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カテゴリ:GW2011
5月2日、GWの家族旅行2日目は海岸を見学した後、兵庫県豊岡市(旧城崎町)の豊岡市立ハチゴロウの戸島湿地に行った。管理棟近くの人工巣塔でコウノトリが子育て中らしい。15時頃だったと思うが、駐車場には思ったより多くの車が止まっていた。
管理棟に入ると奥に望遠鏡が2つあり、人工巣塔にいる親子を観察できるようになっていた。モニターもあるのだが、あいにく故障中である。職員の方が望遠鏡の角度を調節し、今見えているのは母鳥と2羽のひなだと教えてくださった。6月中には巣立つのだそうである。 見学者は我々だけになったので、望遠鏡を独り占めし、たまにカメラをのぞきこみながら撮影できた。立ち上がっている母ちゃんは向こうをじっと見つめている。ひなは1羽はこちらを向いているが、母ちゃんの隣にいるほうはしきりに母ちゃんをつついている。かまってほしいのだろうか。 そのうちに風が強まり、母ちゃんの尾羽がバサバサとなびきはじめた。尾羽で顔をはたかれながらもまだ母ちゃん、母ちゃんとやっている。この甘ったれ、大丈夫かいな。 母ちゃんはうずくまってしまった。こうしてみるとまだかなり大きさが違う。もう1羽もうずくまっているらしく、姿は見えなくなった。 動きがなくなってしまったので、これで観察はおしまいにした。30分ほどいただろうか。入口近くの部屋では今後の活動内容などについて会議が行われていたようである。こうしてブログで取り上げることが支援の一部になればと思う。 お次はもちろん、兵庫県立コウノトリの郷公園である。15時45分頃には駐車場は7割くらい埋まっていた。案外、空いているとほっとして入口に近づくと、休園日だった。この日が月曜日であることをすっかり忘れていた。我々のようなうっかり者はかなりいるようだが、みんな入口の左側のネット沿いに立っている。 川の向こうにいたいた。ネットで囲まれた一角に白黒の大きな鳥が見える。なぜかアオサギも3羽、一応、遠慮気味にネットの上に止まって中には入らないように気をつけている。えさを探して歩き回っているのは2羽だけである。 その他は突っ立ったまま置物のように動かない。地面にうずくまっているのは置物で間違いないだろうと思っていたら、しばらく経つと顔の向きが少しだけ変わっていた。失礼いたしました。 この日は16時20分頃帰ったが、車はまだ結構あった。一応、動いているところも見たので、これで十分だとも思ったが、翌日、時間があれば午前中に行ってみることにした。 翌朝、天気はあまりよくないが、海岸沿いを見学した後、10時前に再び兵庫県立コウノトリの郷公園に行った。駐車場は9割くらい埋まっている。今度は入口がちゃんと開いていた。 コウノトリ文化館に入ると、10時から説明会があった。外にも音声は聞こえるらしいが、多目的ホールに入ってベンチに腰掛ける。タンチョウとコウノトリの見た目や生息地などの違い、この施設をつくったきっかけ、現在の飼育数などについておききした。 公開ケージにいるのは11羽で、自然界でも十分生きていけるようになるまでは逃げてしまわないようにと片方の翼の先端を少し切って飛べないようにしてある。もしも11羽よりも多かったら、放鳥した個体が帰ってきているということだった。 日本にいたコウノトリは豊岡での保護もむなしく絶滅したが、ロシアからもらった個体が繁殖に成功して現在は約100羽いる。1羽だけ、大陸から渡ってきた野生のメスがいるらしい。えひめちゃんと名付けられた彼女は5年間に次々と子供を育てたが、そのうちの1羽が先月、電線に引っ掛かって死んでしまったという。いろいろあるが、これからも増えていってほしい。 説明会は10分程度で終了したように思う。ホールの中にあるモニターで小学校の近くの人工巣塔で最近孵化したひなの様子が見られるらしい。のぞいてみたが、親鳥がうずくまって完全防御していた。 活発に動く朝のうちにコウノトリを見ておこうと公開ケージを見に行く。前日は一部だけが見えていたが、数mの距離から観察できる。ちょうど11羽、放鳥された個体はいない。もう満腹になってしまったのか、みんな全く動かない。しもた、昨日の方がマシやんと思いながらもカメラを向ける。 思い思いの格好でくつろいでいると思いきや、急に立ち上がって羽づくろいを始めたりする。 どれが動くか予測できないので動いたらすぐにカメラを向け直す。