第13話OnAir~シーズン3・第13話~#スーパーマーケットの外 (セア、カートを引きながら出る。きょろきょろ見回す自分を発見。頭が濡れる。駐車場に行く。) (運転して出る。右側前方にスーツを着た背の高い男の後姿。視線をやるセア。) "キー!!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~" (運転台に頭を下げたセア。ゆっくり頭を上げる。セアの車に押されてカートが倒れている。女が驚いて立っている。) (セア、困惑する。ため息をつき、車から降りる。) セア : (直視出来ない) 申し訳ありません.. どこがけがをしたところはありませんか? 女 : (驚いたまま見る).....一体どんな運転をしているんです?まかり間違えばカートではなく私が撥ねられるところだったんですよ。 セア : (胸を撫で下ろしてお辞儀をする) 本当に申し訳ありません。けがをしたところは...? 女 : 分からないですね...見たところは無傷だけど、驚いたから.... セア : (車から名刺を取り出す) あの...もし何かあればすぐに連絡ください。本当に申し訳ございません. 女 : (名刺を受ける) 本人でしょうね? セア : はい...今電話して確認されてもいいです。 女 : (カートに目をやって) 本当にもう...あれはどうするの? セア : 私が.....(急いでこぼれ落ちた品物を集める。倒れたカートを止めようと労力する。) (セアの前に靴先が見える。カートを止める手助け...) (セア、ゆっくり頭を上げて見る。サンウが黙ってセアを見ている。呆然とサンウを見るセア。どきどきする心臓の音が聞こえる。) セア : どうして...? サンウ : (女に自分の名刺を渡す) これも持って行って下さい。この方に連絡出来なければ私に連絡なさっていいです。 女 : (サンウをセアを交互に見る) そうですか...。(名刺を受ける)...SW..?(サンウを上から下まで見る) 代表ですか? サンウ : (表情をそっと固める)...はい。 (財布から小切手を取り出す) この程度では品物の価格にはならないかと思いますが。手持ちの現金がこれしかないものですから。 女 : (小切手受ける) ...今日は買い物した物が多くないから... サンウ : 残りは病院代に使って下さい。もっと必要なら連絡ください。 女 : (円やかになる) そうします... (サンウ、こぼれ落ちた品物をカートに乗せる。セア、サンウを呆然と見る...) (しばらく後) (助手席にセアが座り、サンウが運転する。) サンウ : 家はどこですか? セア : ....(息を吸い込んで) 三成洞です.. (サンウ、黙ってハンドルを回す。) セア : 本当に ..........私に付きまとうんですか? サンウ : いいえ。 セア、 : ....(心細い) (サンウ、表情ない....) #セアのアパート (玄関前。セア、キーを鳴らす。サンウ、横に立っている。セア、玄関を開ける。) サンウ : (見る) 私はもう行きます。不安だったら検査を受けてください。それから彼女が電話して来たら、私に連絡するように言ってください。 セア : どうしてですか? サンウ : 善良な市民も、いつ豹変するか分からないからです。お金の前では皆.. 地を見せるようになるからです。 セア : .... 私に.... どうしてこんな事をするんですか? サンウ : .... それでは。(エレベーターに歩いて行く) (セア、心細い。どきどきする。消えて行くサンウの後姿を見る....) #サンウのオフィス (サンウ、シャワーを浴びる。時々ボーッとするが、目をぱちぱちさせて気を張る。) #サンウの部屋 (大きい窓辺に座ったサンウ。心細い視線で窓の外を見る。立ち上がってうろうろする。窓にもたれて窓下をボーッと眺める....) #セアのアパート (セア、 DVDを持ったままボーッと座り、思いに耽る....) #数日後、ドリームハウス代表室 (ヘギョン、机に座っている。ヒョンス、入って来る。) ヒョンス : お呼びですか? へギョン : ええ。これ。 (書類の封筒を渡す) ソ作家に持って行ってくれる?今は忙しくないでしょ? ヒョンス : はい。今は忙しくないです。 ヘギョング : 身重で外に出るのも大変だろうから...行ってちょっと遊んでやって。 ヒョンス : (笑う) はい。 #ヨンウンの仕事部屋 (ヒョンス、玄関に入って来る。ヨンウン、嬉しそうに見る。) ヨンウン : まあ、いらっしゃい。嬉しいわ。 ヒョンス : (苦笑) 私、そんなに御無沙汰してましたか? ヨンウン : (睨む) ...休暇を長~く貰ってたと思うけど。 ヒョンス : (はにかむ) そうでしたね... ヨンウン : (嬉しい) 元気そうね。 (ソファ-に座った二人) ヒョンス : (ヨンウンを眺める) 今はもう ...大丈夫ですか? ヨンウン : (見て苦笑)この世の中に秘密はないのかしら? ヒョンス : (苦笑) 相談した医師は誰ですか...他の人は分からなくても私は分かります。 ヨンウン : (苦々しげに笑う) まったく.... ずっと前には彼を鬱病だと冷やかしたのに... ヒョンス : (笑う) 人というものは分からないものじゃないですか。 ヨンウン : (見る) そう...誰も断言出来ないものは、人の心、未来..... ヒョンス : まだ憂鬱ですか? ユンウン : (勿体ぶる) 分からないわ。...だけど一時期よりはマシね。出勤も出来てるじゃないの。 ヒョンス : イ監督様は驚かれたでしょうね。(笑う) この上なく想われているから... ヨンウン : (笑う) びっくりしていたわ。おかげで彼の顔もげっそりしちゃった。 ヒョンス : 私は...まだ経験していないから...。どんな気持ちなんですか? ヨンウン : (見る) 私はまだ完全に治ったわけじゃないわ。...