研究をどう進めるか?-山菜採り学習法研究(仕事)をどう進めるか?-山菜採り学習法- 1.はじめに 今いる研究室でやっている研究の一つを軌道に乗せるにはどうすればいいのかということについて考えます。 「研究」という言葉を「仕事」とか「事業」に変えても、考え方は同じです。いろいろな分野のいろいろな方々からのご意見をいただきたいです。 あることをやり遂げるための計画をたてても、やるのは人間なのです。計画は同じでも、研究や仕事についての考え方や、実行するときの気構え(気持ち)で、同じ能力の人でも、うまく行くかどうかが全く違ってしまうのです。 このようなことについて一緒に考えていただけませんか。 2. 研究の計画 例えば、新製品の表面に薄い保護膜を被覆させるとき、その被覆の方法を見つける、という課題が与えられたとしましょう。 1)研究の目的 目標をきちんと理解することが大切です。頭では理解したと思っていても、具体的に何が分からないかとか、何をすべきであるかとかが分かっていないことがあります。 具体的に何をすべきかは、あらかじめ分からないことが普通です。従って、綿密な計画をたてるより、まず、荒っぽい実験を始めるべきです。その結果を見ながら、一体何が分かっていないのかとか、何をしなければならないのか、というようなことを具体的に認識していくべきだと思います。 本例では、何のためにこの被覆をしているのかの認識が必要です。使用中に製品に使っている金属がさびないようにとか、どこかにぶつかったとき傷が付かないようにとか、いろいろあると思います。それにより、具体的な目標が決まります。 ただ、他の人がやったことを、ある部分だけ変えて、自分もやるというような研究をしているなら、この場合は、やることは結構決まっていると言ってもいいでしょう。これはこれで一つのやり方です。 2)研究のやり方 どんなに計画をたてても、実際は思い通りにならない場合がほとんどです。計画はやりながら変えていくものだと考えた方がいいかもしれません。結局は試行錯誤的なやり方でいろいろな方法を試して、最良な方法に到達するわけでしょうが、この場合も、最初は相当荒っぽく、いくつかの方向を試して当たりをつけることが良いでしょう。それから、良さそうな方向へ細かい検討を進めていくべきでしょう。 いろいろやってみて、上の具体的な目標が満足されているかどうかで、もっと他の方法を探さなければならないかが決まります。しかし、これは実際には難しいのです。例えば、10年間使えるものを作りたいとすると、10年間待たなければ、良いかどうか分からなければ大変なことになります。だから、なんらかの簡易試験法が必要になるわけです。実際には、大気中で10年使いたい場合、ある濃度の塩水に1時間漬けて変色がなければ大丈夫と言えるなら、これで十分なわけです。 この方法があれば、製品を上記塩水に漬けて変色がないような被覆法を探すとことで目標の達成ができます。実際には、このような試験法が見つかるかどうかがこの開発の鍵になります。 次に、もっと分かりやすい身近な例で、私がどのように山菜採りができるようになるべく、検討したかを説明してみましょう。 3.山菜採り学習法 1)大目標・・・・山菜を採りたい これでは漠然としているので、もっとこれを具体的にしたいです。 2)予備検討 4月にここ(本荘)へ来たときは、フキとセリぐらいしか私は知りませんでした。初めてフキを見つけたときは感激して採ったのですが、笑われてしまいました。こちらではフキはあまりにも沢山あるし、また、こちらではもっと後になってから採るのです。 お花見のとき、ワラビを採っている人を見て、自分も探してみて楽しいので、ワラビを採りたいと思いました(日記11/4,6参照)。そして、自分でワラビがある場所も探すようになりました。採ったものを料理してもらって食べると(日記11/8,15参照)、またこれがとても美味しいので、これで、かなり、具体的な目標ができました。 (ただ、目標は人によって違うのです。沢山採れればいい(採りたい)。大きいものを採って自慢したい。大きさの揃ったものを採りたい。) 3)小目標(具体的)・・・・楽しく、いいワラビを自分で採って、美味しく食べたい。 