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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

家の一部分

家の一部分

風呂とシャワー

イタリアの家にはシャワーカーテン・バスカーテンが付いていないことが多い。特に古い家、昔からの生活を続けている家。貸家は浴槽なしでシャワーボックス(box doccia)が付いている場合も多い。浴槽にこだわらない日本人の私は、バスカーテンなしで風呂に入るよりかはシャワーボックスのほうがよっぽど楽だと思う。私は浴槽があっても風呂に水をためるよりかはシャワーだけ浴びるほうが多いし、風呂に入る時だってシャワーを併用して使うからだ。シャンプーはシャワーで流すし、風呂の水を抜いた後、体をひと流ししなければ当然気持ちが悪い。

それで、シャワーカーテンをつけていない家庭はどうしているのかというと、水が飛び散らないように気をつけて浴槽がくっついている壁のほうをシャワーが向くように浴び、それでもしぶきが散って床が濡れるので一人一人自分が入った後にきれいに床を拭いて、ついでに浴槽も拭いて終える。気を使う上にめんどくさい。
そんなたいそうなこと一回一回やるくらいならカーテンつけたほうがいいと思う。取り付けにはちょっと工事やさんを呼んで壁に穴を開けて棒を通してもらうだけだ。ドリルがあったら自分でもできる。それでもつけないまま過ごすのは、イタリアで古いやり方を守ってきた人には何かを変えるという発想がないのだろうか? 

夫の実家もバスカーテンなしなのだが、夫に聞くと、長年しぶきに気をつけながらシャワーを浴びるのに慣れた人はその方法に不便を感じないし、イタリア人は日本人のように毎日シャワーや風呂に入らないので、そう大変なことではないらしい。
しかし私たち二人とも実家に泊まったときは、真夏でない限り二日三日過ごそうがシャワーは浴びない。ビデや洗面台で部分だけきれいにできるし。めんどくさいが理由であまり風呂に入らないイタリア人も多いのではないか。
新婚とか新築の家には結構取り付けてある率が高いのだが。

それで借りた家にシャワーカーテンもシャワーボックスもない場合はどうするか。まずは大家にねだってみる。交渉中の物件ならなおよい。以前住んだところはシャワーのみでカーテンが付いていなかった。つまりバスルームの隅、トイレの横にシャワーとシャワートレーがぽつんとあるのだ。安貸家とはいえこれはさすがに非常識極まりないので大家に言ったら幸い付けてもらえた。

それでもだめな場合は自分で取り付ける。この場合別にすべてを覆うカーテンでなくても良い。バスタブ用のよりも簡単なシャワー用のカーテンレールが売っている。一箇所をネジで固定するだけで扇の骨組みのようなものが360度近く蛇腹に開く奴だ。浴槽を全部覆わなくともシャワーする場所にだけ取り付ければこれで飛び散ることはない。
ただしネジ一箇所とはいえ穴を開ける必要がある。内壁はレンガかコンクリートなので素手では無理。ドリルを入手する必要がある。これも大家さんに貸してもらえないか頼んでみよう。だめだったら貸してくれる人を探すか、買うしかない。

ビデ
イタリア人はこれ抜きではまともに暮らせないので、たいていは貸家でもある。使い方は、大の後に便器から移って石鹸を使って汚れた箇所を洗浄したり、外から帰ってきて足を洗ったり。靴を洗うのにも重宝する。もちろん女の日にも使う(日本ではこれ専門のものと思われているようだが)。

網戸
蚊もハエもいるのだが、付いている家は少ない。ハエなどは冬でも入ってくる。
対策は、ジャラジャラした玉がぶら下がっているのれん。のれんといっても床まである長さ。日本でも昔台所と居間の間にさがってたりしたみょーに懐かしい奴。あるいはレースカーテン。これらを取り付けるとちょっと入ってくるのが減る。しかしほとんど気休め程度で、一番は網戸だ。しかし取り付けが大変なのでウチもつけていない。窓の構造上取り付け不可能に近い場合も多い。

ガス台
なんとガスをひねったら自分でライターで火をつけなければいけないタイプがほとんどである。慣れるまではいちいち火をつけるたびに、ここはいったい現代なのか?と憂鬱になる。子供が勝手に火をつけたら危険だと信じられているからか?火がつかないほうが危険な気もするが(笑)ちなみにウチのはごりっぱにもセンサーで温度を感知して火がついてなかったら自動で消える。そのくせ着火は自動ではない。

自動着火式のも売ってはいるのだが、どれも最新型の馬鹿でかいオーブンと一体型のもの。オーブン要らんちゅーねん!ちゅーか新しいの買うならIHにするっちゅーねん! まあ家具なしの家でも借りない限りガス台なんて買わないんですが。
着火用の長いライターはどこでも売っている。100円ショップのしょぼい編みたいな中国製の雑貨を売る店がけっこうあって、そこでは60セントくらい(すぐ壊れる)。

ガス台はたいがいオーブンと一体型である。そしてオーブンは不必要にでかい。


台所収納
安貸家の台所は収納が小さい。家が小さいので場所がないというのもあるが、イタリア人は当然イタリア食材しか使わないからあまり必要ないからだ。中華が好きな人でも中華料理屋に行って食べるだけで、家で外国料理をつくろうなどと発想する人はいないのだ。
いや、都会には結構いるかも。しょうゆぐらいは常備している家庭も結構あるかも。それに最近はテレビや雑誌でも結構外国料理のレシピが発表されているので、挑戦する人もいると思う。
しかし日本の多くのお母さんが中華を作ったりスパゲッティを作ったりするのに比べればまだまだ「挑戦」という気構えで望む人が多いだろう。

