戦う障害者

[色々な人々] カテゴリの記事

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• ちゃんと聞こうよ

  リハビリ科の医者はちょっと変わった人なんですが、話を引き出すのが商売だったこっちからみると実に話す意欲を失わせる人で、話しててなんだかイヤになるような人です。リハビリをするとき、リハビリの先生は構音障害の患者さんに慣れているのか、殆ど聞き返されることがないので、おしゃべりを楽しんでいるんですが、医者と話してすぐに何を言ってるか聞き取れない、という顔をされたので、「おや？」と思いました。まるでうちの家族と話しているみたいです。その後も何度も聞き返されたり、「もう一度言ってください」と言われました。若い医者じゃないのに、カンが悪すぎ！寝床からトイレへの行き方を話していても、「角を曲がるときにちょっと意識するのか、脳を使うからなのか、ここでよく貧血をおこすんですよね」と言うと、「曲がるときに脳を使うと言う話は聞いたことがないなあ」と反論するし。「冬、風邪を引くとお腹壊す人がいますよね。ああゆう感じで、猛暑でダウンしたときも体力的に弱くなっている影響がお腹にきちゃったみたいで、お腹も壊しちゃったんです」と言ったら、「風邪引いたってお腹壊さない人もいますよ」とか「猛暑でお腹壊すっていうのは聞いたことないなあ」とか。あんた素人相手にむきになるなよ。それによくそこで貧血起こすって本人が言ってんじゃないかよ。とどめは「冷房は熱を上げない役には立ちますけど、エアコンでも扇風機でもずっとつけっぱなしはよくないかなと一瞬止めると、その一瞬に熱があがっちゃうんですよ」と、言うと、「つけっ放しだっていいんですよ」「なんでこの寒い時期は大丈夫なんですかね。冷房は熱を下げないとおっしゃったけど、本当はずっとあたっていたらさがるんじゃないですか？じゃなきゃ、この時期発熱しないってのも変ですよね。でしょ？」この時点で、「もう、いいや」という気分で、後は、「はい、はい」しか言いませんでした。これは一例です。こういう症状の話って患者が主役だと思うんですが、そうはさせまいとする医者で、間違っていても患者は素人なんだから、その意図を汲み取れよ～、といつも思います。こっちは、こうじゃないかと、こう感じる、と話しているのにいちいち否定されるので、「あんたには話さない」気分でいっぱいになってしまいます。ああ、もったいない。相性かなあ？その後、父が、「医者が前とあまり変わらないって言ってたなあ」と言うので、「そんなこと言ってないよ。夏の間寝込んでいたわりには筋力が残ってるって言ったんだよ（違いは父にはわからないと思いますが）。リハビリするときはリハビリの先生が一緒にいるので、あの医者は前の私の様子と比較なんか出来ないよ」と言いました。父二人状態です。

  2007年11月24日

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• 可哀相な人

  友人が、出張土産でコーヒーを送ってくれました。私「お3時にこれ入れてね。なくなったら・・・」妹「（私がまだ話しているのに）お昼何食べるの？」私「え？・・・おにぎりでいいかな？そのコーヒーなくなったら言ってね。」しばらくして（１時間ぐらいして）妹「さっき渡したの、なに？」こういうおポンチな会話が交わされるのは我が家では毎日のことです。私が１５年以上も０段階の生徒に語学を教える仕事をしていなかったらとっくにキレているところです。最近は母がパートをしていたところが潰れたので、母も妹同様にうちにいます。それで、おポンチさが減ったかというとその逆で、2倍になりました。おポンチな人間が一人だったのが二人になってしまいました。リハビリに来る人の中には、かいがいしく母親の世話をする仲良さそうな母娘や、自分の病気を知って、二世帯住宅にした人や。以前の友の会の会報や他の人のHP(同病とはかぎりませんが）を見ていると、パートナーの病気を知ってかいがいしく世話したり、バリアフリーのために家を建て替える人もいますが、パートナー（妻か夫）の病気を知ってそのパートナーが愛人のところに行ってしまったり、パートナーの病気が進行して不自由になったらそのパートナーに罵声をあびせたり色々です。私はおポンチな家族と住んでいて、両親は老人で妹は対人恐怖症の一種引きこもりだし、家なし、金なしで、お先真っ暗ですが、とりあえず雨風を凌いで寝るところはあるし、暴力的虐待を受けているわけではないし、位置的には中間かな（何の？）。上には上があるように下には下があると思っても、だから自分の立場をありがたい、な～んて思いません。「もっと気い使えや」と相変らず思うと思います。思うんですけど、罵声を浴びせたり意地悪な態度をしてしまう人って、心に何か不安というか恐怖を抱えているように思うんですよね。開き直っているというか、何でも受け入れるドンと来いの人は、小さく、意地悪して、コセコセしないと思うんですよ。うちのおポンチ家族にしても、毎日おポンチな言動があるので、「ムッ！」と同時に、「まだ、バカだ」と一種同情のような可哀相な気持ちにもなるんですよ。これ、わかりますかね。