ということは、ワラビのあるところを見つけなければなりません。そのためには、まず、ワラビを見たとき、それがワラビであると認識できなければいけません。ワラビを見つけたら、今度はその採り方を知らなくてはなりません。このとき、採ったワラビが美味しく食べられるかどうかが分かったらとても都合がいいです。それから、採った後の処理と料理を経て、やっと食べられるわけです。しかし、食べても、味が分からないと、いい悪いの判定ができません。 目標が達成できたかどうかの判定は、「適量の、ちゃんと処理すれば美味しいワラビが採れて、それが美味しかったか」ということでなされます。 4)実際にどうやったか? これからは一人で探しました。出始めの頃は、ホダ(前の年のワラビの枯葉)があるところとか、日当たりがいいところとか、探しましたが、見つかるときも、見つからないときもあります。最盛期(4月下旬以降)になると、すでに大きくなった葉っぱがある近くを探したりします。しかし、この頃には、そこいら中にあるので、散歩していれば、目に入ってきます。但し、これは、ワラビを知っていて(興味を持っていて)、採りたい人の目にだけです。私のある友達など一緒に歩いていても、全く気がつきません。興味がないのです。私は山菜も好きですが、山や花を見たり、会話も好きで、とにかく空気のきれいなところを歩くのが大好きです。従って、慣れてくると、今言ったようなことをやりながら、目に付いたワラビを採るのというのが特に楽しいです。 ふしぎなことに、初めは見つけるのさえ苦労したワラビが、他のことをやりながら歩いていても、目の端に入ってくるようになるのです。そうすると、かなり自動的に(と思える)ワラビが見つかるようになるのです。 しかし、こんなこともあります。あるとき、いいワラビを見つけたのですが、もうちょっと先まで行って、帰りに採ろうと思ったのですが、帰りにはどうしても見つからないのです。3回往復しても見つからず諦めたことがあります。こういうときは、最初見つけたときに採らなければならないのです。 また、あまり系統的に探そうとするのもかえってよくないようです。掃除でもするように、原っぱの端から、細かく探していくより、いろいろな角度から、いろいろなところを回り、ちらっと見えたものを採る方が気楽で楽しいものです。また、苦労しないで見つけられます。私は沢山は要らないのです。自分で食べて、少しお土産にできるぐらいで十分なのです。 なんでもそうですが、あまりしらみつぶしに、全部採ってしまうのは、次の年のことを考えるとよくないかもしれません。ゼンマイなども、必ず2本は残しておくようにと、山菜採りの名人から教わりました。タラの芽だって全部採ってはだめです。ただ、ワラビは採ったところから何度も出てくるので、沢山採った方がいいのかもしれません。 しかし、ワラビを採っただけでは、目標はまだ達成できません。目標に「美味しく食べる」というのがあるからです。ワラビの芽が開いて(葉になって)しまってはだめです。軸(茎(くき))が硬いのです。こちらでは芽(穂)は食べないで、茎だけを食べる人が多いようです。育ちすぎると茎の皮が硬くなって、食べにくくなります。また、上の方はよくても、根元の方は硬いのです。 色も違うのがあります。茶色っぽく、すべすべした茎だの、青っぽく、ざらざらした茎もあります。私にはまだはっきりと分かりませんが、前の方が美味しいような気がします。但し、皮が柔らかければですが。また、私はどちらかというと小さいうちの方が美味しいと思います。しかし、よく育った太いものも、皮が柔らかなら、とても美味しく思うこともありました。 ここで、一番の問題は、皮が硬いかどうか、ということです。皮が柔らかければ、よほどのことがないかぎり、結構美味しく食べられます。私は次のようにして折るのです。採るとき、茎を横方向へ引いて、折れる部分から上のみを袋に入れるのです。ですから、私の採ったものは長さが不揃いです。売っているワラビは刃物で切り取ってあり、長さも揃っていて、立派でます。しかし、皮が硬いものが混じっていることがあります。 私の方法は、私が考え出したものではありません。真似しただけです。