていないと、生命体である宿主を利用するメカニズムを理解することができない。多岐にわたる分野の専門家が多数関与して意見を述べるため、メディアなどで皮相な意見をやりとりしてお茶を濁すことに終始する。こうして経過のやり取りが、混乱を別途引き起こすことがある。
コロナウィルスの弱点の一つである保護容器(エンベロープ)は、脂質でできているために界面活性剤に極めては脆い。石鹸や中性洗剤で手を洗うだけのことで簡単に死滅する。石鹸を使う方法なら、長時間の洗浄は意味がないだけでなく只の無駄。当初は情報量が少なかったために、念入りな洗浄が必要だと世界中がそう思い込んでいた。近頃では自然素材の界面活性剤なら、人工的に作られたものより千倍も有効だとされている。 コロナウィルスは写真のフィルムが収められているパトローネの中に、鎖状のRNAが丸められた状態で保護されている、というイメージが分かり易くてよいようだ。一本鎖のRNAがパトローネからでるとき、球体の突起物を通って細胞核の内部へと入り込み、そこにある特定の塩基と結びつくことにより、二本鎖の螺旋形のDNAを構成し、分裂する際にはファスナーのようにして二つに分かれ、それぞれの側鎖が別の決まった相手の塩基と結びつき、遺伝子情報のコピーを何度となく作り出す。変異はこの複製過程の途上で起きることから、複製を作れば作るほど変異する機会は増える。転写エラーはこの段階で起きるため、実効再生産指数は時の経過と共に小さなものとなってゆく。
感染を事前に避けるための措置となっているワクチン接種は、コロナウィルスの突起物が移動するための通路として使われるため、穴をふさいでしまえばウィルスの増殖は起きない。抗体の仕事はこのタンパク質スパイクの通路を、遺伝子コードの切れ端が通過できないようにすること。入り口をふさいでしまえば、細胞核の中に入ってそこにある塩基を利用することは不可能となる。この方法がワクチンによる予防効果を高め、遺伝情報の複製を作ることを不可能にする。 薬品の投与による症状の改善は、そのメカニズムが詳らかにされない限り確実性の保証はなく、症状の悪化が重篤なものでない限り、慎重な姿勢で観察を続けていく必要があるとされている。ワクチンが存在していない現状に於いて、ウィルスを攻撃する仕組みは確認されたものがない。遺伝子治療を応用する方法で毒性をオンオフする方法は、今後の課題として期待されているにせよ、現状で応用することはまだできない。
ワクチンの開発を急ぐことが、当面の有効な対処法として有効であることは間違いない。感染しても発症しないケースが70%以上もあるとされていることから、重症化するのは全体の二割に満たない。その中で不幸にして死に至った事例は、対人口比でほとんどの場合1%以下と極めて低い。一斉に自粛するほどの危険性はなく、集団免疫に至ってしまえばその後の感染リスクは最小化する。 感染の疑いのある場合には天然素材の石鹸がウィルスを死滅させるため、油脂を一瞬で融かしてしまう界面活性剤を利用することにより、遺伝子コードは裸となってむき出しの状態となり、遺伝情報をコピーすることは固より、自己の存続すら保証されないようになってゆく。そうこうしている間に状況は変わり、特定の抗体を保有するようになった固体が増えて、ウィルスに感染しても何の問題も引き起こさなくなる。この段階でコロナウィルスの脅威は過ぎ去り、ウィルスがそこにあっても無害だということになる。感染しないウィルスが脅威となることはなく、ワクチンの開発を終えてしまえば、投薬治療の道もいつか啓ける。錯綜した情報が独り歩きするようになったとき、深刻な結果をそれが社会へと引き寄せる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020/06/07 07:38:43 PM
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