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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

モリーセ州とは・・・

モリーセ州とは・・・ 

アドリア海(東側の海)に面し、周りをローマのあるラツィオ州、ナポリのあるカンパーニャ州、バーリのあるプーリア州、アブルッツォ州に囲まれている。

 モリーセは一言で言って何もない州である。テレビなどで名前が挙がるとすれば経済の遅れた州の代表としてか、2003年に地震があった関連で地震の話題のときか。でなきゃイタリアの中で一番忘れられた存在。日本で言うと福井県とか、島根県に当たるのではないだろうか(県民の方ごめん)。
ただ田舎で貧困というだけだとさらに南のプーリア、カラブリア、シチリアも田舎ぶりは有名なのだが、それぞれ観光業がお盛んである。プーリアには観光客でにぎわう世界遺産の町アルベロベッロがあるし、カラブリアのビーチには夏シーズン、ヨーロッパ中から人が集まる。シチリアも言わずもがなだろう。なんだかんだでヤツラは昔の貧困をばねに発展しているのではないだろうか。

 それに引き換えモリーセとアブルッツォはいまいちさえない、ぱっとしない。なんたってイタリアは国中が観光地みたいなのに、この州たちだけが何もないのだ。観光地もない、特産品もない、有名な料理もない。当然地球の歩き方では飛ばされている。(まあ歩き方はベネツィア以南のアドリア海側の地域、全滅なんだけど)
 ただしアブルッツォはモリーセよりもう少し大きくて、都会も多い。州都ではないのだが州内一大きいペスカーラはカンポバッソに比べたら大都会で、モリーセからペスカーラに買い物に行く人も多い。また、高い山が多くスキー場もモリーセと比べると大きくて有名である。州内は景色がよくて海岸からも雪山が見えるし、内陸の町ラクイラはアルプスの国のように町のどこにいてもまじかにそびえたつ雪山が見えて、まるで絵葉書のような町だ。隣の州なのに、対してモリーセの景色というと、海岸から石のごろごろしたなだらかな丘が延々と続き、ごく内陸の州境に近いくらいのところでやっと雪山が見える。

 かろうじて県外から人が来るスポットがいくつかある。
 海側にテルモリ(Termoli)という港町がある。港は漁港と、沖に浮かぶトレミティ(Tremiti)という島を結ぶフェリー港がある(このトレミティ島というのがなかなかきれいな海があり、穴場としてファンも多いのだが、残念ながらお隣プーリア州に属する)。夏にはこのフェリーを利用する人や、北イタリアやドイツから南下してくる観光客で中心部は少しは賑わいが見られる。しかしテルモリの海はあまりきれいでないし、ビーチも小さくて知名度がないのでこんなところに県外から流れ着く観光客というのはほんとに一握りだ。賑わいというのも95%は県内からの客だろう。

 山には小規模のスキー場(リフト5,6本)がひとつ、さらに小さい(リフト1本)のがひとつある。しかし積雪量は結構あるのだ。小さいほうはクロカンのコースがメインだ。
 あとセピーノというなかなか古いローマ遺跡もあるがこれはわざわざ来るより何かのついでに行く人が多いだろう。
 あと他に県外からは物価の安いことを目当てに老後を過ごそうと移り住んでくる人や、別荘を立てる人もいる。これはイギリス人・ドイツ人など国外からもある。

 中国人含め移民も少々いる。日本人住人は今のところ発見していないが、3日ほど学生が訪れたという話は聞いた。体験留学?

 これだけ観光資源に乏しくて寂れた州でありながら州として大きな町おこしをしようとかそういう意気は感じられない。一応周辺の州と合同のトラットゥーロという企画があって、むかし羊を連れて牧夫が移動した道を無舗装のまま保存しておいて、観光客はそれを途中途中の宿泊施設に泊まりながら歩いて、いにしえに思いを馳せる旅を満喫してもらおうというもの。確かに昔日本のテレビでフランスにそんなツアーがあるのを紹介しているのを見たので、無謀な企画ではないと思う。

しかし計画は進んでいるのか?こちらがトラットゥーロという看板はたまに見かけるし、道はちゃんと保存されているが、宿泊施設など見たことないし、大々的に宣伝しているとは思えない。もちろん歩いている人など見たこともない。まあ10年単位の計画なんだろうなぁ。これが日の目を見るまではまだまだモリーセは眠った州である。

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