2010/04/24(土)23:21
ブランデンブルク協奏曲のベスト・ワン
今月の「レコード芸術」誌で、またまた「名曲名盤」という企画を載せていました。各曲5名の音楽評論家たちが最も気に入った演奏CDに10点を満点とした点数を入れてゆき、上位10点の演奏を紹介するという企画です。
クラシックファンとしては興味深い企画で、毎回楽しみにしていますが多くの場合、自分とは違う演奏が上位に入っているので納得はいきません。
自分ならこんな演奏を入れるのに・・・など考えるのも楽しいものです。
そこで、今日はバッハのブランデンブルク協奏曲のベスト・ワンCDを選んでみたいと思います。
この曲集は実際にアマチュアオケで演奏したことがあるので、余計に思い入れがあるのです。今までどれほど多くの演奏を聴いてきたか知れません。(ほとんどレコードとCDですが)
ミュンヒンガー指揮のガチガチの硬質な演奏には驚き、流麗なカラヤンにうっとりしたり、イタリア的な明るいイムジチ合奏団の演奏にもぞっこんの頃もありました。また古楽器全盛のピノック、ホグウッド、アルノンクールの意欲的な演奏にも魅力を感じます。
このように名演奏の宝庫であるブランデンブルク協奏曲のCDの中で、たった一曲を選ぶという難しい決断をしなければならないのなら・・・私はヘルムート・コッホ指揮ベルリン室内管弦楽団を選びます。
録音は1970年東ドイツのシャルプラッテンの録音です。演奏は当時西ドイツよりもドイツ的な伝統が多く残っていて、録音技術もアナログ時代の当時としては最高のものでした。21世紀の今でも通用する立派な録音なので驚きます。
自然な録音に加えて、ゆったりとしたテンポにのってじっくり奏されるメロディラインは実に刻銘で安心して音楽に身を任すことが出来ます。
一見平凡な演奏に思いますが、じっくり聴くと実に味わい深いものがあります。それは音楽を崩すことなく、文字でいえば「楷書体」といえるでしょう。
大きな変化も驚きもない代わりに、バッハの描いた豊かな音楽性がくっきり姿を現し全曲聴いても決して飽きません。あっという間に全6曲を聴いてしまいました。
この演奏はいつも「名盤名曲」のランク外ですが、私にとっては何度も聴いてみたい大切な一枚なのです。
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