  2007年10月09日

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• 色々な考え

  私は病名がわかるまで、いろいろな医者にあいました。『駄目だ、こいつ』と思われる、話もロクロク聞いてくれない医者から、涙がチョチョ切れそうな親身な医者までいろいろいました。いずれにせよ、こちらから色々調べて（「答えを」）求めなければ何も得られない、というのは患者にはあまり快くないですね。それに加えて個人の考え方というのもあるので、患者の意思を尊重してくれる患者にあった医者を探すのは凄く難しいと思いました。それが見つかるまで、探し続ける強い意志と、それにつきあってくれる気長な付添い人が今の我々には最低条件になりますね。偶然医療関係者の友人が多いんです。あるとき（病気になる前）、日本語教師をしていると月の物で体調が悪くてもクラスを休むわけにはいかないし、立って授業をするのでそんな時はタイヘン、という話をしていたら、Aという看護師をしている友人が、「薬を飲むのはよくないから」とラクになるツボをおしえてくれて、普段から心がけるべきことを教えてくれました。彼女自身長いこと、ヨガをならっていて自然治癒の方法をいろいろ研究していたんですが、その後婦長さんまで行ったのに、突然病院をやめて、今は個人で妊婦さんを相手にしたヨガ教室をやっています。同時期に偶然Bという看護師をしている友人と同じ話になったら、Bには「痛かったら我慢しないで薬飲みな～」と言われました。薬の害は知っているけれど、痛みが人間の精神に及ぼすダメージも知っているので、気力が失せることの方が心配だと言ってました。どっちの考えも納得のいくものです。私は偶然どちらの考えも聞いたので、選択権がありましたが、どちらか一方だけ聞いたら、そっちに偏ってしまうんでしょうね。私はたまたま「友人として」話を聞いたので、そこに十分自分の考えを加えたり、自分なりに吟味したりする余地がありましたが、これが病院で、「医療スタッフ」から聞いたのではまた考えに対する印象が違うのかな、と思いました。医者めぐりをしている頃、目も乾くような気がして、眼科に行ったら、「ドライアイですね。ドライアイは治りませんから、気長につきあって行くように」といわれて１日6回点す目薬が出ました。けれど、１日６回目薬を点すぐらいでよくなるようなものではなかったので、仕方なく図書館で本をさがしたら「ドライアイ」という、まんまの本があり、それにドライアイの対処法やドライアイ用の眼鏡のことが書いてありました。それをメモして眼鏡屋にいったら、形状から花粉症用の眼鏡と思われて「そうゆうのはよくホームセンターで見かけますよ」と言われました。この眼鏡屋さんはドライアイ用の眼鏡を知らないようでした。因みにこのとき、私は日本語の先生なのに「ホームセンター」という言葉を知らなくて、「ホームセンターって何ですか？」と聞いたら、「日本の方・・・ですよね？」と聞かれちゃいました。その次の眼鏡屋はドライアイ用の眼鏡を知っていて、奥から出してきたので、すぐ買えました。検査入院中に目が乾き易いという話をしたら、眼科にまわされて、「病名：ドライアイ」となりました。けれど病室のあった神経内科ではドライアイは症状で、病名ではない、とドライアイを引き起こす原因探しになり、その後膠原病科、口腔外科とまわることになりました。病室には私ともう一人年配のおばさんが神経内科の患者として、いました。私は何でも自分のことは自分で知りたい、コントロールしたいタイプで、もし余命何ヶ月の悪い癌で、家族だけが事実を知り、本人（私）に告知できずに、本人も友人にお別れも言えず、日記もそのまま残して死んでしまったらゼッタイ化けて出ます。おばさんはその逆で、何でも先生さまのおっしゃるとおりにしますから悪いことは言わないで～、難しいことは聞かせないで～、というタイプです。医者も色々、患者も色々、相性の良し悪しが結構大切なんですね。

