カテゴリ:俳句
巡礼行の一筋の道。 ひたすら歩く作者の頭上に、春の雪が降りしきる。 「この道しかない」とは、同時に作者の生涯の道の象徴とも 思われてくる。 春雪三日祭のごとく過ぎにけり 石田波郷 春の雪が三日降りつづいた。と言っても、豪雪という感じで はない。 春の雪は沫雪であり、牡丹雪とも言い、雪片が大きく、水っ ぽく、どこかはなやいだ感じがある。 病臥している作者は飽きずに窓に降る雪を眺める。 少年のように、それは心を浮き浮きさせる。 少年の日の村の祭の日がそうであった。作者は降る雪の中に、 かつての祭太鼓や笛の音を聞いている。 (山本健吉「俳句鑑賞歳時記」より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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