Wはカナダにいたとき、バレエサマースクールの最後にあるデモンストレーションのステージでは、数日前に左足首を捻挫して練習を控えていたにもかかわらず、彼女は輝いて見えた。
あんなふうにのびのびと踊っているのを見るのは初めてだった。
生徒さんの中では一番背が低い方だったと思うのに、彼女の踊りは大きかった。大きく見えた。
それ以来12日間練習することができず、京都に戻っていつものレッスンに行ったとき、
それでも、先生は驚かれた。
スタジオに入ってくるその姿さえも、夏前とは全然違って見えた、とおっしゃった。
だけど
だけど
あれから2週間経ってみると、彼女のバレエの輝きは日増しになくなっていく
それは私たちが見慣れたから・・・?
いいえ、彼女も私と一緒
京都の毎日にすぐに慣れてしまって・・・その分あちらで見につけたかのように見えたバレエの輝かしい空気も忘れつつあるんだなぁ・・・
と私は思っている。
人はここにあるものでしか作ることができない。
ここにないものは作り出せない。
Wが輝くためにはその環境がいるのだ、と私は学んだ。