  2007年07月10日

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• 素直な先生

  あれ？これ前にも書いたかもしれませんが、同じことを書いてたらごめんなさい。友人・知人の殆どには病気のことを言ってあるので、今、仕事どうしてるの？と、聞かれることもありませんし、メールを打つのでも言葉を選ぶ必要がなく、平気で「リハビリの帰りに新しいスーパーへ寄ってみた」とか、「私の歩行器がかわいいので、今日病院で褒められた」とか、余計な神経を使わずにいます。偶然友人に医療関係者が多く、そういう人や、ご家族に病人がいる場合は結構具体的に聞いてくるんですが、そうでない人は病気のことはあまり聞いちゃいけない、と思うらしく、メールでも手紙でもなんか病気のことを迂回しているんですよね。ま、なってみなくちゃ病気もあまり興味ないですしね。数年前、ある日突然高校の担任（男）から、何故か鉛筆書きの手紙が来ました。その先生とは卒業後、まったく連絡をとりあっていませんでした。年賀状でさえ、やりとりしていませんでした。それが、他の元同級生から、私が病気だということを聞いて、直接尋ねてきました。「どんな病気なんですか？」「今はどういう様子なんですか？」と問い合わせてきました。まあ、それの受け取り側の気持ち次第だと思いますが、私は勝手に想像されて、実際と違う「現在のあんみん像」を描かれるよりも実際を正直に話せる機会が得られて良かったです。だいたい、病気の人に、「何の病気ですか」とか「どうなるんですか」なんて、なかなか聞けないですよ。

  2007年05月24日

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• 前向きな友だちたち

  つきあいが２０年近くになる、ダウン症児を我が子に持つ友だちと、私は、障害児を抱えることとか病気のことだけをとりあげると凄くタイヘンな状況だけど、世の中、タイヘンなこともあるけど、面白いこともあるんだよね、ということで意見が一致しています。私なんかも、嘆き悲しみながらもおなかすくだろうし（ついでに○○が食べたいとか思うだろうし）、車椅子生活になっても今晩テレビでタモリの「ジャポニカロゴス」があると思ったら、ワクワクしちゃうだろうなあ。と言って、悟りを開いたような、殊勝な心根を持つワケではありません。割り込みされれば、「おばん、後ろに並べえや！」と思いますし、映画の上映に間に合わなければ、「ちっ！」と思います。そもそも、不思議大好きで、昔ニューエイジや形而上的なことに凝って、その手の本はゲップが出るほど読んだし、オーラ写真も何度も撮り、インドの葉っぱに書かれているという自分の将来を検索したこともありますが（知っている人は知っている）、そんなに熱心だったのに、まったく瞑想をしていなかったという、今ひとつ真剣味に欠けているんですよねえ。もうちょっと真剣に悩めというカンジです。３０年来の、先日書いた友人は、本人はアルバイトとかいろいろ苦労しながらでも留学経験があるくらいなんですが（つまり、いろいろいい経験がある）、お父さんは（すでに亡人）20年くらい前に、突然の交通事故で、その後２０年くらい車椅子生活になり、その後お母さんの病気。そんな友人が、「人生って生きているといろいろあるわね」と言っているのが私好みだと思いました。その友人と私は特に気が合うというわけではなく、何かをするときに相談する、というわけでもなく（友人も私も自分のことは自分で決心するタイプです）、腐れ縁的につきあいが続いてきたカンジなんですが、こういう前向きなところが好きで、つきあいが長く続いた原因なのかもしれません。

  2007年05月17日

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• 友だちのお母さん

  GWに、こちらはパソコンで忙しくしているころ、３０年以上つきあいがある友だちから、お母さんがタイヘンなことになっている、とメールが来ました。私は病人ですから、病人の生活や症状が書くことのメインですが、その親には子供が病人であれなんであれ、老人性の性格異常は容赦なくやってきます。うちも「わざとじゃないんだから」と我慢すれば済んだものが、最近は父も母も程度が増しているので、「ちょっとかばいきれないなあ」というカンジです。年齢的に言って、親の代がそういった問題が増えてくるので、そういう話がとんと多くなりました。３０年来の友人も、お父さんの死後、お母さんの認知症だか、ノイローゼだか、うつだかが酷くなり、少しでも心穏やかに過ごせれば、とよく一緒に過ごしたり、連れ出したりしていたんですが、先月左手に大やけどを負ってしまったそうです。料理中に片手鍋で左の親指と人差し指を焦がしてしまったそうです。そのときはすぐに、近所の診療所で治療をしてもらったそうです。あまり痛みを感じていないらしく、また、包帯をしていたし（怪我がよく見えなかった）、家事もしていたので、そんなに酷い傷とは思わず、ただやけどが大きかったので、念のために１週間ぐらいしてから専門の医者に見せたら形成がある大きな病院にすぐに行った方がいいと言われて、病院に行ったらすぐに手術になったそうです。で、手術をしたら（１度目）更に重症ということがわかり、とうとう２度目の手術ではひとさし指は切断になったそうです。昨日・今日あたり３度目の手術なんですが、それまで親指も切断されるかどうか、わからないそうです。おばさん、なによりも環境が変わるとパニックを起こすんですが、案の定手術のための入院は錯乱状態で大変な騒ぎだったらしいです。なんだか、自分が病気なのは頭にきますが、まだ他にも不幸とか災難とかあると、「まだ、あるの～」というカンジで無性に腹が立ちます。

