交通事故損害賠償額 UPのポイント

2011/04/13(水)15:13

「交通事故損害賠償」自賠責6(任意保険との関係)

  これまで自賠責保険のことをいろいろと説明してきました。  交通事故の損害賠償のことを詳しく知るためには、まず基礎となる自賠責保険のことを知らなければなりません。 ほとんどの車は、強制的に自賠責保険をかけなければなりません。でなければ車検を通過できません。今月から新年度となりました。自賠責保険の保険料が、平均で11.7%の値上げになっています。普通車で現行 22,470円 → 24,950円 と値上がりしました。 保険料は払っているけれども、その内容についてまで踏み込んで確認している人はあまりいません。事故にあってからでも遅くはありませんので、それをきっかけに知識を深めてください。 自動車保険会社の『任意一括』について説明します。現在の保険はほとんど示談代行付きというものです。加害者にとってはありがたい保険ですが、被害者にとっては事故の当日以外は、加害者は一度も顔を見せない、けしからんということも起こります。 事故を起こしてしまい、加害者は自分がかけている保険会社に連絡して、後はすべておまかせ、とうパターンが大変多く見受けられます。そのための保険と言ってしまえばそれまでですが、あまりに加害者に誠意がないと見られると、被害者は"加害者に全く誠意が見られないので、厳罰に処してください。"とやられてしまい行政処分、刑事処分で泣きを見ることになりますので注意してください。 『任意一括』といわれる制度を簡単に説明すると、自賠責と任意保険をまとめて任意保険会社が事務手続を行います、というものです。事故が発生し、被害者が病院に入通院し治療を受ける場合は、病院が治療費を保険会社に請求します。保険会社はそれを支払った上で、自賠責へ加害者請求をして回収します。そして、自賠責の限度額を超える額を任意保険で支払うことになります。 被害者にとって自賠責と任意保険を別々に請求するのでは不便でしょう、だから自賠責もひっくるめて、おまけに示談もひっくるめてやってあげましょう、という制度としてはじまりました。言葉をかえれば、自賠責と任意保険を一つの保険として処理し、二度手間をはぶいてあげましょう、というものです。 示談代行サービス付き保険というのも問題になりました。示談という行為を行なうのは弁護士法に触れるからまかりならん、とクレームが付いたのです。保険会社と日弁連が調整の結果、弁護士の管理監督下で、しかも加害者に自賠責の限度額を超える損害賠償責任が発生したときのみ示談の代行をしてもよい、ということになったのです。   さて最近は、自動車保険も競争が激しくサービス合戦が行われています。そこで登場したのが、「人身損害補償保険」 です。これは、一般に「 人傷保険」 ともいいますが、相手の過失の有無などに関係なく、被保険者に生じた人身損害を直接算定して給付する保険です。 大手の損害保険会社の自動車保険には、標準プランの中に組み込まれていますが、いまだオプションとなっている保険会社もありますので、ご自身の保険を確認してください。 いったん事故を起こした場合、あるいは起こされた場合、一人相撲で怪我したケースなど事故の内容は様々です。その時に、加害者がどのような保険にはいっているか、被害者となったご自身の保険の内容はどのようなものか、一つ一つの事故についてその内容を確認しなければ、ベストな対応ができません。 任意一括制度は、被害者への速やかな損害額の支払のためなので、便利な制度です。しかし、問題が発生することもあります。事故が起きて、加害者側の保険会社の担当者がきて、任意一括の同意書を求められてサインし、その後保険会社が病院への支払の立替払いの一部でもしたら、その部分につき任意保険会社は被害者の自賠責保険への請求権を取得することになり、以後、被害者は自賠責保険への請求権を失います。  もちろん、任意一括に一度しても、それを取消すことは可能ですが、保険会社のペースになってしまうことは否めません。後遺障害のある重症となった場合には損害賠償額は多額になります。 長期の治療が必要で、しかも入院している場合で、家族がいる場合などお金はいくらあっても足りません。それをコントロールされてしまうことだってあるかも知れません。まだ、完治してもいない、症状固定というには早いという段階でも、被害者の心理をたくみに操られてしまい示談に持ち込まれることがないようにしなければいけません。 例えば、死亡事故の場合、自賠責保険から3000万円をもらい、その後に、じっくり損害賠償を行うこともできます。自賠責保険の内容を知っていれば、ご自身に有利な展開に持ち込めることになるのです。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る