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2010.09.29
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「インパス-IMPASSE:袋小路、葛藤、抵抗」

 私たちは、グルーディングのインパスの考え方を参考にして、行動あるいは人格の変容の難易性を3群に分けています。 インパスは精神分析でいう葛藤あるいは抵抗に近く、"二つまたはそれ以上の反対勢力がぶつかり合い、進退きわまった状態、つまり、にっちもさっちもいず動きとれない膠着状態"と定義されます。 第一、第二、第三度のインパスを参照。 交流分析入門P140

「インパスの層」
 
 いんちきの層で生きる人間が、ありのままの感情や欲求に気づいて「他者との真実の交流(純粋なエンカウンター)」をしようとするときに起こる精神的なパニック状態や膠着状態がこのインパスの層である。 どのような手段や方法を採用しても、無力で無能な自分には、ありのままの欲求や感情を満たす他者との関係など持てないという考えがインパスの層である。 インパスの層は、「問題解決できないパニック状態・どのような手段を採用しても事態が好転しない膠着状態」のことを意味している。

「第一度のインパス」

これは、親の<P>の司令が比較的単純な形で子供の<P>に入っているものです。 この種の患者は、たとえば胃潰瘍になっても、<C>(体)はリラクゼーションを学習し、行動変容のためのプログラムを実行することができます。 親は"勤勉たれ"と叫んでも、それは教訓、理想といった知的レベルのメッセージにとどまり、体に植え込まれるほどのものではありません。 したがって、成人後も、体の智恵(子供の<C>の中の<A>)は、それに効果的に対抗することができるのです。

 そこでグループ(6~8人)の中で、エゴグラムを中心に、患者と共に、どこを、どのくらいの期間にどう変えたいかについて考え、最終的に治療契約を結ぶようにします。 たとえば、仕事熱心な本態性高血圧症の患者では、次のような具体的な事実を話し合います。

○週に実際何時間働いているか
○週に何時間、妻や子供とくつろぐ時間をもっているか 
○自分の仕事以外のことに、どの程度注意を払っているか 
○第三者である妻や子供は、あなたがどんな状態になれば、あなたがよくなったと思うか 
○エゴグラムのどこを上げ、どこを下げたいか 

このプロセスは行動の観察を主体にするもので、行動分析と相通ずるものですが、患者と治療者との間に<P>、<A>、<C>という共通言語を有することが、ラポールの形成に一役買っているように思われます。 
 
 次に、行動変容のための方針を、"一週間日記"などを用い、具体的にプログラム化し、実行するよう指導します。 結果は定期的に検討、評価しますが、主として日常の自我状態の変遷、あるいは交流パターンの改善を中心に行い、とくに解釈や意味づけを与えず、現実機能である<A>を中心に指導します。 治療期間は、患者が何をどれだけ変えたいかによりますが、一般に短期で、3ヶ月以内に何らかの成果をあげることが期待されます。 交流分析入門P140

「第二度のインパス」

 これは知的に理解することができても、情緒的に気づくことは遅く、行動変容のプログラムを実施することが困難なグループです。 この種の患者は、親の生きざま(すなわち<C>)そのものから強力な司令を受け、かつ、それに順応すべく条件づけられています。 たとえば、父親が一家団欒などにまったく関心がなく、ただただ仕事一途にその一生を閉じたとすると、子供は、<AC>のレベルで"決して遊んではいけない"、"決して遊ぶまい"という態度決定をする可能性があります。 

 この種の禁止令(INJUNCTION)がもとで葛藤が持続し、症状の再発をくり返すのが、第二度のインパスです。 交流分析では禁止令を次の12にまとめています。

1.存在してはいけない(Don't be.) 
2.男(女)であってはいけない(Don't be the sex you are.)
3.子供のように楽しんではいけない(Don't be a child.) 
4.成長してはいけない(Don't grow.) 
5.成功してはいけない(Don't make it.)
6.実行してはいけない(Don't it.)
7.重要な人物になってはいけない(Don't be important.)
8.みんなの仲間入りをしてはいけない(Don't belong.) 
9.愛してはいけない(信用してはいけない)(Don't love. Don't trust.) 
10.健康であってはいけない(Don't be well.) 
11.考えてはいけない(Don't think.)
12.自然な感情を体感してはいけない(Don't feel.) 
 交流分析入門P141

「第三度のインパス」

これは人生早期の<C>の形成期に源を持つもので、患者は"私は生まれつき~なのだ"という、自己(あるいは他者)に対する確固たる感じを持つのが特色です。 すなわち、母子の相互交流の障害が強く影響したため、<C>の内部の快、不快が統合されず、サイコ(精神)とソマ(身体)の分裂、言語と感情の解離を示すタイプです。

 この状態はアレキシシミア(Alexithymia:失感情症)、さらには基底欠損(母子関係の確立ができず、基本的信頼関係を確立できないと、基底欠損と呼ばれる状態が生じ、その後の発達や人格形成に大きく影響します)との関連が深く、治療としては、体の感覚を回復する体験、あるいは非言語的な支持、とくに治療関係そのものが重要な意味をもってきます。 交流分析入門P142





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最終更新日  2010.09.29 09:46:13
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