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テーマ:『BLEACH』(613)
カテゴリ:いじりの話
今月は惣さま月間。
どんないじりにも惣さまが絶対(笑)出る月でございます。 明日は母の日ですね。 今日スーパーで高校生と思われる男子がカーネーションの鉢植えをじーーーーーーーっと見つめる姿に、何だか萌えを感じました。(笑) 切り花には目もくれず、鉢植えものを見るところもなんだか可愛いじゃないですか。 母親の姿があまり出てこないのがBLEACHですが、一護なんかは仏前にきちんとあげてそうな気がしますね。カーネーション。あ、雨竜は絶対あげてるな(笑)。 兄様はプライドがあるので、カーネーションではなく、きっとお高そうな百合の花とかだと思います。 ま、ともかく今日は卯ノ花さんで。 ではどうぞ。 ・・・5月10日。 五番隊隊長藍染惣右介が珍しくも、四番隊を訪れた。 随行する副隊長、市丸ギンの手には見事な華をつけた白牡丹の花束が抱えられている。 面会者は四番隊隊長、卯ノ花烈。 藍染一行が隊首室に入るや、牡丹の芳香が一気に流れ込んできた。 「突然ですみません。お邪魔してもよろしいでしょうか、卯ノ花隊長。」 慇懃に挨拶する藍染に対し、返す卯ノ花も同様だ。 「もちろんですわ。ようこそ、藍染隊長。あら・・。」 鷹揚な微笑みを藍染に向けると、卯ノ花は直ぐにギンが持つ白牡丹に気づいたようだ。 「素敵な白牡丹ですわね。贈られた方はさぞかしお喜びになるでしょう。」 「それを聞いて安心しました。」 「・・といいますと?」 「これは貴女に差し上げようとお持ちしたものですから。ギン、卯ノ花隊長にお渡ししてくれないか。」 「はい、藍染隊長。」 「・・まあ、私に?」 ギンが持っていた花束を卯ノ花に渡すと、素直に受け取ったものの、流石の卯ノ花も少し驚いたようだ。 誕生日は四月二一日でとうの昔にすぎている。 特に花を贈られる日でもない筈だ。 「とても光栄ですけれど・・・頂く理由が浮かばないのですが・・。」 素直に疑問を投げかける卯ノ花。それに藍染が言葉を添えた。 「今日は現世で言うところの母の日ですから。 護廷十三隊の母と言うべき貴女に、日頃の感謝を示しただけのことです。」 「まあ・・といいますと、わたくしは藍染隊長の母というわけですの?」 確かに卯ノ花の隊長歴は長い。 藍染がまだ新米だった頃から隊長の座に座っていたのは事実だ。 だが、同じ隊長から母のように思われてると言われれば、少し複雑なところだろう。十番隊の日番谷隊長に言われれば、素直に受け入れるとは思われるが。 「卯ノ花隊長のようなお美しい方を、僕の母だなどと思ったりはしていませんよ。 だが、卯ノ花隊長の治療は常に母性でなければ出しえない慈しみを、僕は感じているのです。 卯ノ花隊長は常に隊員一人一人にとっての治療を考えていただいている。 時に厳しいこともあるようですが、その根底には母性としての優しさがあると僕は思っています。 護廷十三隊が、危地に赴ける理由には四番隊の存在があるからでもある。 お世話になっている五番隊として、何かお礼をする日は無いかと思っていたのですが、この日が一番適切のような気がしましたので、そうさせていただきました。 どうか、お気に障ったのならお許しいただきたい。」 「五番隊に居る隊員でも、イヅルみたいに四番隊からうちに来る隊員もおりますし。 いやあ、心強いですわ。治療出来る隊員が自分とこの隊におったら。ホンマボクら、いっつも感謝してますんや、卯ノ花隊長。」 「・・ギン。」 藍染が、口を珍しく挟んできたギンを窘める。 「吉良さんは、こちらにいらした時から優秀でらっしゃいましたわ。 そちらの隊で活躍なさっているなら、送り出した方としても嬉しい限りです。 確かにこちらにお預かりした以上、全ての患者さんにとって、母としての慈愛を持って治療にあたれれば・・と常日頃思っておりましたの。 