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2019.10.11
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カテゴリ:ショートエッセイ
「ガクン」とスピードが落ちた。僕は前のめりになりながら舌を鳴らした。見ると、前方に大きなバスの後部が映っている。近づきすぎて急ブレーキを踏んだんだと思った。軽なのでパワーが出ない。ゆっくりした上り坂をよろよろとした感じで上がってゆく。ようやく広い道路に出ると、スピードをあげてバスの前に出た。さあ、走り出すのかと思うと、またガクンと急ブレーキだ。見ると今度は前方をバイクに乗った婆さんがかなり遅いスピードで走っていた。それも道の真ん中だ。左に寄せようという気持ちがないらしい。僕は後部座席から運転しているタチバナ氏に背中越しに声をかけた。「いきなりブレーキを踏むな。びっくりするじゃないか」「ああ、ごめん」タチバナ氏の声だ。


 僕はこんな知人に気軽に声をかけることができる自分にちょっとした優越感を感じていた。タチバナ氏・・・よく考えてみると、彼とは不思議な縁である。出会ったのは数年前だったが、YouTubeをやっているうちに、名前が知られるようになり、持ち前の正義感から多くのリスナーの心をつかみ、ちょっとした有名人になった。そしてあろうことか、選挙に出るとまたたくまに国会議員になってしまったのである。やがて「既得権益をぶっ壊す!」などという破天荒なスローガンを掲げ、弱小ながら彼の集団は政党になり、今や押しも押されぬ公党の党首になってしまった男だ。



「きぇーい!」奇妙な奇声をあげて、タチバナ氏はアクセルを踏むと、バイクの婆さんを追い越そうとハンドルを右に切った。ここは片側1車線で、対向車が来ないうちに追い越そうと考えたのだろう。しかし、タチバナ氏はスピードを上げずに婆さんと並走している。「早く抜かせ。何してんだ」僕は少しイライラして叫んだ。すると、「いや、ちょっと寄りたいところがあるんや」タチバナ氏はそういうと、右方向に見えてきた店にそのまま入っていった。


 


「ハギレヤ」という看板が出ている。ここは何をする店なのだろうか? 質問しようと思ったがタチバナ氏の姿が見えない。「おつきの人ですが、さきほど出ていきましたよ」店の人が言った。見ると、出口のところにタチバナ氏の靴が見えた。片方がドアのところに、もう片方が1メートルも離れたところに乱暴にぬぎすてられている。そのままの格好でジョギングに行ったと聞かされて僕はあきれてしまった。おそらく、彼の彼女がこの近所にいるらしいので会いに行ったのだろう。行動力が信条のタチバナ氏なのだが、ここまでくれば少しあつかまし過ぎる。一方的な思い込みの激しいやつだなと思った。




 ここで目が覚めた。すべて夢だったのだ。今までのことが夢であることがしばらく信じられなかった。あの道路を走っていた感触も、急ブレーキで前のめりになったときの衝撃も、前を走っていたバイクに乗った婆さんの姿も、すべてリアルではっきり思い出せる。夢のなかのタチバナ氏は、今ニュースなどで話題になっている超有名人だと言ってもいい人物である。


 考えてみれば、私はタチバナ氏の熱心なサポーターの一人に過ぎず、タチバナ氏とは会ったことは愚か話すらしたこともない。動画や政見放送などを何度も見ているうちに、自分の一方通行の思い込みで、昔ながらの知己のような感覚になり、こんな奇妙な夢になったのだろうと思った。久しぶりに見た超リアルな夢だった。

​​ <ショート・エッセイ>
偶然
​​予知​
宝箱





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最終更新日  2022.11.23 00:54:06
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