  2007年05月11日

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• 他の人の話　５

  リハビリをするときは、寝転がって手足をまげたり、伸ばしたりするので、運動着とまではいかなくてもちょっとゆるめの普段着です。入院患者さんはパジャマにちょっと上に軽くはおったくらいです。リハビリに限らず病院に来る人は、あまりかたい格好ではなく、普段着の体裁のいいいものを来ている人というカンジです。エプロンをした奥様風の人や上下ちょっと素材のいいスポーツウェアの人は、介護会社の人です。前回リハビリに行ったとき、５０代くらいの上下スーツ姿の男の人がいました。最初見たときに丁度私とその人の間でリハビリの先生がかがんで何か作業をしていたので、車椅子が目に入らず、介護の人か福祉用具の業者の人が椅子に座ってるんだろう、と思っていました。が、いずれにせよ、リハビリ室の中で座っているのは変だと思って、もう一度見たら、車椅子が見えました。位置を変えるにも、リハビリの先生が二人がかりになるほど、結構重症なんですが、本人は現実を受け入れられないようで、憮然とした表情で、リハビリの先生にも聞かれたことしか答えないカンジです。リハビリの先生が、「嚥下とか、何かで今特に困っていることとかないですか？」と聞いたりしますが、「ん」とか「いいや」しか返事しないので、それ以上の細かいことはわかりませんでした。なんと言ってもねえ、スーツがねえ、気の毒ですよねえ。リハビリ室では特に浮くんですが、本人の心情が一目瞭然なので、余計気の毒ですよ。その一方で、小柄で小太りのちょっとかわいらしいおじさんがいて、ニコニコしながら、「こんなによくなるとは思わなかったよ」とたどたどしく話していました。一応歩けるんですが、歩行練習のときはリハビリの先生がピッチリ付添わなければならないほどヨレヨレしていて、楽観視するのもどうかな、というくらいの人です。おじさんが言うには、突然倒れて、目が覚めたときには病院のベッドに寝ていて、何もできなくて、起き上がることなんてまずできなくて、『人生終ったな』と思っていたそうです。だから今では、ポロポロこぼしながらでも自分でご飯を食べることさえ嬉しいそうです。運命の受け取り方の違いかな？スーツのおじさんにも早くこうなって欲しいですね。

  2007年04月29日

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• 炭鉱のカナリヤ

  「面倒臭い」ことを知らない人がもう一人います。Ｗさんという人で、実に腰が軽くて、って言うと悪い意味になっちゃうのか、実にフットワークが軽くて、面倒なことも進んで引き受けてくれるし、今着いたばかりで上着も脱いでないのに、用事があればそのまま外に再び出て行くことを拒まない人です。そればかりか、彼には「恐怖」もなくて、テレビ番組を制作する仕事をしているんですが、戦地やちょっと恐いところにズンズン行くし、そればかりか「行く」だけでなく、物や異文化に関する習慣を試してみるなど、親だったら「ちょっとやめなよ～」ということを平気で験すところがありました。そこで、それは何故か、と一度聞いてみたことがあります。彼はちょっと小柄で少年ぽい身体つきをしています、と言ってもすっごい背が低いとかガリガリというわけではないんですが。中高の頃、周囲の友人が段々がっしりしてきて、段々男らしくなってきて、そんな中で自分の体型にコンプレックスを抱いていたそうなんです。そんな中で生きる目的とか自分の存在価値とか真剣に考えていたそうなんです（青春！！）。その時「炭鉱のカナリヤ」という言葉を知って、自分の生きる目的を知ったような気がしたんだそうです。自分は「炭鉱のカナリヤ」として生きればいいのか、と思った瞬間から、体型やルックス、学歴など一切気にならなくなったそうです。もともと死ぬことが目的（？）と言ったらなんですが、「これをやったら危険」ということを知らせることが自分の目的なので、どこでも何にでも率先して向かっていくことが使命のように思えるので、自分の辞書には「恐怖」はないんだそうです。治療法がわからない病気になったと知って、よく彼のことを思い出しました。私は自分のことを「炭鉱のカナリヤ」と思うほど殊勝な心根を持つ人間ではありませんが、前職も大きく影響しているのか、自分の症状を話すときはいつも「教えてあげる」という気持がチラッと心に浮かびます。「治療法がない」とか「薬のことは薬剤師」という頭があるので、症状のいろいろを話しても、解決策や予防策がわかっても誰も治してくれるわけじゃないとわかっているんですが、医者やリハビリの先生が他の患者さんの話をするたびに、自分が自分の症状を話したら、この人の多系統萎縮症の資料が１つ増えるんだろう、と思ったりします。また、人の話を熱心に聞かない医者とかは「学ぶ姿勢のないやつだね、こいつは」と思います。

