明治座4月公演「あずみ AZUMI on STAGE」
明治座の客層を意識しつつ、痛快娯楽作品仕上げにしているところに、主役の若さと未熟さがいい感じに相まって切なさがにじむ、熱くてよいお芝居になっていました。確か、私が前に一度だけ明治座で見たことのあるお芝居は、もっと展開がゆっくりで、十二分に客席が理解してついてくるまで待ってて、なおかつ、ここが拍手する場面ですよーってのを役者さんたちが見得切ったり、静止したりして教えてくれるようなお芝居でしたので、今回の芝居の展開のスピードに面食らっていた明治座常連さん方がいらしたかもしれませんけどね。こまかなとこでは不満な点もないわけではないのですが、何と言っても最年少座長、黒木メイサさんが放ってるキラキラ感みたいなのがもの凄く、そのスパークしてる火花みたいなのに感心してる間に、なんだか細かいことはどうでもいいやと思えてしまいました(^^ゞこれがスターの華っていうものなのだろか。カーテンコールで最後に登場した姿にはすでに座長の貫禄が漂っていました。もちろんまだまだ堅いところ、粗削りなところはあるし、すごくいいところと無造作なところとが混在してるんだけど、きっと日々すごい勢いで吸収してるんでしょうねぇ、ポンっと音をたてて一秒ごとに開花していってるような、それでいてまだ三分咲きぐらいなんじゃないだろか、満開になったらどんななのだろーとか思ってしまいました。思えば確か去年の2月ごろが初舞台だったはず。北区つかこうへい劇団の「熱海殺人事件」の水野役でしたが、ボストンバックを袖から舞台へほうり投げたのち、すっと出てきたメイサさんはローライズのジーンズでおへそを出した私服姿で(ローライズってのはこういうスタイルの子が履くもんなんだなと実感)クールな瞳が印象的でした。まだまだ芝居は始めたばかりだったので、ほとんど動けないし、堅い表情で立ち尽くしていて、できないことがいっぱいだったけど、でもその存在自体がすごいインパクトでしたね。何か新しい力がここにあるなぁという感じ。当時の感想に「女の子がヒロインではなくヒーローになる時代が来るのではないか」などと書いた覚えが(^_^;)英語圏においてヒロインとヒーローとでは男女の違い以外の違いがどれくらいあるのかは知らないのだけれど、日本においてはヒロインってやっぱり主役ではないような気がするのね。ヒーローがいて、その相手役っていう気がしちゃうんだよね。でも、これからは変わるかもしれないって、このときそう思ったんだよね。今回、残念だったのは二階席を取ってしまったので、舞台を斜め横から見る形になっちゃったたこと。今のメイサさんが放つパワーを真正面から受け止めてみたかったなぁ。「今」ってのは逃したらもう二度とこないものだものね。