小ばなし どちらが変人か
エッ 俺が変人って? (小噺)ある日、郷里に住んでいる妹から電話が掛かって来た。妹 『兄貴 喜多さん(仮称)を叱ってよ』 喜多さんは私の年来の友人である。私 [突然何や、喜多さんと何かあったんか]妹 『先日農協の企画でお伊勢参りのバス旅行があって、その車中で喜多さんが 酔っ払って、兄貴の事を変人だ!変人だ!と言うのよ。 私 頭にきた。』土佐の”ハチキン”(負けず嫌い)女としては無理もないが、ここで私が慌ててこの会話に乗ってしまったらお終いだから: 私 [妹よ、考えてもご覧。お前の住んでいるその町で一番の変人は誰や]この喜多さんが、どのくらい変わっているかと言うと、喜多さんの家は,祖先の時代から近郷近在の名家で、父親はれっきとした保守的政治家だったが、喜多さんは学生時代から,共産党?あるいはそのシンパで、農家を継いでからも政治信念を曲げず、今では、赤旗配達所を兼ねているらしい。どんな事があってもニコニコしていて堪えない。その頑固さは例えがないだろう。妹 『そら 喜多さんや』私 [そうだろう。近郷近在きっての変人が常人を見たら、常人が変人に見える のと違うか]妹 『そうだね。ウウム、分かった』そう言うわけで、せっかく妹が持ち上げてくれている兄貴の存在を落す訳にはいかないから、私もない知恵を絞って、こんな会話で妹をなだめた 。しかし、本心を語れば、私も変人である。立派に変人変わり者だと思っている。