  2007年02月28日

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• 発想の違い

  ２０年以上前、飲食店でアルバイトをしている頃、今でも感心したことを忘れないＫ君という人がバイト仲間にいました。お昼頃入り口のすぐ横に荷物を置かれて、「これじゃお客さんが入るのに邪魔だろう。午後一でどかさなきゃ」と思っていると、Ｋ君は自分の昼食が終るとサッサと荷物をどかしていました。アルバイトの誰もが休憩時間はきっちりと休みたい、と思っているのに、Ｋ君にはそういう発想が全くなくて、「だってこれじゃお客さんが困るでしょ」とか「だって、そこちょっと汚れてるし」と、よくクルクル動いていました。こういう人が店にいてくれたら実に助かります。Ｋ君の辞書には「面倒臭い」はないようでした。その後、昔テレビ朝日のアナウンサーで高齢出産した女性が、高齢で出産すると子供の世話とかいろいろタイヘンですね、と言われて実は「面倒臭い」と思ったことが人生で一度もないので、今の状況も実はタイヘンと思ったことがない、と言うことでした。彼女のご両親がそういう性格でそのご両親を見ながら育ったので、その影響が大きく、「面倒臭い」というのが、実はどういうことなのかよくわかっていないんだそうです。ときどきそういう人がいるんですね。全然内容にも病気にも関係ないですが、猫好きの人のために。今巷で話題の「ピアノを弾く猫」です。

  2007年02月27日

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• 4万円の恩

  病気に関係ない思い出話です。大昔、英語の専門学校卒業後、すぐに就職しないで、学生の頃からやっていたアルバイトを続けていました。その後アルバイトという肩書きはなく、何か書類に記入するときは主婦とアルバイトは「無職」になると知り、肩書き欲しさに就職することにしました。ずっと学生だったのでふざけた服（？）しかなく、洋服代やら交通費やらでどんどん金が飛んでいきました。また教育関係の会社にとりあえず腰をひっかけたときは新人研修と称して1箇月近く実費で通ったので、そのときも随分金が飛んでいきました。結局、その後の小さな広告会社に腰を落ち着けたんですが、初めてお勤めにでるので、洋服代や定期３か月分などかなり出費があり、仕方なく親に借りました。その後、給料日まであと1週間なのに、財布に千円しかない、ということがありました。お昼はお弁当だし、万が一飲み会があっても嘘でごまかせばどうにかなるんですが、仮に送別会のカンパがまわってきたらごまかしようがありません。それで友人に１万円借りることにしました。お金にしっかりもののＡ子が２０歳そこそこで１００万円貯めたというので、Ａ子に聞いてみたらなんだかんだ言って断わられました。だからしっかりものなんですね。１００万円あっても貸す金はないんです。私も、だいたい友情を頼って金を借りようなんて、甘いよなあ、と反省して、Ａ子に会いに来たついでに近くに住むＢ子に会いに行きました。Ｂ子は丁度駅前のコーヒーショップでバイトをしていて、そろそろ終わる時間なので会いに行きました。Ｂ子が、「どうしてこんなところまで来たの？」と聞くので「実はＡ子に金を借りようと思ったんだけど、断られた。ま、１週間ぐらいどうにかなるよ」と言ったら、Ｂ子がその場でカードで４万円おろして、渡してくれました。「こんな要らないよ！」とビックリする私に、「社会人なんだから、何に必要になるかわからないから持ってな。使わなかったらそのまま返してくれればいいから。４月にちょっと旅行に行くからそれまでに返してくれればいいからさ」と言いました。次の日会社に行くとなんと給料日でした。実はずっと続けていたバイトの給料日が月末で、だから給料日も月末だとてっきり思い込んでいたのです。２５日なんですね。その上、総務からは、「初めて就職したばかりじゃお金かかってタイヘンだったでしょう？」と労われました。日本語の先生になる前の話です。さて、将来、「あんみんの恩返し」はあるんでしょうか。

