テーマ:DVD映画鑑賞(13978)
カテゴリ:SF
![]() 先日紹介した「2300年未来への旅」(1976)もそうなんだけど、60年代後半から70年代にかけてのSF映画は「暗い未来」をテーマにしたものが多い。 「猿の惑星」(1968)を筆頭に「時計じかけのオレンジ」(1971)や「ウエスト・ワールド」(1973)、「ソイレント・グリーン」(1973)。 冷戦構造の閉塞感と公害が象徴する科学技術の野放図な発達への危惧が生み出したものなんだろうけど、今見るとかなり悲観的。 「魚が出てきた日」(1967)なんてのもあったから、原子力への警鐘も60年代後半からかな。 (´ε`) そんな流れの最後発組で、ストーリーをすっかり忘れている作品があるので再観賞してみた。 それはこの映画(^-^)b 「ローラーボール Rollerball」(1975 米) 『制作費45億円と3年の歳月をかけて注目の未来巨篇・遂に完成! 2018年 戦争代行のスポーツ それは<ローラーボール>と呼ばれた!』 監督・制作・脚本:ノーマン・ジュイソン 原作・脚本:ウィリアム・ハリソン 出演:ジェームズ・カーン モード・アダムス ジョン・ハウスマン 2002年にジョン・マクティアナン監督、クリス・クライン主演でガッカリ・リメイクされたので、ご存知の方も多いだろう。 「どんな話?」 2018年、6大企業に支配された世界は、戦争や犯罪はなく衣食住の心配もない社会だった。しかし人々は精神的な満足感を得るために、残酷性が売り物の「ローラーボール」に熱狂していた。そんな中スター選手のジョナサンは全てが企業の管理化にあることに疑問を抱く。しかし逆に企業では彼の絶大な人気を危惧していた。そして… う~ん、微妙。 これは観る人を選ぶなぁ。 (^_^;) SFファンで且つ昔の小説、映画を見慣れている人じゃないとかなり退屈する映画だと思う。 とにかく、最近の派手な映像を見慣れた人にはオススメできない。 そもそも、公開がほかより遅いせいもあって当時ですら時代遅れな感じがあるから、今観るとツラいものがある。 でも、記念碑的な意味はあるので観ておくべき映画かも。 やっぱり「ローラーボール」につきる。 (^o^)/ 「近未来バイオレンスショー」的なものを題材にした映画は結構古くからあるけれど、本格的なセットでメディアの扱いまで含めて描いたのは恐らく本作が始めてだ。「コロシアム」風に支配者階級、労働者階級、剣闘士のまんまなので、目新しくはないけど。 楕円形のトラックを、ローラースケートを履くかバイクに乗った各チーム10名ずつのプレイヤーが10kgの鉄球を奪い合い、自軍のゴールに投げ込めば得点になる競技だ。 鉄球はルーレットの玉のようにトラックの縁を「ボカンッ!」って感じで打ち出される。ゴロゴロゴロ~。 最初にキャッチする選手は鉄のミットを付けてるけど、他の選手は手で受け取る。トゲトゲ付きのグローブをはめてるけどね。 で、パスやバイクに引っ張られたりしながらゴールを目指す。 ゴールは強力なマグネットらしくて、鉄球をじょうご状の穴に入れると「ガコンッ!」。 相手チームの妨害は殴る蹴るなんでもあり。のはずなんだけど、最初の試合はルールが良く分からない。 主人公と企業の確執でルールが変更され、暴力度がアップ。ラスト・ゲームではほんとに「何でもあり」になる。 最初のゲームは民衆の暴力衝動対策の意味があるにしては、おとなし過ぎる。バッハの音楽が素晴らしいけどね。 世界を支配する企業も、似通った複合企業ではなく「エネルギー」「食料」「住居」「輸送」「娯楽」「通信」の6企業。 その1つ「ヒューストン・エナジー」のスターが主人公だ。 ゲームのシーンでは「芝居のできる猿」ことカーンさん(毛むくじゃら)がひたすらカッコいいけれど、ドラマ部分が原作通り女性絡みなのでちょっと情けない。 (´ε`) 不幸はないけれど管理された社会。苦労はないけれど物足りない社会。管理社会と個人の軋轢を描いたSFなのに、SFじゃなくてもイイ物語になってしまっている。 ジュイソン監督にSFのセンスがないので、得意の人間ドラマにしようとするのは分かるけど、それなら設定だけを使えばよかったのに。残念。 (^_^;) 映像も特撮に頼らないもので、建物や家具、電気製品は当時あったものばかり。「未来的」なビル、「未来的」な椅子などが頻繁に登場する。 でもそれは今見ると逆効果。よけいに古めかしく感じてしまう。 まだ普通に光学合成の特撮を使った方が良かったんじゃないかぁ。 暴力的なシーンもあるけれど、中途半端に内省的なドラマなので爽快感は少ないのでそのつもりで。 それにしても、「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」がたった2年後の1977年、「エイリアン」、「マッド・マックス」が1979年なので、やっぱり遅い、古いって言われても仕方ないなぁ。 オススメできる○:「惑星ソラリス」(1972)を楽しめる人。 オススメしない×:胸毛が苦手な人 ジュイソン監督と言えば、「シンシナティ・キッド」(1965)、「華麗なる賭け」(1968)で、アクショ以外でマックイーンさんの魅力を引き出したり、「夜の大走査線」(1967)や「屋根の上のバイオリン弾き」(1971)という名作を撮った名監督。 どうしてSFなんかに手をだしたのかな? 人間だれしも得手不得手があるものですね。 (`▽´) 押していただければ励みになります ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年01月31日 12時48分34秒
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