337438 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

Queen of a Blue Dress

Queen of a Blue Dress

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

カレンダー

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

バックナンバー

June , 2024
May , 2024
April , 2024
March , 2024
February , 2024
January , 2024

カテゴリ

お気に入りブログ

まだ登録されていません

プロフィール

蒼光月

蒼光月

キーワードサーチ

▼キーワード検索

July 2, 2007
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
「ええと、『時間』は『永遠』なんですか?」
やっとの思いで口をついたのが間の抜けた質問だ。
「恐らくですけどね。さっきもいいましたけど、概
念としての『時間』は概念を持つものが居なくなっ
た時点で消滅するでしょうけど、それは概念がなく
なったというだけであって、『時間』が消滅した訳
ではない。まぁ、その先に本当に『時間』があり続
けて居るのかは誰も確かめようもないですけどね。
でも、常識的に見て、概念と共に消滅してしまうよ
うなものではないでしょう」
汗がのど仏を伝わって、シャツの襟元に染みこんで
いく。
「私はね、こう考えているんです」
いつの間にかソファから身を起こした彼は、窓のす
ぐ側に立っていた。窓からは強い西日が入ってきて
いて、丁度逆光となるから、彼の姿は影法師のよう
に真っ黒に映る。
「今も言ったように、『時間』は自分以外の『永遠』
を許さない。すべからく『無』へ誘う」
「無・・・時間が・・・誘う・・・無」
「ええ。無ですよ。『形あるものはいつかは壊れる』
という慣用句がありますよね。それは達観した見方
だけれども、もう少し達観する必要がある。形の無
いものは『無』に帰すんですよ。それが『時間』の
内側というか、本質です」
「な、なにが本質・・・ですか?」
彼の話は耳に届くものの、その内容が脳の隅々まで
に行き渡るのには無限の時間が必要な気がきした。
理解出来そうで、理解できないでいる。だから、そ
んな言葉が口をついた。
「どうしちゃったんでしょうねぇ? ついに日本語
が理解できなくなっちゃいました?」
影になった彼が皮肉る。
日本語が理解出来ないのではない。彼の言っている
ことが理解できないでいるだけだ。悪魔の私語き
(ささやき)に聞こえる。
「もう少し、ダイレクトに言いましょうか?」と言
いながら、ソファに戻ってくる。まだ、逆光だった
けれど、少しだけ表情が読み取れる。少し茶化した
ようなトーンの言葉と裏腹に、真剣な表情をしてい
る。
「そうだなぁ・・・『時間』は産み落とし、殺すた
めに存在してるって言えば、わかりやすいですか?
 『時間』というのは、それくらいの力を持ってる
と思います」
「それが内側? なんで、産み落としたものを・・・
わざわ殺すんです? そんなことをする理由って・・・」
「さぁ。私は『時間』ではないので、真意は判りま
せん。けど、客観的にみてそういう印象を受けるし、
『時間』自身が生き死にを繰り返してると定義して
いる以上、私はそう理解しているんですよ」
「そんな・・・時間が、そんなことに関与するなん
て・・・。だって、時間は時間であって、神でもな
んでもないんですよ」
「ははは。さっきも言ったでしょう。『時間』とい
うのは人間が作った概念であって、ただ便宜的にそ
う定義しているだけだって。本当の意味での『時間』
は『神』と同等・・・あ、いや、『神』自身は人間
が創造したものだから、同等というわけにはいかな
いなぁ」
またもや、彼の口からとんでもない言葉が飛び出し
た。「『神』自身は人間が創造したもの」なんて言
葉だ。神への冒涜も甚だしい。「神が人間を創造し
た」の間違いではないのか? 自然と眉根が中央に
寄る。
「あなたという人は、信心深い人ですねぇ」
彼はそういいながら、口元を緩めた。
私は信心深くなんてない。日常でも「無宗教」を気
取っているし・・・。ただ、「神」となるとちょっ
と話が違う。宇宙人に居て欲しいと願うのと同じく
らい、神様には居て欲しいと願っている。居たから
どうということもないのだけれど、なんというか・・・
ロマンなのだ。絶対的な、超越的な存在・・・に居
て欲しいという・・・ロマン。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  July 2, 2007 11:48:32 AM
コメント(0) | コメントを書く


フリーページ

ニューストピックス


© Rakuten Group, Inc.