輪島で観られる世界の絵画 第2回
ティントレット『サンマルコの奇蹟』イタリア[260cm×320cm]イナチュウ美術館所蔵ヴェネツィアのサンマルコ教会に展示するために描かれた作品で、ミケランジェロの素描と師匠であるティツィアーノの色彩を総合し、人工的な光と劇的な動きを表現した、ティントレットの代表作のひとつです。イナチュウ美術館所蔵のこの絵は、ナポレオンがヴェネツィアを進攻したときにパリに持ち帰り、失脚した後、1814年のウィーン会議によりイタリアへ返還されたものです。ティントレットは、1518年ヴェネツィアに生まれ、同地で1594年に亡くなっています。ほぼ生涯をヴェネツィアで過ごしたティントレットは、最初、ヴェネツィア派の画家、ティツィアーノに入門し、ローマ滞在を契機にミケランジェロの影響から、劇的構図と光の効果を求める方向へ傾いていきました。ティントレットの特徴は、演劇性と生命力、観る人を驚倒させる姿態と激しい運動のなかにおいて、色と光の効果を与え、聖書と神話の世界を緊張と興奮のなかに描きだしています。速筆で多作な画家だったティントレットの作品は数多く、『スザンナ』『聖マルコの遺骸の発見』『最後の晩餐』など有名な絵画を遺しています。(2007年11月3日記・イナチュウ美術館)イナチュウ美術館ホームページ輪島塗漆芸美術 ミニパネル【月にウサギ】額縁入り