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2004年06月19日
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性機能障害治療薬「バイアグラ」のアメリカ人向けを半分服用して、夜の街に繰り出した、私と友人である。

大体、予想が付くであろうが、お店に入って、女の子にいちゃいちゃしながら、されながら、
「実はさあ、俺たちバイアグラのんでるんだよねえー」
とか調子に乗ってのたまうのであった。
「え?バイアグラって?」
「はあ?君たち知らないの?でかくするクスリだよ、あれを」
「エー?あれって?」
「ほーら、今話題の・・」
これは友人で、私は、こういうところに来るのが基本的に好きじゃないので、ブスッとした顔で、水割りをがぼがぼ飲むだけである。
大体、どうして、こっちが金払っているのに、話題を提供しなくちゃいけないのだ?キャバクラって。
そっちから話題を作れよ。人が黙っていたら、話をしてもらうようにしむけろよ。客に気をつかわせんじゃねえ!
と、ますますブスッとする私に、女の子が水割りを作ってくれると、ついうれしくなる情けなさ・・(^_^;
「えー?あの、今話題のやつう?」
「そーだよ!」
「で、今でかくなっているの?」
おや?
そういわれてみれば、あまりでかくなってきたという自覚がないぞ。
それよりも、鼻が詰まってきた。花粉症の季節じゃないのに、すごい鼻が重い。
飲み過ぎか、頭もがんがんである。

鼻が詰まって、頭ががんがんって・・・

オイオイ、これが、もしかして、バイアグラの効果かよ!?
全然、あそこがでかくならないじゃん!
鼻がでかくなっちゃったよ!

バイアグラは最初、狭心症の治療薬として開発されたのだが、副作用として勃起現象が起きてしまった。最初、治験という、まあ平たく言えば人体実験みたいなもんで、やたらと患者さんたちが、先生!あのクスリ、もっとくださいと言うようになってきて、どうしてだか問いただしたところ、副作用が発見されたというような逸話もある。よって、狭心症以外に性機能障害治療薬としての開発が進められた。仕組みは、血管の筋肉を弛緩させることにより血流を増加させるみたいなもんで、心臓や血圧の治療を行っている人は、のんではいけない。心臓が悪くて、ニトログリセリン(爆発する方じゃなくて、心臓の薬として使っている方)などを服用している人が、バイアグラをのむと確実に死ねる。

しかし、あとで知ったことだが、のんだだけでは「その現象」は起きないらしい。やはり、それ相応の刺激を持たなくてはダメで、やはり「起たない」人のための薬なので、健常人がのんでも「普段よりでかくなる」なんてことはないようである(当たり前だ)。

それどころか、のちに、バイアグラに詳しい人に話を聞く機会があったのだが・・・




ーーーーーーーーーー◆ーーーーーーーーー




「まさか、ガイシャが女だったとはなあ」


「全くですね。ボクは忘れられませんよ。あの逸物がズボンの中から飛び出したときは」

「ははは」

警部と田中刑事は、事件解決の手助けをいつもしてもらっている監察医、与田司代(よだ・じだい)の家に来ていた。彼は医師でありながら名探偵とも言われている。

「バイアグラの密輸をしている悪質な女密売人だったとはね、あそこに住んでいるのが」
「隣の、ちょっと綺麗な若奥さんも驚いていましたね。我々の説明を受けたときには」

例の、高層マンションで死んでいたのは、実は男ではなく、麻薬やバイアグラの密売などで、指名手配されていた女密売人だったのである。オトコに化けて、逃げ回っていたのだ。
鑑識の女性が、ズボンのチャックを開けたところ、天狗の鼻のような逸物が飛び出した。それも金属色に輝くすごい奴であった。一瞬、現場は驚きと羨望でどよめいたが、よく見ると作り物だったのである。それは、男装するための道具でもあり、密売しているバイアグラをその中に隠す入れ物でもあった。X線を通さない金属でできていたのだ。
その天狗の鼻を外したら、見えたのはピンクの花柄のショーツ。出てる所も出てない。ガイシャは女性であることが判明したのだ。
付け加えておくと、女密売人はぺちゃぱいだったことも功を奏して、近所の人はみんな「ちょっといい男」と思ってしまっていた。

「彼女は、バイアグラを試しにのんでみたのですね」

与田は語った。

「女性が?」
「ええ。バイアグラをのむと女性がどうなるか。それを試してみたかった」
「しかし、死んでしまった」
「そう。彼女は、心臓が悪かったらしく、医師からニトロを処方されていました。これでは、自殺と同じですよ。バイアグラは、絶対心臓の薬などと併用してはいけません」

当時は、まだ日本で認可されていないバイアグラだったが、今では商品の情報を見ると真っ先に「禁忌」として、それらのことは注意書きがされている。

「それとね、警部さんや田中君がもしものむとき、気をつけて欲しいんですが・・」
「え?いや、ボクはのみませんよ!・・警部は??」
「え?いや、そりゃ、オレだって、うん・・いや、のまんよ」
「気をつけて欲しいんですが、お酒を飲んでいるときも、絶対にのまないでください。死にますよ。彼女も、お酒が入っていました。もしかすると、酔っていなければ、バイアグラをのむとどうなるかなんて、バカなことを試さなかったかもしれない」
「心臓悪くてクスリ飲んでいるのに、酒を?」
「人間、いろいろ悩みを持っています。悪人だって、いくら体が悪くても、酒で忘れたいこともあったでしょう」
「なるほど・・」

うなずく、警部と田中君。

「そうそう、この前もね、ボクの友人に軟派男と硬派男がいるんですが、その二人、酔っぱらった勢いで、個人輸入したバイアグラをのんで遊びまくったらしいんですよ」
「え?そのお友達はどうしたんですか?」
「ははは・・ピノキオみたいに鼻がでかくなって、と言うか鼻づまりになったくらいなんですがね、あっという間に二日酔い状態になれたらしいですが、ヘタすると命取りでしたよ。きつく釘を刺しておきましたがね。やっぱり、病で悩んでいる人を救うのがクスリなんですから」
「困った人たちもいるもんですね」
「ホントに・・はははははっは」

明るい、さわやかな笑い声が、事件の解決を物語っていた。

これにて、一件落着。


(おわり)


ところで、女性がバイアグラ使ったらどうなるか?
答えは、
こちら。






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Last updated  2004年06月19日 20時29分30秒
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