  2007年01月24日

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• 素敵な人

  人間関係で鬼門はわが家なんですが、家を一歩出ると素敵な人がいっぱいいます。実の母がこんなんなのに、全然赤の他人で、母ぐらいの年齢で、とても素敵なＮ先生という人がいます。１０年ぐらい前、職場で一緒だった人で、今６０歳代半ばです。教えていたクラスも入った時期も全然違うのに、よほど相性がよかったのか、年賀状ぐらいで連絡が今でも続いている人です。１年に一度の近況報告なので、年賀状に、恒例の挨拶や絵が印刷されている隙間にびっしり手書きで小手紙のように昨年１年間はああだった、こうだったと書いてくれます。６０歳の声を聞く頃から通信で幼稚園教諭の資格をとる勉強を始め、課題のひとつである、オルガンを習い始めたそうです。本人はボケ防止と笑っていますが、６０歳を越えて（理由が何にせよ）オルガンを習おうなんて、ちょっと思わないですよね。今は資格試験も無事に通って週に数日幼稚園の先生の補助として、近所の幼稚園に出向いているそうです。私の家族は全然私のやることに関心なくて、どういう人にどんな日本語を教えているかも知らなかったんですが、Ｎ先生は私がやることを（当時から）何でも感心して、面白がってくれました。人って、どうしても批難されるより、ほめられる人に行っちゃいますよね。病気の連絡をしたときも、定年後にだんなが始めたというパソコンからすぐにメールをくれて、「どうせＴ先生のことだから（私、当時はＴ先生と呼ばれていたんです）病人っぽく寝てないんでしょ？」と書いてありました。Ｎ先生は私のこといつも褒めてくれるけれど、Ｎ先生の方こそ、いつまでも向上心と好奇心を失わない人だと思いますが、今回パソコンのことで、もしかしてご主人もそうなのか、と思いました。そういう環境なんでしょうか。こうゆう人が母親だったら、とは思いますが、実際の親子になるとまたいろいろ違ってくるんでしょうね。

  2006年09月24日

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• 他の人の話　４

  リハビリに来る人の中には、是非見習わなくちゃというような積極的な人もいます。よく一緒になるおばさんは、足が悪くて、リハビリでは歩行器や杖（なんて言うんだろう。,先が四つまたぐらいになっているやつ）で、練習しているんですが、ショッピングセンターのようなちょっと多く歩かなければならないところは車椅子でまわっているようです。話す方には障害がないらしくて、大きい声でよくしゃべるんですよ（だから私もよく知っている）。ボランティアの人が同行する旅行にもよく参加しているらしく、先月はどこに行った、来月はどこに行く、とよく話しています。子供さんもいるらしいんですが、同居するという発想がまったくないらしくて、だんながいないのをいいことに、どこかの施設に入ったんですが、「駄目だ、あそこじゃ、上げ膳据え膳で、自立できないや」と、最近部屋を借りて独立しました。「だもんだから病院から遠くなっちゃって、リハビリに来る回数も減っちゃったよ」と言ってました。

  2006年06月15日

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• 他の人の話　３

  リハビリに来る人の中に、７０歳くらいのスポーツ刈りのおじさんがいます。ちょっと見、植木職人みたいなイメージです。いつもムスッとしてリハビリの先生とも他の患者さんとも話さないんですが、ときどき電話でタクシーの呼び出しをしているので、口が不自由というより性格みたいです。いつも来るときは息子さんらしい人が送ってきて、どきどきはその息子さんらしい人が迎えにきますが、多くは自分で公衆電話まで行って、介護タクシーを呼んで、自分で帰ります。車椅子なんですが、歩けないというより足が不自由な感じで、公衆電話まで一人で行くことが多いので、一人でフラフラするよりいいだろう、という感じです。いつだったか、帰りに駐車場でそのおじさんと一緒になりました。珍しく息子さんらしい人が迎えに来ている日でした。いつも介護カーや家族がバンに車椅子を乗せている姿をよく見るのですが、その車は○○工務店と書かれた軽トラで、息子さんらしい人とおじさんが前に乗り、出発すると荷台に車椅子がポツンと（多分結わかれて）しているのが見えました。何か、出荷待ちの車椅子が荷台に乗っているみたいです。いや、それだけなんですけどね。なんだかねえ。