これ、インタビューか何か? ヒョンス : (笑う) 申し訳ありません。大丈夫そうに見えたので... ヨンウン : (呼吸する) ただ、惨めだったの.... 。どうしてみっともないと思うのか、...こんなふうに生きて行きたいのだろうかと考えて...人が嫌いで、私自身も嫌いで、誰かが私の姿を見るかと心配で恐ろしくて... ヒョンス : 理解出来ませんね。こんなに幸せなのに、突然そんな気持ちになるというのが... ヨンウン : (笑う) もしかしたらとても幸せだからこんな事になったんじゃないかと思って... ヒョンス : ...ええ? ヨンウン : (見る) 他の人の事は分からないけど...私の場合はとても幸せだからこんな事になったんじゃないかしら? ヒョンス : (首をかしげる) ..?? (ヨンウン、黙って笑う....) #翌日,ヨンウンの仕事部屋 (机に座ってノートPCを叩くヨンウン。電話が鳴る。) ヨンウン : (番号見て首をかしげる) もしもし? セア : もしもし?ソ先生。ユン・セアです。 ヨンウン : あ~ ユン作家!どうしたんですか? セア : 大丈夫ですか?ちょっと具合が良くなかったとか。 ヨンウン : (苦笑) 一体どこまで知られているのかしら?...大丈夫です。 セア : 良かった... ヨンウン : それで電話したんですか? セア : それもありますが.. ヨンウン : え?まだ何かあるの? セア : 今、どこですか? ヨンウン : 仕事部屋。 セア : あの....今そちらに行ってもいいですか?先日申し上げた... ヨンウン : あ、そうでしたね。どうぞ。ここの場所は..... #午後、ヨンウンの仕事部屋 (セア、ソファ-に座って仕事部屋を見回す。) セア : 広いですね。綺麗だし。 ヨンウン : (近付いて座る) セアさん...あら、こんなふうに呼んでもいいのかしら?ユン作家だと何だか距離感があって.. セア : (笑う) はい、名前で呼んでください。 ヨンウン : (笑う).... セアさんの仕事部屋はどこなの? セア : 仕事部屋は別にはありません。自分のアパートが仕事部屋です。一人で住んでいるんです。 ヨンウン : ('ヒェ...イ監督が行ったら大変な事になるところだったわ..') そうなのね。 セア : 今作業中の仕事があるんですか? ヨンウン : ええ。小さな事だけど...とても重要な事。もう終わらせないとならないのに (笑う) 途中で時間を取られちゃって.. セア : (ヨンウンをチラリと見て視線を回す)...... ヨンウン : (横目でセアをチラリと見て口を開く) あの時 ...何の話をしたんだったかしら? セア : (ぎこちなく笑って頭を上げる)...次の作品の構想に必要な... ヨンウン : あ、そうそう...チン代表? セア : (不安そうな視線でそっと微笑む) はい.. ヨンウン : うーん...チン代表と言うと.... セア : この前おっしゃったのは...悪い人という... ヨンウン : (戸惑う)え?... そんな事を言ったの?私が? セア : (ぎこちない笑い) はい....だけど.... ヨンウン : だけど? セア : 痛みがあると... ヨンウン : (目を瞬かせる。'深く考えずに言った事なのに...とにかく...') そうだった? セア : ......(見る) どんな性格ですか? ヨンウン : .....(見る) チン代表の事 ...御存知ですか? セア : (慌てる) いえ、全然... ヨンウン : (そっと首を傾げる) ....そう? セア : ただ....挨拶した程度です。個人的には分かりません。 ヨンウン : それでどうして...面白いキャラクターだと思ったの? セア : それは..悪い人と言われたでしょう?だけど痛みもあるとおっしゃって... ヨンウン : (頷く) そうね......(セアを見る) セア : (不安。どきどきする) .... ヨンウン : (息を吐き出す) 私がチン代表を悪い人だと言ったのは、彼の仕事のやり方のためなの。仕事に関しては自分のやり方を曲げないから、相手の立場では大変で、悪役に映る事が多いわ。 セア : (ヨンウンを見る)..... ヨンウン : 私がチン代表を知ったのも仕事でだったから、第一印象は非常~に悪かったわ。それどころか、それからもっと悪くなって、それから.... セア : (ずっと見ている)... ヨンウン : チン代表に隠れた痛みがある事を知ったの。ずっと若かった時の青臭い事。愛する女性を失った。自分がそうさせたと思ったチン代表は、その事以後ずっと自分を極限状況に駆って行ったのね...。まるで自分を壊したいかのようにのように...。10年近くの間、自分を責めながら生きて来た...。 (セア、昨年のある日の事を思い浮かべる。) " ユン作家と似た目を持った女を...知っています。 ....愛に命をかけた馬鹿な女でした... ....馬鹿みたいに死んでしまって何も出来なくなってしまいました... ....生きていれば、敗者復活戦でも復讐でも出来るではないかと墓まで追い掛けて言ってやりたかったです... ....常に叫びたかった愚痴です.... " (セア、サンウの言葉を思い浮かべて呆然としている。) ヨンウン : (セアを見る) ...セアさん? セア : (驚いてヨンウンを見る)..え? ヨンウン : 何を考えているの? セア : (目を動かす) いいえ....何も... ヨンウン : とにかく...この事が分かってからチン代表にも暖かさがあると.. 思うようになったわ。それから1年近く、友達みたいになっているの... セア : ....そう...そうだったんですね... (ヨンウン、セアの遥かな声に振り返る....) (原作出処:sonkhj1116さんのブログ) |