2012/10/01(月)20:45
尖閣問題 メディアの煽り
聖心女子大学の佐々木隆教授の「日本の近代 メディアと権力」(中央公論社)には
1877年の西南の役以降、日清、日露戦争や満州事変、日華事変…と新聞の部数が
克明に描かれていて、「『一夜明ければ数字がふえる』という活況を呈したという」
とある。
新聞が大きく、激しく取り上げれば取り上げるほど、読者はそれを追い求めるのは
当然であろう。そうして戦争に「ノー」と言うことが難しい社会、世論が形成され
ていった歴史を私たちはもう一度考える必要があるように思う。
マスメディアにとって肝腎なことは、冷静な報道に徹することだ。「煽るな、語れ」
である。
実は尖閣問題を中国の人たちはどう考えているのか、九月上旬、急きょ北京に行き、
当地のジャーナリストや芸術家、公安関係者たちと語り合う機会を持った。
彼らは一様に国内で反日を煽るメディアを批判し、両国が衝突することは、何もも
たらさないと強調していた。
(中略)
この四十年間、はたして日本政府は、どこまで中国政府と向き合って来たのだろう
か。いつもアメリカの顔色をうかがうばかり。経済面だけ中国と交流し、真剣な付
き合いはお茶を濁してきたのではないだろうか。
(東京都市大学教授 小俣一平)