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じゃみじゃみ茶房

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2006.10.10
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カテゴリ:RAG FAIR
平日夜の国道沿いのファミレスは

高校生のグループや家族連れで賑わっている。

その一角で女二人は顔を突き合わせ考えていた。

考えるといっても年頃の女性が関心を抱くような

「効率のよいダイエット」や「理想の男性像」についてではない。

“Y.H氏は何故(似合いもしない)髭を伸ばしているのか”

についてである。



世の女性が、傍から見ればどうでもいい話に花を咲かせるのは

昨日今日に始まったことではないが

幸いなことに「傍」と称される人々もそれぞれのテーブルで

思い思いに談笑し合っている。

故に彼女たちの会話に耳を欹てる者もいない。



一人の女は言い放った。

「のっぺりした顔の人って髭は似合わないのよ」

槍玉にあげられたY氏の顔は、確かに典型的な日本人にありがちな

何の特徴もない造形をし、そこに蓄えた僅かばかりの髭は

その顔をより貧相に映し出す役割しか担っていない。

「髭の長さを整えるのも、剃る部分と残す部分のバランス考えるのも

大変そうなのにね…」

そう付け足し、女は彼の顔を思い出したのか薄く哂う。



放っておけば伸び放題となる髭。

その髭をちょうどいい長さでキープするのは

芝を刈る行為に似ているというのが彼女なりの持論だ。

このことをテーブルを挟んで向かいに座るもう一人の女に説明する。

すると、聞いていた女が突然、口を開く。

「そういえば、前に彼が趣味で植物を育ててみたいって言ってたわ。

その時よ。芝や苔を育てるのも面白そうなんて言ってたの!

だとしたら…」

ここで二人の想像はリンクした。



Y氏は全国を飛び回るプロのミュージシャンである。

そのため家を空けることも多い。

要するに植物に水が不可欠である限り

彼の「植物を育てる」という目標は叶えられないのだ。

しかし、自身の髭を芝に見立ててみたらどうだろう。

水やりは必要ない。

枯れる心配もない。

しかもそれは自分の顔に生えているのだから、どこへ行くのも一緒。

手入れは好きな時に好きなだけできる。

こんな夢のような「芝」或いは「苔」があるだろうか。



斯くして二人の女はY氏の非凡な想像性(創造性とも言うべきか)を

深く認識することとなり、一部世間を賑わす「髭問題」に

一応の決着を見たのだった。



晴れ渡った秋の夜空には、少し痩せた月が顔を出している。





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最終更新日  2006.10.12 01:40:21
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