一般家庭の棚に入ってるイタリア食材や調味料というのはまあオリーブ油、パスタ、トマト缶、いわし缶、酢、バルサミコ酢、塩、唐辛子、乾燥ハーブ類、豆類というのが思いつく限りである。そこにイタリアで日本の食生活を持ち込むと、和食材、中華食材、イタリア食材などが収納に収まりきらずにあふれることになる。ウチは相方の職業柄もあるし私自身が中華、エスニック料理好きなのもあって、これらの食材は日本のスーパーにもないような細かいものがローマの各国食材店で売っているので、結構そろえている。これに加えてちょっと日本の家庭よりは少ないかもしれないけど、送ってもらった和食材、そして普通にイタリア食材である。
飲み物も日本だったら普通はコーヒー豆(粉)、インスタントコーヒー、紅茶、日本茶、中国茶ぐらいは常備しているだろう。しかしイタリアの一般家庭ではコーヒー粉のみ。あとは最後にいつ飲んだかわからない香りが飛んだ古い紅茶かカモミール茶ぐらいか。

前の家は食品棚が一個。なのであふれかえった食材はいすの上に組み立てたダンボールの棚、寝室のクロゼットの中、クロゼットと壁の隙間に作った棚、寝室の使わないいすの上などあちこちに増殖していってもう大変だった。今の家は小さい食品棚三つに加えて4段チェスト(食料用じゃなさそうなのだが)も付いていて、さらにカウンターがあるので組み立て棚も置けて助かる。それでもパスタやインスタントラーメンなどを階段の途中に作った靴用の棚においている。

換気扇
これも付いていない家の方が多いが、風呂や台所に窓がない場合は当たり前だがたいてい付いている。窓がないのに付いていなかったらかなり大問題なので注意。付いていてもちゃんと動くかどうか確かめよう。

台所のシンクの排水口
日本の台所のような大きい穴と生ごみ受けのかごが付いていない。普通の洗面台のようなおちょぼぐちの排水口である。実に不便。慣れるまでこれがないのが腹立たしくて仕方なかった。粉より大きい粒は何も流してはいけないから米を食べた後は特に不便。アメリカではミキサーのようなもので生ごみをすべて粉々にしてそのまま下水へ、という装置が排水口についているらしいのだが、それがイタリアに入ってきて小数だが売れているようである。しかしいまだに日本式はみたことがない。

収納
台所だけでなくイタリア人の生活というのは日本に比べると物が少ない。まさにシンプル。スローライフというものだろう。だからこそないない尽くしで不便に思えるのだが。ここに日本の生活をそのまま持ってくるといつも収納が過少気味である。
日本だったら床や棚の上やなんであれ物を置けるところにいつも物が積み上げているのは結構普通なのだが、イタリアの家庭は大きいものから小さいものまでゴミ箱にいたるまですべて収納されていて、すっきりしてきれいというか、モデルルームに住んでいるようでがらんとして寂しい。各家庭に地下の収納室が付いているし、収納上手な人も多いのだろうが、無駄な物がないのも大きい。ちなみにさっきシンプルライフと言ったものの、金がたまったら(あこがれの)馬鹿でかい車を誇らしげに買う人は結構多いのだ。


床材はタイルが基本である。義妹の家なんかは新築で、こじゃれて木の床(パルケparque、フランス語らしい)になっているが、それ以外ではタイルしか見たことがない。
はっきり言って硬い、冷たい、寒々しい。
イタリア人家庭ではじゅうたんも敷かない。イタリア人主婦というのは結構潔癖症で、このタイルを毎日モップでぴかぴかにしている。タイルがいちばん衛生的で、じゅうたんは埃やチリがたまるという。たしかにダニアレルギーの人にはいいかも。
しかしじゅうたんなら掃除は掃除機でいいけど、タイルは掃除機か箒、プラス、モップしなければいけない(毎日は極端だがウチはたまに)。

まあイタリア人の家の使い方としてウンコ地雷だらけの道から帰って靴を履き替えもせずウチの中を歩くから、じゅうたん敷かないのは正解かも。一度相方が気がつかずにウンコお持ち帰りして、朝おきてよく見たら2階にまでウンコが付いてたことがあった。靴を脱いで入る日本式は一番掃除が楽です。日本人は潔癖症と日本の中で言われているけど、毎日下足で家の中荒らされ(?)ながらも家の中をぴかぴかにするイタリア人女性のほうがよっぽど掃除に労力かけてる。

あと私は子供いないので余計なお世話だけど、西洋式の家は小さい子供によくないなあと思う。とくにイタリアの家はタイルで、こけて頭打ったら、痛そうとか超して危険。
はいはいすると、靴で踏んだ床に手をつけてるわけだし、子供が床に座り込んだり寝転がったりして遊ぶの好きなのは世界共通だよね。トリイ・ヘイデンというアメリカの児童心理学者で、実際は小学校の特殊学級の指導教員としてずっと現場で普通のクラスについていけない子供たちに接していた人が実体験を書いた本に、いつも教室のすみに靴なしコーナーを設けて、子供たちと触れ合っていたというくだりがあった。確かにじゃれあうのに靴履いてたら邪魔だ。こうして靴脱ぎ文化がちょっとでも西洋に広まったらいいけど。

ちなみにウチはベッド周りにホームセンター(BRICO)で買ってきた安い薄っぺらい床用シートを並べて敷いて、そこだけ土足厳禁にしている。相方が絨毯買うなら羊毛がいいと言い出すもののデザインと値段とかサイズの条件で決めかねて。引っ越すとき重そうだし。


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