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2006.03.11
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★夜逃げの章を書き出してから、今日で早や1ヵ月になりやす。


 これまで幾度となく、倒産の憂き目に遭われた会社を見て来やした。

 その中でも・・・あっしが接する事のできたお客様方は、

 みんな良い人達ばかりでした。。



 たしかに会社とか組織とか、形あるものは永遠ではないでやんすが、

 それらの方々も、再起を誓って今も頑張っておられると思うと、

 人目に見えるものだけが世の中ではないと思いやすし、

 簡単に人の一生を幸不幸だけで評論・評価するのは

 つまらない・・・モノの考え方ではないかと思いやす。。

 

::::::::::::::【三ツ目が行くでやんす!】大地篇(17)・・・夜逃げ(7):::::::::::::


 さて、社長から呼び出しを喰らったあっしと富さん、

 2人で車に乗り込み、本社へと向かいやした。



 富さん、この年で50歳だったでしょうか。

 まだまだ脂の乗り切ったバリバリの現役営業マンでやんす。



 その富さんが、

 『なあ、ふなちん。オレの家は女房が保険会社に勤めてて

  給料はオレよりイイんやで。

  ・・・それに息子も今年就職が決まって、家は借金もないし

  もう安泰なんや。

  だから・・・、女房の給料だけで、もう生活していけるくらいやし

  今日ふなちんが何か言われたら・・・。

  オレが守ってやるからな。



  若いあっしにはこの時、富さんが放った言葉の意味が

  あまりよく分かりやせんでしたが、

  ただ、『男らしい・・・。』と感じやした。



  本社の社長室に着くと、N社長とY重役、そしてM部長の3人が

  こちらを向いて待ち構えるようにして座っていやした。



  社長はメーカーからの出向社員である。



  Y重役とは、あっしを採用へと導いた人で、

  実質上この会社のナンバーワンと言われる超コワモテの人だ。

  どすの効いた声で営業マン会議では迫力満点の人でやんす。


  
  M部長はいわゆる現在の営業のトップでやんすが、

  Y重役のかばん持ちとしか思えない奴でやんしたな。。



  『ふなや君。お客さんが夜逃げしたって言うのは本当かね。』

  社長がおもむろに口を開いた。



  『いえ、夜逃げではないですし、クルマもありやす!』



  クルマが確保できている事を確認してホッとしたのか、

  かばん持ちのM部長が、

  『ふなや君、今回はマズイことをしてしまったなあ。。

   リースだから全額回収してこないといかんぞ。』



  Y重役は黙っていやした。 

  M部長は立て続けに『責任は取ってもらわないといかんな。』

  少し脅しをかけるような口調で、あっしの顔をにらみやした。



  Y重役は黙っていやした。。。いつ口を開くんだろうかにゃ?

  社長『ふなや君。キミは何か具体的な方法を考えているのかね。』

  

  富さんがすかさずここで言った。

  『今回の件は、ふなや君には直接の責任はないと思います。

   彼は正当に販売をし、フォローも1週間と開けずに行なっていましたし、

   お客さんともコミュニケーションが取れていたと思います。

   だからこそクルマも確保できたんです!』



  M部長『しかしだなあ。。現実にリース契約を続けることは

      不可能だろうし、支払いができないだろう?』



  ●あっしはここで初めて口を開き、再リースの計画を話やした。

  ただしこの時点では、まだ全く見通しのつかない状況だったので

  『売り先がまだ決まっていやせん』と答えてしまった。



  M部長。キレやした。

  『お前!!そんな無責任なことでいいのか!!

         回収できなかったら、お前が払え!!






  この時、

  静かに・・・、店長である富さんが

  いつも柔和な富さんが、、

  鬼のような真っ赤な顔をして

  M部長をにらみつけて、こう言いやした。





  『Mさん、あなたは、、この会社の・・・、

   営業マンの親分でしょ?

   子分の持ってきた契約書の

承認印を押したのは

   親分、あんたでしょ!!』












  『何いっ! キサマぁ!』

  


  




  『待てーっ!!』






  さえぎったのは、さっきまで黙っていたY部長でした。



  『ふなや君の再リースの話、やってもらえばいいじゃないか。

   ふなや君、決着つけてからもう一度来なさい。』

 
  
  その時、あっしはもう少しでM部長の胸ぐらに手をやるところだったんです。




  その手を 富さんがしっかと捕まえていやした。




   その一瞬に声を放ったY部長もちょっと見事でしたが、

  富さんが反射的にあっしの腕を捕まえたことは、

   正直驚きやした。。





  あっし、若気の至りでやんす。。

  体じゅうのアドレナリンを発散する場所がなく、

  社長室のソファーを蹴って退室したことを今だに覚えていやす。





  『くそっ! M部長のヤツ! どっちの味方なんや。

   日ごろの言動とはエライ違いでやんすよ! 富さん!』




  『・・・でも、さっきの富さん。シビレやした。カッコいいと思いやした。』

  
  ・・・しかし、富さんはクルマに乗った後もしばらくは黙っていやした。

   あっし、この上司にまた迷惑かけてしまいやした。。

   富さん。。すいやせん。。



  ★とにもかくにも、、、、会社の許可を取ることには成功でやんす♪

   きゃは♪ 一番気をつけなくちゃいけないところを

   一触即発の場面で乗り切ってしまったでやんす!(●^o^●)

   ・・・あっし、天才かも♪



 それでは次回夜逃げの章・最終回を乞うご期待でやんす!!



   あのね?





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Last updated  2006.03.12 02:17:25
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