自由ひろば

2008/01/20(日)21:19

NASA科学者ジェームズ・ハンセン博士が地球温暖化を語る6

環境(24)

2008年1月1日に放送した「未来への提言スペシャル~地球温暖化に挑む・世界のキーパーソンからのメッセージ」でのこと。 NHKのナレーション 南極大陸の氷床は、地球上の淡水の70%を占める巨大な氷の塊である。氷床が海に張り出した部分を棚氷と言う。 ハンセン博士は温暖化が進んでティッピングポイントを超えると氷床が溶けて海に流れ出す可能性があると考えている。 気温が上がると氷床に水溜りができる。水溜りは氷に比べて色が濃いため、太陽熱を吸収して温まり穴を広げる。次第に氷は穴だらけとなりもろくなる。また海の水温の上昇で、棚氷も下から薄くなっていく。やがて棚氷が割れて海に落ちる。このとき氷床はティッピングポイントを超える。蓋をしていた棚氷がなくなり、陸の巨大な氷が次々に崩れ落ちるのである。 2002年、温暖化の影響と考えられる大規模な棚氷の崩壊が実際に南極で起こった。NASAの衛星がその姿を捉えた。ラーセンBと呼ばれる、東京都の1.5倍ほどの広さの大きな棚氷が、わずか35日間で崩落したのである。このとき、7200億トンの氷が海に流れ出した。 ハンセン博士は言う。 最初の変化は非常に小さいもの。しかしあるとき、突然大きな変化が起こり、氷床が大崩壊する。いつ起こるか予測するのは非常に困難。しかし、地球の過去の歴史を調べると、氷床の崩壊は何度も起きている。 NHKのナレーション 氷床の崩壊は海面の水位に大きく影響する。陸地にあった氷が溶けることで、水位が上がるからである。 過去45万年前の気温と海面水位の変化をみると、気温と海面水位は、ほぼ同じような上下動をし、密接な関係があることが分かる。 ハンセン博士は、今から1万4千年前、最後の氷河期の終りにおきた大変動に注目している。このとき大幅に気温が上昇するとともに、100年当たりで5メートルという急速な海面上昇が起きていたのである。 ハンセン 南極の巨大な氷床が崩壊した場合、海面水位が100年以内に1メートル以上、おそらく数メートルの急激な上昇を起こす可能性がある。大変危険である。世界の多くの都市は海沿いにあり、膨大な人口が暮らしているからである。 私の考えでは、このまま二酸化炭素を出し続ければ、海面水位の大幅な上昇は避けられない。

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