もしも、藍染隊長にもそのことが伝わっているのなら、わたくしとしてもこんなに嬉しい事はありませんわ。 ありがとうございます。 喜んで、頂戴しますわ。 見事な白牡丹の花をありがとうございました。 こんなに咲きそろった白牡丹・・花の時期が短いですから、用意されるのも大変でしたでしょう? 本当にありがとうございました。」 にっこり笑う卯ノ花、まさしく美しき母の姿である。 「喜んでいただけて僕もほっとしました。 ですが、卯ノ花隊長の慈愛を感じぬ者など居ませんよ。恐らく全隊士が感じているでしょう。」 藍染が言うと、卯ノ花は珍しく少し不機嫌そうな色を浮かべてこう言った。 「あら、そうでもありませんのよ?藍染隊長。」 「それは初耳ですね。」 「十一番隊の方々は、いつもわたくしどもの治療に不満げでらっしゃいますの。 安静に、と申し上げても、いつも出歩いたり、時にはお酒を飲んでらしたり。」 「それは少々不届きですね。」 「ご本人たちはそれでよろしいのでしょうけど、他の患者さんにご迷惑をおかけすることも度々ですわ。」 ずいぶんとあり得る話だ。 十一番隊の隊士ならば、もう大丈夫と見るや大人しくするとは思えない。 その状況が思い浮かんだのか、藍染も思わず苦笑した。 「四番隊の方々も苦労されておられるようだ。ですが・・・きちんと、”たしなめて”らっしゃるのでしょう?卯ノ花隊長。」 その言葉に、卯ノ花がころころを笑う。 「もちろんですわ。こちらにいらした以上、”わたくしどもの指示には従っていただかなくては”なりませんもの。きちんと治して隊にお戻しするのが、わたくしどもの勤めですもの。」 「流石ですね、卯ノ花隊長。」 そこで、卯ノ花と藍染がにこやかにほほ笑みあう。 卯ノ花の言葉の裏を読んだギンが『おおこわ・・こらやっぱ怒らせたら敵わんわ。』と、心の中で感想を言う。 なるほど、藍染が機嫌を取りに花を贈るわけだ。 正直、治療術が使える隊士は役に立つ。 これからも藍染は、四番隊に有望株を入れ、五番隊へ連れてくることだろう。 とすれば、折角育てた隊士を引き抜かれていく卯ノ花は内心は面白くあるまい。 そこで、関係強化を予め図るのが目的だ。 せっかく引き抜こうとした隊士を卯ノ花が「ダメです。」と言えば、それまでだからだ。 藍染とギンはそのまま辞去する。 歩みを緩めない藍染が後ろのギンに、一声かけた。 「・・四番隊の隊舎を出るまでは、私語は禁止だよ、ギン。」 「わかってますって。」 そして、隊舎を出るとギンがやれやれとばかりに口を開いた。 「流石は長いこと、隊長さんしてるだけありますなァ、卯ノ花隊長は。」 「僕が知る限り、僕が一隊士だった頃から外見的にはあまり変わってないよ。流石だと言うべきかな。」 「でも四番隊なんやから、芍薬とかにしといた方がよかったんちゃいます?薬にもなるし。」 「そんなものは必要無いよ、どうせあそこの隊に植えられているだろうからね。 牡丹だから意味がある。」 「百花の王にして、花言葉は壮麗とかでしたっけ?」 「護廷十三隊の女王というものがあるのなら、間違いなく彼女だ。彼女にはふさわしいだろう?」 卯ノ花は貰った花を早速花瓶に活けていた。 趣味は生け花。堂に入ったものである。 「このわたくしに、白牡丹だなんて・・。」 憶えているのは、藍染が副隊長の時。 隊長同士の話に思わず口を挟み、平子に叱られていた。 その藍染が、今や堂々と自分に花を贈るようになっている。 「・・・皆、成長されておられるのですね・・・。」 嬉しいような、でも少し悔しいような。 死神の母は、白牡丹を眺め呟いた。 なんちゃって。 最初は鼻たれ小僧みたいだったのが、いつのまにか自分と同じ隊長になってくるのを、卯ノ花さんはずっと見てきてる訳で。(笑) そら、みんな頭上がらんわな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年05月09日 22時50分42秒
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