リサ・ランドール博士(Lisa Randall) はアインシュタイン以来の人物だ!
米タイム誌が2007年8月14日“世界に最も影響力のある100人”を選ぶ、毎年恒例の特集記事を掲載した。ハーバード大学の理論物理学者であるリサ・ランドール博士(1962年生まれの女性)がアルゴア(Al Gore)らとともに選ばれた。http://www.time.com/time/specials/2007/time100/article/0,28804,1595326_1595329_1615997,00.html昨年はNewsweek誌の2006年世界のキーパーソンに選ばれており、ますます時の人となっている。さて、何で注目されているかというと、一言でいえば、5次元やさらに高次元時空(余剰次元)の存在を提唱し、宇宙自身が何次元なのかを解き明かそうとしている人物で、ノーベル賞に最も近いといわれているからだ。わたしたちが暮らす縦、横、高さの3次元空間に時間軸を追加したのが4次元だが、5次元は普段経験している3次元の生活とはまったく異なった、もうひとつの別世界であるという。わたしたちの住む宇宙は、3次元の膜のようなもの上にはりつけられているため、5次元を感じることも行くこともできないが、5次元世界は確かに存在していて、3次元世界に驚くような影響を与えている可能性がある。わたしたちの住んでいるという膜世界をシャワーカーテンにみなし、張り付く水滴を人間に例えている。水滴はシャワーカーテンに張り付いて下に落ちていくように、わたしたちも3次元世界を移動することはできるが、水滴がバスルームに飛び出すことができないように、わたしたちも5次元や6次元などの高次元に飛び出すことはできないというわけだ。また、フラットランド(平面の国)の説明は秀逸で、2次元の平面に住んでいる生命体に、3次元の丸い球が通過する様子はどのように見えるか、イメージしにくい理論をビジュアライズしてみせる発想力には脱帽させられる。もし丸い球がフラットランドを通過したら、フラットランドの人々はサイズが大きくなり、やがて小さくなるような円盤を見ることになると。わたしたちが体験している3次元世界もフラットランドのようなもので、周りを触ることも感じることもできない5次元時空が取り巻いているというわけだ。高次元世界の中の3次元の膜世界こそが、わたしたちの住む世界であると考えているという。ただ、ここですごく重要なことは、実は次元を超えて行き来するエネルギーがあるということらしい。すべてのものが膜に貼り付けられているわけではなく、重力エネルギー(他にも明らかになる可能性もある)は時空を超えて自由に振舞えると考えられている。重力は宇宙のなぞを解くカギとみられる。5次元宇宙には別の3次元宇宙が平行して存在しているかもしれないとし、この間を行き来できるエネルギーが重力で、重力エネルギーが5次元宇宙とその向こうにある別の3次元宇宙を調べる大きな手がかりになるという。誰もがとりこになってしまうような話であるが、まずは、NHK出版から2007年5月に出版された「リサ・ランドール異次元は存在する」を読んでほしい。ランドール博士の人となりや、理論物理学の楽しさや、高次元時空の不思議さを感じ取ることができるはずだ。