昔アメリカ人の主婦がアスパラガスを茹でるときに、軸を曲げて、それが折れるところから上だけを茹でるのを見たからです。 ワラビの場合は、これだけではダメです。ワラビはとても苦いのです。そのために、あく抜きというのをやります。これは、切り口へ重曹とか灰をすり込んでおいて、熱湯に漬けてから、さらに、重曹か灰を適量加えて、一晩とか放置します。そうすると、ほどよい苦さになります。やり過ぎると、柔らかすぎて、味がなくなるし、足りないと、苦かったり、硬かったりします。自分で好きな状態を見つけます。但し、短い芽であれば、そのまま、さっとゆでたり、天ぷらでも美味しいです。 茹でたものはいろいろ工夫して食べられます。マヨネーズでもいいし、削り節と醤油でもいいし、味噌汁でもいいし、本当に各種考えられ、皆美味しいです。また、運悪く、皮が硬かった場合は、細かく輪切りにして、ビンの底などでたたくと、ねばねば状態になり、これに味噌と生の山椒の実などをまぜたものをワラビのタタキと言って、これも美味しい食べ方です。塩漬けにして保存することもできますが、私はやはり新しいものを手早く調理したものが好きです。かつては、ワラビが特に美味しいと思わなかった(塩漬け)のに、こちらへ来てからは、大好物になりました。 前に言ったように、ワラビは何回も出てくるので、採れる期間が長く、4月から9月始め頃まで採ることが出来ます。これには私は驚きました。ワラビはこちらではいくらでも売っています。生でも、塩漬けでも沢山あります。売っているワラビの多くは全部食べられません。茎の根元に近い部分は硬いのです。この部分はタタキにすれば結構食べられます。でも、私は自分で採って、調理したものが美味しいです。始めから柔らかそうな部分だけを採ってくるので、ほとんど全部食べられます。 これで私のワラビ採りの勉強も終わりに近づいてきました。しかし、もっとも大事なことを言ってありません。なんだか分かりますか。 それはワラビを入れる袋を忘れないことです。 なお、以上は、私が経験した、ワラビの採り方の勉強法ですが、これは人によってかなり違うでしょう。皆さんも自分が何かをやり遂げたときの手順を書き出してみると、結構自分がやるとき考えることが、違ったことでも似ていたと感じることがあるかもしれません。私も、自分のいろいろな研究の考え方、山菜を採るときの考え方、昔の変体かなを読むときの考え方などが似ていることに気づきました。 5)まとめ 目的をはっきりと認識する 大きいワラビを採る ワラビを沢山採る 美味しいワラビを採る ワラビ採りを楽しむ 等いろいろある 人によるやり方、考え方の違い 何をもってよいワラビとするか(外観、味) それぞれの探し方、採り方、処理法、料理法がある 人による適性 ワラビを見分けられない 興味がない 味が分からない(嫌いである) 探すのは面倒くさい 楽しくない もらって食べればいい 作ってもらって食べる 経験・・・言葉で言い表せない部分あり いろいろな場所で探す →なんとなくありそうな場所が分かる 意識しないで探せるようになる →目に入ってくる(自動的?) 頭と体を使う →折り方に工夫をする いろいろな場所で食べる →食べるとき一番美味しい状態を知る 見つけて採る、という行動の流れをつかむ 好奇心 分かれて出てきたところは食べられるか 採ったらその後どのくらい経ったら出てくるか いつまで採れるか 花は咲くのか 楽しむ能力 見つけたときのうれしさ 探すのも楽しい 美味しいと感じる 自然を楽しむときの付録と考える やりすぎない 楽しみを他の人と分かち合う ワラビについて話し合う楽しさ あげたり、もらったりする 袋を忘れない 良い悪いの評価ができる 折ってみる - 食べられるものを採れるか(実際には触ってもいる) 味を見る - 美味しいものが分かるか これらの評価ができるかどうかが重要である。 特に、最初の評価が大事である。採っている間に美味しいかどうかほぼ分かる。 いちいち、処理、調理して食べたところで、やっと美味しいかどうか分かると いうのは大変効率が悪い。 未完 ジャンル別一覧
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