カテゴリ:巡礼者の記帳
奈良政府の威信をかけた羅城門は、 海外の外交使節を迎える帝都の凱旋門であったが、 黒沢映画では、凄い迫力で朽ち果てている。 「この門がひとつあれば、撮影はほかにカネかかりません」 金庫番を説得し大金を使って時代考証した羅生門は、 間口33メートル、奥行22メートル、高さ20メートル、 柱は周囲4尺の巨材18本を使った。 屋根瓦も「延暦十七年」と彫り、4000枚焼いたらしい。 広場に出来上がった羅城門は、出費に見合った巨大さで、 監督自身が、まさかここまで、と驚いた。 映画は当たらず、心配していた大映社長は、何名か処分している。 後日になって、外国人が賞賛しはじめ『金獅子賞』を得る。 ところで、 映画の羅城門は、当方の趣味に年代的に驚くべき近似を暗示していた。 奈良羅城門 711年 帝都の威信をかけた凱旋門 仙台多賀城門 724年 東北総局の南大門 宮城桃生城門 759年 海道支局の南大門 宮城伊治城門 767年 山道支局の南大門 岩手覚べつ城門 780年 山海道統合支局、北上川沿いの南大門 岩手胆沢城門 802年 岩手総局の南大門 千年昔の建造物はすでに無いが、黒沢監督の仕事ぶり、すばらしい。 箱庭で、オニヤンマと黒アゲハと黄アゲハが飛んで、 桃生城に近い海浜からお見えになった客人が、ご家族のお話を聞かせてくださった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年08月12日 08時20分48秒
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