夏の飲み物に気をつけて・・・
飲み物や食べ物に含まれる酸が、健康な歯を溶かしていく「酸蝕歯(さんしょくし)」。知らず知らずのうちに進行し、一度溶けた歯は元に戻らないという。ひどくなると知覚過敏になったり痛んだり。虫歯にもなりやすくなる。どうすれば防げるのだろう。人の歯は、歯の成分のミネラル分が溶け出す「脱灰」と、唾液(だえき)が修復する「再石灰化」を繰り返す。飲食物に含まれる酸が脱灰を起こし、再石灰とのサイクルが崩れミネラル分が溶け出した状態が続く。これが酸蝕歯だ。 まずは酸性の強い食べ物を知り、とり方に注意しよう。酸性かアルカリ性かを示すpH値は、7が中央値。中性のミネラルウオーターは、通常pH7だ。数字が7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性。歯の表面は硬いエナメル質でできているが、5.5より低い数値の飲食物に長時間触れると溶けてしまう。 コーラなどの炭酸飲料や栄養ドリンク、黒酢ドリンク、ワイン、ビール、野菜ジュースなどの飲み物は5以下。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘(かんきつ)類、ドレッシングや酢、しょうゆなどの調味料もこの範囲にある。 身近な食べ物ばかりなので、食べないわけにはいかない。歯がある人は多かれ少なかれ、年をとれば酸蝕歯になり、溶けていきます。平均すると1年で厚さ0.03ミリ溶けると2ミリ程度のエナメル質は、67年たつとなくなってしまう計算になる。 進行を防ぐには、酸性の飲み物や食べ物を口の中に必要以上に長時間ためずにのみ込もう。飲食後は、水やお茶で口をすすごう。歯磨きは30分ほど待ってから。すぐに歯磨きをすると、軟らかくなった歯が削れてしまう。唾液によって歯の再石灰化が進み、酸が中和されるのを待とう。スポーツをした直後や睡眠時には唾液が出にくい。運動後にスポーツドリンクを飲んだ後は、一口の水で中和しよう。寝る前にワインやビールを飲んだら、そのまま寝るのはよくない。うがいをしよう。歯を溶けにくくする、フッ素入り歯磨き剤もお薦めだ。初期症状は、前歯がすけたり、色が茶色っぽくなったりする。エナメル質が溶け、象牙質が露出すると、知覚過敏や痛みの症状が出ることもある。すり減りがひどい場合は、マウスガードを作ったり、歯の表面を樹脂で薄くコーティングするなどの治療をする。高齢になっても丈夫な歯を維持するためには、生活習慣を見直して。定期的に歯科医で診てもらうと、早めに対処ができますよ。