幸い、彼らの動きはかなり緩慢なので、同じようなポーズを何枚も撮影できる。 顔をかくにしても、たいていの野鳥はポリポリポリと1秒間に3~4回はできるのだが、彼らはポリ、ポリ、ポリと1秒間に1回である。昼間のアオサギとええとこ勝負というくらいとろい。実に平和な生き物である。 伸びをするときも片足をあげた姿勢を数秒間キープ。おばちゃんのストレッチやん。 11羽のうち、何組かはつがいになっているようである。仲良くえさを探しているのかと見ていたら、ぴったり寄り添って動かなくなってしまった。 ケージの中央部にいたつがいが急にくちばしをカタカタと鳴らし始めた。これをクラッタリングという。彼らは成鳥になると鳴けなくなり、求愛や威嚇のときにはこうしたクラッタリングを行う。 1羽が相手の羽づくろいを始めた。彼らの背後には木の枝を積み上げた直径2mほどの巣がある。 しばらくこうしていたが、やがて2羽とも同じ方を向いて固まってしまった。 ケージ内の水路では別の個体がえさを探している。急に翼を広げてジャンプした瞬間をパチリ。 さらに別の個体がネットの側まで出てきた。外に出るのかと思いきや、ヤマブキの花の横で仁王立ちし、やはりフリーズ。 気付けばもう11時近くになっていた。せっかくなので里山保全ゾーンの方へ行ってみることにした。水路のように細い鎌谷川に沿って歩いているとホオジロの鳴き声が聞こえてくる。湿地にはアメンボが浮いている。もっと近くでのぞいてみたいが、家族はさっさと進む。このペースだと昼メシを逃してしまうと思ったのだろう。観察サイトからはかなり遠くに2羽いるのが見える。放鳥予定の個体が入った馴化ケージのようである。屋外便所の近くの丸太の階段周辺にはシカの糞のようなものが多数転がっていた。 公開ケージの前まで戻ってくると、ネットの外に2羽いた。いきなりクラッタリングを始めたが、すぐに終わってしまった。1羽が何事もなかったかのような顔をしてネットの近くで何かを探し始めた。えさだと思い、写真を撮ると木の枝をくわえていた。巣作り開始か。 もう一度公開ケージの中をのぞきたかったが、どんだけコウノトリ好きやねんと家族がツッコむ。あきらめてコウノトリ文化館に入った。卵などが展示されているので、見ておかなければならない。 多目的ホールのモニターを再びのぞくと、親鳥は立ち上がっていた。足元にひながいるはずだが、まだ小さいのでよく見えなかった。 展示・実習室には川魚が入った水槽が並んでいた。周辺に生息している昆虫の標本もある。机の上には折り紙が飾られている。 学習室のドア近くに引き出しが並んでおり、下から2番目を引っ張り出すと卵が出てきた。大きさが比較できるようにとダチョウやエミュー、鶏のものと一緒にしてある。写真左端の一番大きな卵がダチョウ、その横にある4個がコウノトリ(縦向きと横向きが2個ずつある)、黒いのはエミュー、その隣が鶏のである。 一番下の引き出しにはコウノトリの羽が入っていた。引き出しの上の画面にはコウノトリの孵化のビデオが映っている。 最後にシアタールームで映像を3本見た。コウノトリの人工巣塔をつくったきっかけや放鳥の様子、周辺の農家の農薬を使わない米作りの取り組みなどである。 文化館を出たのは12時半頃である。公開ケージを振り返ると、家族がもうええっちゅうねんと言った。仕方なく次の目的地に向かったのだが、これが吉と出た。 放鳥個体がいないかと車の窓から見ていると、数分後、不意にこちらに向かって白黒の巨体が飛んでくるのが見えた。おそらく、コウノトリの郷に帰って行くところなのだろう。頭上を通り過ぎて行くのをポカンと口を開けたまま眺めていた。 最後にええもん見せてもろたなあと言っていると、すぐまたもう1羽飛んできた。つがいなのだろうか、目指す方角は一緒である。見とれている途中でカメラを握り締めたままだったことに気付き、慌てて構えたが、通り過ぎてしまった。 あのまま公開ケージを見ていたら、優雅に上空を飛ぶ姿は見られなかったかもしれない。腹の中は空っぽだったが、心は満たされていた。 後日、放鳥個体が産んだ卵が孵化したことが確認された。コウノトリの未来は明るい。みんな、ありがとう。これからも元気でな。 GWの家族旅行の話はこれでおしまい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年05月15日 06時45分17秒
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