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カテゴリ:さんぼのおはなし
三角すいの鉄の輪を握りぶらさがってぐるぐる回る人気の遊具があった。
一人が柱と鉄の輪を持って回し、みんながぶらさがる シーソーのように足が着いたり離れたりしながら回る 単純だが空を飛んでいるようで気持ちがいい。 でもちょっと怖い。自分の手だけで体を浮かせるのだ。 ある日の放課後だった。 同じクラスの男の子が校庭にいた。 さんぼは学校が近かったので、よく遊びに行っていた。 電話もないし、まだ約束なんてしなかった。そこに誰かがいれば遊んでいた。たいてい誰かがいた。 その子が、ぐるぐるまわしをぐるぐる回し始めた。 いつもは、みんながぶら下がるのでゆっくり回る。 男の子「一人で回してみたかったんじゃ、来たら危ないよ」 とぐるぐる回していた。 じっとみていたけど、やりたくなった。 さんぼ「やる!」 男の子「あぶないよ」 さんぼ「だいじょうぶ。すぐやめるけん」 鉄の棒(?)をしっかり握った。 ぐるぐる…ぐるぐる… たった一人である。 回るのも速い。地に足も着かない。。。怖い。。 手が汗ばんで滑りそう。 必死にしがみついていた。 が、体力(運動神経)はない。すぐに限界が来た。 「とめてっ!!」と同時だった。 ぶ~~~ん と飛んだ。 ふわっと体が浮いた。 わあ~ど.う.な.ちゃ.う.ん.だ.ろ.う。。。? その瞬間って、コマ送りのようで、スローモーションのようで、とーってもゆっくりなのだ。でも、どうすることもできないんだわ そして、さんぼはなんと顔からズルッと落ちたのである。 ばんざいしたまんま飛ばされたのだからそうなったんだろうか? 起き上がったときは、顔がヒリヒリしていた。 男の子はちゃんと危ないよと言ってくれたのに、やる!と自分が言ったのだ。 情けなくて、かっこ悪くて、痛くて泣けた。 わぁ~ん!と泣きながら家に走って帰った。 のんきな母である。 「どしたん?落ちたん?あーあ」 と赤チンを顔中塗りたくってくれた。 哀れなさんぼは、ものすごく落ち込んで、次の日学校を休んだ。 顔以外どこも悪くないから、行きんさい!と母が言う。 いっぱい考えたけど、やっぱり行きたくない。 一日だけという約束で休ませてもらった。 学校に行った男の子が、みんなに言いふらして、ずる休みがバレバレだった。でも、その男の子が、お母さんと誤りに来てくれた。 ぜんぜん悪くないのに…。その子に悪いな。 母が「自分で怪我したのだから、気にしなくていいですよ。」といっているのが聞こえると、こんなに大怪我なのに!と思うさんぼだった。 それから低学年は使用禁止となった。 今は小学校から消えている。もっと面白い遊具も消えている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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