  2006年06月12日

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• 他の人の話　２

  リハビリにはいろいろな人が来ているので、人間観察が好きな私は結構待っている時間も面白いです。ちょっと大柄の大きい声のおじさんがいます。いつも、「痛（いて）えな、コンチクショー」と怒鳴っています。勿論リハビリの先生ではなく、自分の痛みに怒鳴っているんですが、その声を聞くとついリハビリ室中笑ってしまいます。そうすると、「あんたも笑ってんじゃねえよ。リハビリの先生だったらどうにかしろよ！ええい、コンチクショー！」とまた怒鳴ります。大きい声のおじさんがもう１人います。多分地声が大きいと言うよりも、耳が少し遠いんだと思います。それで、聞き耳を立てているつもりはないんですが、自然と会話が耳に入ります。そのおじさんは普段家で１人で留守番とかをすることはないそうなんですが、ある日奥さんが急いで近所まで行きたいと言うので１人になったことがあるそうです。そうゆうときに限って電話が鳴って、どうやら奥さんが留守番電話にしていくのを忘れたらしいです。いつまでも鳴るので、あっちこっちの家具につかまりながら、やっとの思いで電話に出たら、お墓のセールスだったそうです。よっぽど「まだじゃ！」と言おうと思ったと憤慨していましたが、聞いてるこっちは大笑い。「鯉おじさん」と私が陰で呼んでいる患者さんもいます。ちょっと混んでいると、待たなければならないことがありますが、このおじさんは待つことが嫌いらしくて、しかし話すことができないらしいです。で、どうするかと言うと、大きく２回手を叩いてならします。「パチン、パチン！」リハビリの先生が、「は～い、ただいま！」すると他のリハビリの先生が、「なんか、お銚子１本って言われてるみたいだねえ」と笑っていました。私は鯉の餌やりみたい,だなあ、と思っています。

  2006年06月05日

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• 他の人の話　１

  リハビリに、お母さんと付き添って来る娘さんというのは何組かいるんですが、その中で私が行く時間帯にリハビリ室の中まで入ってきて、お母さんがリハビリをしている間もずっと見ている組が２組います。A親子の娘さんは（５０歳ぐらい）仕事を持っているらしく、ときどきヘルパーさんらしき人が来ます。ある日、ベットに横になって待っていると、娘さんが、「今日は寝方が違うんじゃない？どっか痛いんじゃない？言ってあげようか？」と声をかけていました。私たちが見たらフツーに右向きに丸くなって寝ているとしか思えません。「よく見ているなあ」と感心しました。B親子のお母さんはもともとお歳のわりにはおしゃれで、いつも素敵なヘアカットで、色もメッシュの入ったおしゃれな感じに染めていて、別な意味で気にしてチラチラ見ていました。いつもマニキュアをしているのですが、自分でマニキュアを塗れるはずもありませんから、娘さん（多分５０代）かヘルパーさんに塗ってもらうのでしょうか。ある日、偶然リハビリを行うのがすぐ近くの場所になりました。お母さんのリハビリシューズに薔薇の花（アップリケではなくもっと立体的なもの）がついていました。その日は親子を担当したのが女性で、目ざとくその薔薇の花を見つけて、「あら、薔薇がついてるわ！」と叫びました。お母さんも見つけてもらって嬉しそうにニコニコしています。なんでも娘さんが用事で手芸屋に行ったときにこの薔薇を見つけて、これだったらリハビリシューズにつけられるな、と思ったそうです。お母さんのおしゃれ好きをよく知っていて、病気になってもそれをいかしてくれる理想的なご家族だと思いました。昨年のクリスマスには、お母さんのマニキュアをしたつめにクリスマスツリーが描いてあったらしく（おしゃれでしょう？）、手を動かしていたリハビリの先生（男）が、「あれ・・・？ツリーが描いてあるんだべ！」（うちの方ではこういう方言ではないですが、ふざけて）と叫びました。するとお母さんが、「へへへ・・・」とイタズラっぽい顔をしました。娘さんが言うには、本当はイヤリングまでしたいと言ったんだけど、イヤリングはなくしやすいので、そうするとリハビリとかマッサージの先生にご迷惑がかかるから、とあきらめてもらったそうです。いつだったか駐車場で偶然この親子に会いました。こちらは帰るときで、向こうは娘さんが運転する軽自動車が入ってくるところでした。親子の会話に夢中になっているらしく、娘さんは思いっきりニコニコしていました。その後娘さんは、お母さんの折りたたみ車椅子を車の後ろから下ろしていたのですが、頭では会話を反芻していたらしくずっとニコニコしていました。そして、お母さんを車椅子に座らせながら、「じゃ、○○ちゃんにもわかっちゃったのね」と続きを話していました。この娘さんの頭には車椅子を下ろすとか、病人を病院へ連れて行くとか、普通の毎日のリズムに組みこまれていて、○○をやってあげている、とか、感謝されたい、とかちっともないように感じました。

  2006年05月25日

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• 続ヒョーヒョー兄ちゃん

  兄ちゃんと私はよく音楽の話をしていました。リハビリを続けているうちに病院によって随分違うんだなあ、と思いました。私は２箇所しか知りませんが、入院していた病院とここもかなりリハビリ全体の患者に対する構え方（？）が違います。けれど、入院していた病院は隣の県ですし、他の病院のことは知らない人ばかりですから比較したってわからない人ばかりですし、ただ病院によって違う、ということ以外話すこともなくいました。ところが偶然、この兄ちゃんが２つの病院でアルバイトをしていて、それがこの病院と私が入院していた病院だったんです。「え、じゃあ、○○先生って知ってますか？」と、兄ちゃん。知っているも何も、私は患者本人ですから。「病院によって随分やり方が違うもんだねえ」という話をしながら、兄ちゃんが「どこが一番違うように感じましたか？」と聞くので、「あそこは広いし、道具も色々あるけど、全体的にやっつけ仕事って感じですよね。一番違うのは患者さんの名前呼ぶこともないし。あそこって、まずリハビリの先生と患者さんが楽しそうに話している姿ってないですよね」と言ったら、リハビリを受ける方も色々感じていると（当たり前なんですが）知って驚いたようでした。

  2006年05月24日

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• ヒョーヒョー兄ちゃん

  リハビリを始めた頃ヒョーヒョーとした、今風の兄ちゃんがアルバイトにいました。マッサージ関係や直接指導はリハビリの先生達がやるのでアルバイトは道具を準備したり、患者さんを場所から場所へ誘導したり、混雑時に忙しいと先生の代りに歩行練習の補助についたり、結構くるくると忙しそうでした。この兄ちゃんは今風で、なんか医療関係者に見えない兄ちゃんなんですが、よくしゃべるんですよ。 おしゃべりという意味ではなくて、相手がしかめっ面をしていてもふくれっ面をしていても関係なくしゃべるんです。それも、先生たちだったら体調のこととか、最近の状態とかもっと専門的なことを話すんでしょうが、野球とか車とかテレビ番組とか音楽とか、リハビリに全然関係ない話題ばかりです。また専門家臭くない、「ちょいと、あんた」となんでも頼みやすい気やすさがあるので、患者さんも気をつかわないんでしょうねえ。この兄ちゃんが補助についている歩行練習を見ていると患者さんが口をパクパク動かしている（＝よく話している）のがわかります。いつだったか、おじさんが凄く不機嫌な顔で歩行練習をしていたので注意してみると、「○○はダメだ！まったくふがいない！！」と怒っていました。兄ちゃんに怒っているのではなくて、好きな野球チームが最近負けてばかりいるので怒っているようでした。

  2006年05月23日

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• どうにかなる１人暮し

  入院していた時は隣の癌の人も、リハビリで一緒だったパーキンソンのおばさんも１人暮らしでした（両者独身・子どもなし）。病気で１人暮しという人は結構いるみたいです。私がリハビリに行く病院で（私が時間帯一緒になる人の中で）電動車椅子で来る人が２人います。病院は中まで電動車椅子が入れるようになっているので、ズンズンとリハビリ室の前までやってきて、リハビリ室に到着すると１人は松葉杖（車の後ろに積んである）で移動します。到着するとすぐにリハビリ室の誰かが補助につきますが、松葉杖をおろすことから何一つ手伝いません。よろけそうになるとパッと手を出しますが、原則見ているだけです。もう１人は車椅子は見かけるんですが、どの人だかちょっとわかりません。２人とも電動車椅子で来るくらいなので、そんなに遠くないのかもしれませんが、病院の前は緩やかな上り坂になっているし、電動車椅子なんで道中（当然ながら）１人で来るんですが、途中で何かあったらなんてまず思わないんでしょうねえ。というか、何かあっても大丈夫、と思っているんでしょうねえ。この病気は進行性なので、家族がいないからどうしよう、とか悩んでいる間に進行してしまいますよ。いろいろやることを決めて、時間があいたら悩めばいいと思います。どうにかなると思えば、どうにかなりますよ！「聞くは一時（いっとき）のハジ、聞かぬは一生のハジ」と言いますが、この病気の場合は「聞くは一時のハジ、聞かぬは一生のソン」です。

  2006年05月13日

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